2009年9月30日水曜日

自民党 新人岩井氏ら公認

自民党 新人岩井氏ら公認
自民党は29日の役員会で、参院神奈川、静岡両選挙区の補欠選挙に、いずれも新人の、元横浜市議角田宏子氏(42)と富士常葉大非常勤講師岩井茂樹氏(41)を公認候補として擁立することを決めた。
(平成21年9月30日朝刊)

静岡政治9月29日の動き

静岡政治・経済 (静新webnews)

自民党県連 新会長に塩谷氏 「党危急存亡の時」
09/30 08:10
 自民党県連は29日、静岡市駿河区のホテルで県連大会を開き、斉藤斗志二会長の辞任に伴う新会長に塩谷立衆院議員(比例東海)を選任、参院静岡選挙区補選に富士常葉大非常勤講師岩井茂樹氏(41)を擁立することを報告した。
 塩谷新会長は「党の危急存亡の時。衆院選の国民の審判を事実として受け止め、党の再生に向かいたい」と強調し、一致結束しての参院補選必勝を訴えた。
 岩井氏は「厳しい選挙戦になると肝に銘じている。明るい将来のため、静岡から党再生が始まることを証明したい」と決意を表明。塩谷会長らと「ガンバロー」を三唱した。
 大会には県内各支部から選出された代議員ら約320人が出席。党情報告に立った小楠和男幹事長は、知事選と衆院選で党公認候補が敗れ「責任の重大さを痛感している」と謝罪。谷垣禎一新総裁誕生を受け「政権奪還のために新生自民の出発にしたい」と協力を求めた。

土田氏を推薦せず 参院補選で連合静岡
09/30 08:04
 参院静岡選挙区補選(10月25日投開票)で、民主党が擁立した御殿場市の医療法人理事長土田博和氏(59)を、同党の支援団体である連合静岡が推薦しないことを決めたことが29日、分かった。来年夏の参院選への影響を考慮した結果といい、「緩やかな支援は行う」(吉岡秀規会長)方針だが、陣営には補選への影響を懸念する声も出ている。
 連合静岡は土田氏の公認決定前に、執行委員会で「来年の参院選で、既に推薦している現職の藤本祐司氏(静岡選挙区)と、全国で10人が立候補する産別の比例代表候補の当選を最優先する」とし、土田氏を推薦しないことを確認。一方で、地域ごとに党県連総支部との関係を踏まえ、ポスター掲示など土田氏への最低限の支援と投票の呼び掛けを行うことを申し合わせた。
 吉岡会長は藤本氏と産別の比例候補をセットで浸透させる運動が始まっているとし、「連合静岡は大きな組織。補選まで土田氏を支援し、終わったらすぐ藤本氏を支援するという切り替えは物理的に無理。候補者に問題があるわけではなく、補選の投票を呼び掛けるので、結果的に土田氏への投票につながる」と説明。既に土田氏本人と選対幹部に方針を伝え、了承を得たという。
 土田氏の選対本部長を務める細野豪志衆院議員(5区)は「連合は大切な仲間であり支援団体。信頼関係の下に実質的には支援していただいている」と強調する。
 しかし、民主党県連幹部の1人は「当然推薦があると思っていた。推薦なしでは労組からの支援に地域で差が生じ、運動に支障が出る」と懸念する。別の幹部は「今回の補選は衆院選で当選した総支部長が運動の中心。自立を促す意図があるのかも」と真意を測りかねた様子。一方、県東部の労組関係者は「政権交代を実現した直後の選挙。少し休もうという雰囲気は(組織内に)ある」と漏らした。

幸福実現党が矢内氏を擁立
09/30 08:08
 政治団体「幸福実現党」は29日、参院静岡選挙区補選に同党特別顧問矢内筆勝氏(48)を擁立すると発表した。
 県庁で記者会見した矢内氏は、「いじめ防止に取り組み、公教育を再生する」などと語った。矢内氏は福島県生まれ。早大大学院中退。NPO「いじめから子供を守ろう!ネットワーク」(本部・東京)の会長を務める。
 参院補選では、民主党が医師土田博和氏(59)、自民党が富士常葉大非常勤講師の岩井茂樹氏(41)、共産党が元衆院議員平賀高成氏(55)の擁立をそれぞれ決めている。

2009年9月29日火曜日

自民県選出国会議員結束望む

 自民県選出国会議員結束望む
 他党は派閥脱却注視
 衆院選惨敗からの党再生を目指す自民党の新総裁が28日、谷垣禎一元財務相に決まったことを受け、県選出の同党国会議員は「今日から再出発だ」と決意を新たにした。一方、他党の県内議員は「古い派閥政治から脱却できるのか見守りたい」とし、新総裁の手腕を注視していく構えを示した。
 総裁選挙で西村康稔前外務政務官の推薦人となった塩谷立衆院議員(比例東海)は「決まった以上はみんなで協力してやっていく」と述べ、結果に従って谷垣氏を支えていく考えを表明。党内人事に関しては「若い人も執行部に入れ、『みんなでやろうぜ』という(谷垣氏の)言葉を具体化してほしい」と要望した。
 谷垣氏を支持した牧野京夫参院議員(静岡選挙区)は「党員は一つにまとまることを求めた」とし、世代を超えて一致結束する必要性を訴えたことが勝因と分析。党立て直しへの課題には10月に県内で行われる参院補欠選挙を挙げ、「新執行部が整ったら、直ちに手厚い支援を求める」と意気込んだ。
 民主党県連会長の榛葉賀津也参院議員(静岡選挙区)は「順当な結果」と冷静に受け止め、「互いに建設的な国会論戦ができれば」とエールを送った。一方で、「政権だけでなく、自民党が変わらないと日本の政治は変わらない」と強調し、谷垣氏の党運営のあり方をけん制した。
 公明党県本部代表の大口善徳衆院議員(比例東海)は「谷垣氏は財務相、国土交通相、党政調会長などを歴任した政策通」と評価し、「経済や雇用などの現場に根ざした政
策論を望みたい。若い世代をどう起用するかも注目だ」と述べた。

 県内政党
 自民「党再建の礎右に」
民主 共産「変わる要素ない」
 自民党新総裁に谷垣禎一氏が選ばれた28日、党県連は参院静岡選挙区補欠選(10月8日告示、25日投開票)に向けて「党再生の好機」と反転攻勢にかける意気込みを見せた。同じく補選に候補者を擁立する民主、共産両党は「自民が大きく挽回(ばんかい)できる雰囲気はない」などと受け止めた。
 自民県連の小楠和男幹事長は「党再建の捨て石ではなく、礎石となるように活躍してほしい。参院補選は最初の国政選挙で、党の顔として期待は大きい」と強調する。
 一方で、「自民(内部)には下野が分かっていない方々が多すぎる。現状を認識した上で、党再生に努めなければならない」と厳しさもあらわにした。
 「今までの自民党らしい人材。大きく変わる要素は感じられない」とするのは民主県連の岡本護幹事長。「与野党が競い合って国民のためになるのが政治。それにふさわしい野党になってほしい」と余裕を見せた。
 選挙の顔として新総裁効果が気になるが、「自民が大きく変わるという期待を国民に与えられなければ、支持が得られるとは思わない」と述べた。
 共産党県委員会の山村糸子委員長代理は「総選挙で(自民)大敗の要因は『構造改革』路線への国民の怒りだが、『基本的には間違っていない』という(谷垣氏が)新総裁に選ばれた。根本的な反省がなければ国民に前向きな対応はできない」と批判した。
〈静新平成21年9月29日(火)朝刊〉

参院補選 民主 土田氏が正式出馬表明

参院補選 民主 土田氏が正式出馬表明
 「医療改革声上げる時」
 御殿場市の医師で医療法人理事長の土田博和氏(59)が28日、県庁で記者会見し、参院静岡選挙区補欠選(10月25日投開票)に民主党公認で出馬すると正式に表明した。29日に党本部が公認を決定する。
 土田氏は出馬の理由について「日本の医療はWHO(世界保健機関)に世界一と評価されているのに、医師が現場から立ち去る現象が起きている。医療改革に声を上げなければならない時だと考えた」と語った。民主党から出馬する理由を「さまざまな記事やマニフェストを読み、自分の考えに一番近いと思った」と述べた。
 政策については、「医者は医療法と健康保険法に縛られている。二つの鎖につながれた医療にどういう弊害が生まれるかを国民に知ってほしい」と強調。医師・看護師不足への対応や、大卒者らを4年間で医師に育成するメディカルスクールの制度化などを主な政策として挙げた。
 土田氏は石川県生まれ。沼津東高、関西医大卒業後、1982年に御殿場市で整形外科病院を開業した。2007年の参院選に無所属で出馬し落選した。
 参院補選には、自民党が富士常葉大非常勤講師岩井茂樹氏(41)を擁立。共産党県常任委員の元衆院議員平賀高成氏(55)も立候補を表明している。
〈静新平成21年9月29日(火)朝刊〉

2009年9月28日月曜日

県連は谷垣氏5票、河野氏3票 自民党総裁選


静岡政治・経済
県連は谷垣氏5票、河野氏3票 自民党総裁選 
09/28 14:58(静新webnews)


 自民党県連は28日午前、総裁選の党員投票の開票作業を静岡市葵区内で行い、有効投票をドント方式で配分した結果、県連の持ち票8票は谷垣禎一氏が5票(得票数8354票)、河野太郎氏が3票(同6363票)、西村康稔氏が0票(同1454票)となった。
 県内の党員・党友による有権者は3万2517人で、郵送により1万6295人が投票した。無効投票が124票。投票率は50・11%で、昨年9月の総裁選予備選を5・92ポイント下回った。
 開票作業は午前9時半にスタート。約30人のスタッフが投票はがきを候補者別に仕分け、100票ずつの束にして積み上げた。作業に先立ち、県連選管委員長の小楠和男幹事長は「党員の総意に基づいて行われる総裁選が党再生のスタート」と述べた。

2009年9月26日土曜日

参院2補選…民主・自民、負けられない事情

参院2補選…民主・自民、負けられない事情

 鳩山政権発足後、初の国政選挙となる参院神奈川、静岡両補選(10月8日告示、同25日投開票)の民主、自民、共産各党の候補者が出そろった。
 民主党にとって両補選は、鳩山新政権の「信任投票」の意味合いを持つうえ、参院での過半数確保に向けたステップとなるだけに、負けられない戦いだ。一方、反転攻勢のきっかけとしたい自民党も、総力戦で臨む構えだ。
 両補選は、自民党の坂本由紀子・前参院議員の静岡県知事選出馬と、みんなの党(参院議員当選時は民主党)の浅尾慶一郎衆院議員の衆院選出馬に伴って行われる。

 民主党は、神奈川では元内閣府課長補佐の金子洋一氏(47)を公認した。県連が経済協力開発機構(OECD)での勤務経験や民間団体での多重債務支援の経験などを評価し、公募に応じた20人から選んだ。
 静岡では、医師の土田博和氏(59)を擁立する。党内には「福祉や医療に精通し、医師会など自民党支持層の切り崩しができる」という期待がある。
 民主党は両補選について、「負ければ、せっかく順調に滑り出した鳩山政権の勢いに水を差すことになる」と見ており、2勝することを大前提としている。
 完勝を目指すのは、国会対策上の事情もある。現在、参院では国民新党や新党日本などと統一会派を組んでいるが、人数は118人と過半数に4人足りず、社民党を合わせてなんとか過半数を確保している。両補選に勝利すれば、過半数がそれだけ近づくわけだ。

 一方、自民党は神奈川で前横浜市議の角田宏子氏(42)、静岡で富士常葉大非常勤講師の岩井茂樹氏(41)の擁立を内定した。
 25日には、補選のテコ入れを兼ねて浜松市で総裁選の遊説を行った。谷垣禎一・元財務相は演説で、「41歳の岩井さんがじきに(公認)決定される」と岩井氏の若さをアピールした。
 党はこれまで、補選には参院比例選出の議員を大量に投入し、業界団体を引き締める組織戦を展開してきた。また、岩井氏の父の国臣氏は旧建設省出身の元参院議員で、建設業界の支援を受けていた。
 しかし、党の選対関係者は「野党になった今、業界頼みの選挙はあてにならない。静岡も神奈川も、40歳代という候補の清新さを打ち出す」と語る。先の衆院選で、民主党の若手や女性の候補に苦杯を喫した経験も影響しているようだ。
 公明党は、両補選で自民党に協力するかどうかは、「検討中だ」としている。公明党内では、自民党候補の推薦を求める意見の一方で、自主投票にすべきだという声もあり、告示直前まで結論が出ない可能性もある。
(2009年9月26日06時35分 読売新聞)

岩井茂樹氏記者会見


参院補選 「党再生静岡から」
 自民、岩井氏出馬表明 観光や環境に力

 富士常葉大非常勤講師の岩井茂樹氏(41)=沼津市=が25日、静岡市内で記者会見し、参院静岡選挙区補欠選(10月8日告示、25日投開票)に自民党から出馬すると表明した。
 会見に先立ち、自民県連は総務会で岩井氏擁立を了承した。26日に党本部に公認申請する。
 自民県連の公募で選考された岩井氏は、出馬に当たって「激しい逆風の中での選挙戦が続いている。自民再生は静岡から始まると発信したい」と語った。政策については「候補決定をもらったばかりで、詳細を言える状況ではない」としながらも、観光や環境分野に力を注ぎたいとした。
 知事選、衆院選と自民候補が敗れている状況には「自民は国民と寄り添っていなかったことが国民の政治不信を招いた」と指摘。党再生に向けて「若い力を取り入れたり、地域の声が中央に反映するシステムを取るべき」と述べた。
 岩井氏は名古屋市生まれ。名古屋大大学院修了。建設会社に勤務した後、国会議員秘書などを務めた。2005年の衆院選で静岡6区から立候補を目指したが断念した。元参院議員で国土交通副大臣を務めた岩井国臣氏の次男。
 参院補選には民主党県連が御殿場市の医師土田博和氏(59)の擁立を決め、共産党県常任委員の元衆院議員平賀高成氏(55)も立候補を表明している。
〈静新平成21年9月26日(土)朝刊〉

2009年9月25日金曜日

参院静岡補選に岩井氏擁立 自民県連

参院静岡補選に岩井氏擁立 自民県連
09/25 20:00 (静新webnews)

 自民党静岡県連は25日、総務会などを開き、10月25日投開票の参院静岡選挙区補選に富士常葉大の非常勤講師岩井茂樹氏(41)を擁立することを決めた。26日にも党本部に公認申請する。
 岩井氏は記者会見で「自民党を再生させないといけない。再生は静岡から始まる」と意気込みを語った。
 2005年の衆院選で、県連が静岡6区から岩井氏の擁立を内定したが、党本部が倉田雅年元衆院議員を公認したため、岩井氏は出馬を断念した経緯がある。
 補選には民主党県連が医師土田博和氏(59)の擁立を決定。共産党は元衆院議員平賀高成氏(55)が立候補を表明した。

自民岩井氏を擁立へ

自民岩井氏を擁立へ
主要政党、顔ぶれ固まる

 自民党県連は24日、10月8日告示、25日投開票の参院静岡選挙区補欠選挙(欠員1)で、富士常葉大非常勤講師の岩井茂樹氏(41)(沼津市)の擁立を内定したと発表した。民主党県連も同日、医師の土田博和氏(59)(御殿場市)の擁立を正式決定。鳩山新政権の発足後、初めての国政選挙まで約1か月と迫り、先に候補者擁立を発表した共産党と合わせて主要政党の候補者3人が出そろった。

 選考委員長の牧野京夫参院議員は24日、記者会見し、岩井氏を選んだ理由について、「自民党再生への思いや自己PR、過酷な選挙に耐えられる精神力などを総合的に評価した」と語った。小楠和男・県連幹事長は「自己アピール力を強く評価した」と述べた。岩井氏は同日、自民党県議らの会合の場に姿を現し、「死ぬ気で頑張ります」と決意表明したという。

 自民党県連によると、今月15~19日、候補者の公募を受け付け、県内外から男女計40人の応募があった。県選出国会議員2人と県連三役らでつくる選考委員会が書類審査で5人に絞り込み、22日の面接審査で岩井氏を推薦。24日の常任選対委員会などで了承された。25日の総務会で最終決定した後、党本部に公認を申請し、同日、岩井氏自ら記者会見を開き、出馬表明する。

 岩井氏は、名古屋市出身。名古屋大大学院を修了後、東京の建設会社に勤務し、2004年から参院議員だった父・岩井国臣氏の秘書を務めた。05年の衆院選で静岡6区から出馬を表明し、県連の推薦を得たが、党本部が倉田雅年・前衆院議員(70)を公認したため、出馬を断念した経緯がある。

 一方、民主党県連は24日、静岡市内で常任幹事会を開き、土田氏の擁立を正式に決め同日、党本部に公認を申請。土田氏は近く、立候補表明の記者会見を開く。

 常任幹事会後、県連会長代行の藤本祐司参院議員は擁立理由について、「全国的に医療問題はまったなしだが、医師不足解消や医療制度改革に向け、現場の声を反映させることが期待できる」などと述べた。

 同席した岡本護・県連幹事長は「医療関係団体など、我々が今まで得られなかった支援も期待できる」と述べ、従来、自民党を応援してきた医師会などの支援を得られる可能性があることを挙げた。土田氏は幹事会に出席した後、記者団に「身が引き締まる思い。医療や福祉を中心に訴えたい。民主党とは理念が一致している」と述べた。

 参院補選を巡っては、共産党県委員会が、元衆院議員で同党県常任委員の平賀高成氏(55)(浜松市)の擁立を表明している。

(2009年9月25日 読売新聞)

参院補選まで1カ月

参院補選まで1カ月
「民主、自民対決再び」
共産含む3陣営しのぎ 県東部当惑の声も





 鳩山内閣発足後、初の国政選挙として注目を集める参院静岡選挙区補欠選(10月8日告示)の投票日まで残り1カ月。民主、自民両党県連は24日、それぞれ常任幹事会、選対小委員会などを開き、民主は医師土田博和氏(59)=御殿場市=、自民は富士常葉大非常勤講師岩井茂樹氏(41)=沼津市目の擁立を決定。先に出馬表明した共産党の元衆院議員平賀高成氏(55)=浜松市=と合わせ、民主、自民の対決に共産が加わる選挙戦の主な構図が固まった。
 「鳩山首相の初陣を飾る」と意気込む民主。対する自民は「若々しい候補者を立て、民主の"売り"を奪い取った」(自民県議)。同一日程の参院神奈川選挙区補欠選とともに、来夏の参院本選挙の前哨戦ともなる。
 民主県連の岡本護幹事長は「参院の特性から、若さにこだわる必要はない。医療現場で活躍する医師だという点が(擁立の)決め手となった」と説明。さらに「医師会にも支持を求めたい」と述べ、自民党の支持基盤にも切り込みたい考え。県連には「簡単な選挙ではない。投票率アップが課題」との声も。
 一方の自民県連。同党議員の欠員回復の選挙だが、党内で正式な立候補の意思表明はなく、初の公募に踏み切った。短期の募集に40人の応募があり、小楠和男幹事長は「自民党への期待感の強さを裏付けた」と手応えを強調。県議団にあいさつに訪れた岩井氏は終始、硬い表情だったが、党本部の全面支援も期待できるという。
 共産の山村糸子県委員会委員長代理は「共産党が果たすべき役割を語る絶好のチャンス」とし、新政権に是々非々で臨む「建設的野党」の立場を訴えていく構えだ。
 土田、岩井両氏の地元となる県東部からは期待とともに、当惑の声も挙がる。
 土田氏を支援する御殿場市の会社社長は「前回(出馬した)参院選は無所属だったが、今回は民主党の力が借りられる」と期待。だが東部の連合静岡幹部は「来年の本選で(裾野市の)藤本祐司参院議員と産別比例候補を当選させることが最優先」と、補選への対応の難しさを語った。
 岩井氏は2005年の衆院選6区出馬断念後、沼津JCや「東駿河湾まちづくり研究会」などに入り、地道な活動を続けてきた。ただ、沼津市の自民党支部幹部らは「本人からも県連からも何も相談がなかった」と戸惑いを隠さない。
〈静新平成21年9月25日(金)朝刊〉

2009年9月24日木曜日

自民、岩井氏擁立へ 参院静岡補選


自民、岩井氏擁立へ 参院静岡補選
2009年9月24日(中日新聞)

 参院静岡選挙区補欠選挙(10月8日告示、同25日投開票)で、候補者を公募していた自民党静岡県連が、2005年の衆院選で静岡6区から擁立を目指した岩井茂樹氏(41)=沼津市=を候補者に内定したことが23日、分かった。
 党県連は参院補選の候補者を15~19日に公募し、約40人の応募があった。県連は県内選出の国会議員、県連三役ら7人でつくる選考委員会で、書類審査と面接を実施し、23日、岩井氏に絞り込んだ。24日開催する県連の選対委員会で発表し、後に総務会で正式に決定する。
 岩井氏は名古屋市出身。名古屋大大学院を経て、建設会社に勤務し、参院議員秘書なども経験。05年9月の衆院選では、静岡6区の候補として県連の推薦を受けたが、党本部が前衆院議員の倉田雅年氏(70)を公認決定したことから、出馬を断念した。岩井氏は岩井国臣元参院議員の次男。
 同参院補選では、共産党が党県常任委員の平賀高成氏(55)、民主党が御殿場市の病院理事長土田博和氏(59)の擁立を決めている。

自民、岩井氏を内定

自民、岩井氏を内定 公募から選考 参院補選候補
09/24 15:09(静新webnews)



 自民党県連は24日までに、参院静岡選挙区補欠選(10月8日告示、25日投開票)の候補者として、富士常葉大非常勤講師の岩井茂樹氏(41)=沼津市=の擁立を内定した。同日午後の選対小委員会と常任選対で決定し、25日の総務会で了承を得た上で、党本部に公認申請する。
 県連幹部は岩井氏を内定した理由について「若さと政策をアピールする能力が優れている。新生自民党の候補者としてふさわしい」と述べた。
 自民県連は候補者を公募し、女性を含め40人から応募があった。応募者の年代は30代から60代で県外在住者が半数を占めた。県選出国会議員2人と県連3役、女性部長、青年局長の計7人が選考委員を務め、書類選考で選出した5人に面接を行い、岩井氏を選んだ。
 岩井氏は名古屋市生まれ。名古屋大大学院修了。建設会社に勤務した後、国会議員秘書などを務めた。静岡6区から立候補を目指した2005年の衆院選では、県連が候補に内定し党本部に公認を申請したが、倉田雅年氏(70)の4区からの国替えにより出馬を断念した。父親は元参院議員で国土交通副大臣の岩井国臣氏。
 参院補選では、共産党県常任委員の元衆院議員平賀高成氏(55)が出馬を表明し、民主党県連は24日の常任幹事会で御殿場市の医師土田博和氏(59)の擁立を決めた。

2009年9月23日水曜日

25%削減

温室ガス25%削減もいいが、議員給与25%削減もお願いしますよ。


2009年9月22日火曜日

亀井大臣:社長のクビとってね。


米政権に匹敵する鳩山内閣 佐藤隆三

 米政権に匹敵する鳩山内閣 佐藤隆三
 期待と失望が米国の原動力
 「日本人にも政治への期待感がこんなにあったのだ」。これは鳩山政権発足の翌日に、米国から帰国した際に感じた日本国内の強烈な印象である。えも言われぬ高揚感が至る所に瀕(みなぎ)っていたのだ。
 約半世紀間、日米を往復してケネディ大統領就任からオバマ大統領のホワイトハウス入りを目の当たりにしてきた。その都度体感した米市民の興奮ぶりに、政治への期待と失望のサイクルこそが米国政治を突き動かす有権者の巨大なエネルギーなのだ、と痛感した。ひいてはこのエネルギーが経済や外交にも波及する。つまり政権交代が米国の力の源である。
 とはいえ、政権交代が米国を常に正しい方向に導いてきた、とは言い難い。ジョンソン政権によるベトナム戦争への深入り、ニクソンのウォーターゲート事件、そしてブッシュのイラク戦争も米国を誤った方向に導いた。だがそのたびに米国民は、次期こそは、の期待と希望で軌道修正に立ち上がってきた。これが米政権交代の意義である。
 日本では事実上4年前に一種の政権交代が起こった。小泉政権の発足がそれだ。小泉内閣はいわば自民党から分裂した「小泉党」が作った政権であった。有権者はあの時にすでに自民党から離れて、別の党による政権交代を求めていた。だから「自民党をぶっ壊す」と言った小泉氏に野党的新風を感じ、当時の日本には一時的に閉塞(へいそく)感打破の高揚感が溢(あふ)れた。だが、筆者自身はその米国模倣の経済政策に危うさを感じ、あの疑似政権交代を支持する気にはなれなかった。
 安倍、福田、麻生と続いた3代の内閣は、小泉党・小泉政権の負の遺産を相続し苦しんだ。サプライズ人事や人気だけで首相を選ぶ手法で小泉政権を真似たが、自民党の旧弊をそっくり残した残骸政権にすぎなかった。
 では、あのまま小泉党政権、あるいは小泉政権と同じ政策を続ける内閣が存続していたらどうなっていたか。結果は、より悲惨な経済格差が国民を苦しめていたであろう。その理由は小泉政権の矛盾は、官から民へを主張しながら官を優遇し続け、民だけに競争を押しつける変則的市場主義だったからだ。タクシー台数だけ増やす規制緩和政策はその好例である。
 弱者への政策不可欠な日本
 鳩山民主党政権は、小泉及び自民党残骸政権の矛盾に対する有権者のノーが選んだものだ。4年前に刷新への期待を担って誕生した小泉及び自民党残骸内閣に代わり、官を脱し民に温かい競争主義を求める政策を国民が期待した民主党政権である。新内閣の人事を見る限り、麻生お友達内閣と比べて現在の日本が提供できる最高の人材を要所要所に据えた、と言える。米オバマ政権の閣僚たちとも互角に渉(わた)り合える人たちだ。
 競争と切磋琢磨(せつさたくま)は社会の発展や向上のために必要だが、弱者への温かい政策はいまの日本に不可欠である。バラ播(ま)きとされる、育児教育や医療及び農業支援は、米国との比較においても当然の支出である。米国公立高の教育はほとんど無料である。日本の民主党政策は、消費だけを伸ばす、と批判されるが、GDP比で先進国中最低の日本の消費を増やすことが内需拡大の第一歩である。
 今回の政権交代にも失望や不満が遠からず生まれるだろう。混乱と試行錯誤も繰り返すだろう。だが鳩山新内閣は政権交代時の「身震いするような」感激を持ち続けてもらいたい。(ニューヨーク大名誉教授)
(静新平成21年9月22日「論壇」)

2009年9月20日日曜日

「二大政党制と政権交代」橋爪大三郎

「二大政党制と政権交代」橋爪大三郎
 参院を比例代表制に
 民主党が圧勝した。戦後初の、選挙による本格的な政権交代だ。小選挙区制が、やっと設計どおりの性能を発揮した。8月30日は、戦後政治の転換点として、歴史に刻まれるだろう。
 二大政党制と民意による政権交代が定着すれば小選挙区制は大成功。ただ今回、問題点も浮かびあがってきた。
 振り子の幅
 まず第一に、振り子の幅が大きすぎる。4年前は小泉旋風。今回は民主党への追い風が吹き荒れた。有権者が少し態度を変えるだけで、議席が大幅に増減する。1票の手応えに満足しないで、有権者も、小選挙区選挙の性質を学習し、もう少し賢明に投票すべきだ。
 これだけ振れ幅が大きいと、現職議員がごっそり落選する代わりに、大量の新人(チルドレン)が当選してくる。世代交代は必要だ。でも度を超すと、政治家の質が悪くなる。リスクが大きすぎて優秀な人材が政治を目指さなくなるからだ。
 第二に、少数政党の存在理由をどう考えるか。公明党は今回、八つの小選挙区で全敗した。比例区のおかげでそこそこ議席を保ったが、単純小選挙区制だったら、第3党以下は消滅だ。
 自公連立は、自民党の小選挙区対策だった。3~5議席を争う中選挙区では、投票数の15%も固めれば当選。だが小選挙区では50%が安心ラインだ。そこで自民党は公明党の集票力に期待して手を結び、支持率が低下するなか10年間政権を保ってきた。でも今回、公明党の集票力は、有権者のひき起こす「風」にかなわないことが明らかになった。
 小党のジレンマ
 連立は、議席の少ない政党も政策に直接影響力を及ぼせるので、小党に有利である。逆に言えば多数党に不利。マニフェストを読んで投票した大多数の有権者の意思を、小党が連立協議でひっかき回せば、民主主義の原則に反してしまう。与野党が伯仲して小党がキャスチングボートを握るのは、二大政党制でありがちとは言え、望ましい現象ではない。
 連立にからまない第3党以下は、政策を実現するチャンス、つまり存在理由が問われる。でも連立にからむと、第1党に票を投じた多数者の意思を、少数者が損なったと言われてしまう。解きがたいジレンマだ。
 第三に、これと関連するが、二院制は衆院の小選挙区制のもとでうまく機能できるのか。
 衆院で単独過半数を占めた民主党が、社民、国民新党と連立するのは、参院でも過半数がほしいから。「ねじれ国会」で苦しんだ自民党の二の舞いは嫌なのだ。戦後、自民党が両院で多数を占めていたあいだ、ねじれはなかった。今後は、衆院で与野党が逆転するたび、ねじれを覚悟しなければならないのか。
 チェック機能
 だが待ってほしい。二院制はもともと、衆院の暴走を参院がチェックするためのものだった。とすれば、ねじれは正常な姿だと言えないか。
 民主党は、衆院の比例区を180から100に削減するとしている。二大政党制に向けて、さらに半歩前進だ。でもそれなら、参院の選挙制度はむしろ比例代表制に改めたらどうか。小選挙区制は政権選択に、比例代表制は少数意見の尊重に、向いているからだ。
 これまで参院は衆院のコピーで、憲法の期待するチェック機能が働いてこなかった。ねじれを解消するよりも、衆院の優位と参院のチェック機能が調和する、うまい仕組みをゼロから超党派で考えるほうがよいと思う。
 民主党がどのような政権をスタートさせるか。民主党は来年の参院選に勝利し、両院の安定多数をめざすだろう。だが、民主党の圧勝を境に、風向きは変わったと思う。119議席の自民党は、解散が怖くない。これからは攻め放題だ。
 民主党は国会で、時間をかけ、とことん政策論争をしてもらいたい。そして時には、重要法案の修正に応じる。法案の賛否にいちいち党議拘束をかけるのもやめる。そういう健全な議会運営の慣行を育て、自民党と協力できるなら、いま小手先の連立に走る必要はないはずである。(東京工業大教授)
(静新平成21年9月19日「論考09・9月」)

2009年9月19日土曜日

鳩山新内閣発足


識者評論「鳩山新内閣発足」㊤
「脱官僚依存」の危機 評論家 立花隆氏
 党組織の権力強大化
 鳩山新政権が成立した日、真夜中にはじまった新閣僚の記者会見を見て、途中からウンザリするとともに、こりゃダメだと思った。「これは明治維新以来の革命だ」だの、「新しい歴史が切り開かれた」だの、もっともらしい美辞麗句がさかんにならべられたが、その革命の実体がさっぱり見えてこない。
 政権交代が事実上確定したのが、もう2週間以上も前だというのに新政権への移行が何も準備できていないのだ。国家戦略局という新しい組織。そこで予算編成の大枠から、あらゆる国家的グランドデザインを練るという。
 担当の副総理菅直人は、どういうスタッフで、この組織を運営するのかと問われて、新組織だからスタッフは事実上いない(民主党の担当職員が若干)と白状せざるをえなかった。予算を直接担当する財務省との線引きを問われると、財務大臣とよく話し合うとしか答えられなかった。国家戦略局は、小泉内閣の経済財政諮問会議(廃止する方針を表明)に代わるものなのか、と問われると、原理的に全くちがうという理念的な説明しかできなかった。
 具体的な話ができず、理念的な答弁しかできなかったのは菅直人だけではない。既存の組織を持つ大省庁の担当大臣も同じだった。みな具体的仕事を担当する事務方の役人と事前の打ち合わせが何もできなかったから具体的な話ができないのだ。
 鳩山内閣がスローガンとしている「脱官僚依存」を実現するために、官僚と事前の打ち合わせをしないように強いお達しが出ていたのだという。
 聞いて唖然(あぜん)とした。どんな仕事も、現場の担当者との打ち合わせ抜きにいい仕事ができるわけがない。大臣になったらすぐに事務方と打ち合わせて、もっと中身があることをしやべるべきだった。
 少数のベテラン政治家は自分の言葉で中身があることをしゃべったが、多くのダメ大臣たちは、「これからやるべきことはすべて、マニフェストに書いてあります。私はマニフェストでお約束したことを忠実に実行していくだけです」の一言をいろんなバリエーションでしゃべっただけだった。こいつらアホかと思った。民主党は何か根本的なところでかんちがいしているのではないか。官僚と事前打ち合わせをさせたら官僚のマインドコントロール下におかれてしまうと心配したようだが、そういう低レベルのダメ政治家を大臣に任命したからこんなことになるのだ。お粗末人選をタナに上げて、もっぱら官僚を諸悪の根源視したのは筋ちがいだ。官僚は行政のプロであり、行政組織とは官僚の集まりそのものである。総理大臣は行政組織の長なのだ。官僚の長が脱官僚をいうなど大まちがいだ。大臣もいい仕事をするには、官僚を敵にまわすのではなく、公僕としてもっともっと働かせることを最優先すべきだ。
 だいたい、マニフェスト、マニフェストとしかいえない政治家たちは、一見「脱官僚依存」したようで、マニフェストを作った「党官僚」への依存を強めただけではないのか。政治家にとって一義的に重要なのは、自立心であり、自分の考えを持つことだ。議員の党官僚への過度の依存は党官僚組織を強大化し、かつてのスターリンのような党書記長職の権力を一方的に高めてしまう。これはキケンだ。
(静新平成21年9月18日夕刊)
識者評論「鳩山新内閣発足」㊦
永久闇将軍的権力の確立 評論家 立花隆
 角栄超える小沢幹事長
 民主党の場合、スターリン的な党組織の専制政治化がすでにもたらされているのではないか。この場合、書記長ではなく幹事長と呼ばれているが。
 今回の選挙の最大の立役者として、幹事長小沢一郎の功績が大きく評価され、参院選も彼が中心的に仕切ることになった。すでに民主党内の小沢の影響下にある議員の数は150人になんなんとして、ゆうに一つの政党以上になっている。日本の政治史上、これにならぶ数の力を一身に具現したのは、全盛時代の田中角栄だけである。あの時代、田中は自民党の総裁すなわち日本国の総理大臣の首を次から次にすげかえ、希代のキングメーカーといわれた。
 この勢いで参院選でも小沢の勢力がふえると、小沢は民主党の代表の首を自由にすげかえることが可能になり、民主党を足場にした小沢の永久闇将軍的権力が確立することになる。田中の秘蔵っ子といわれた小沢の政治家のモデルは田中角栄である(とくにその政治力の行使の仕方において=自分の思い通りに政治を動かそうとする欲望の強さにおいて)。そこまでいくと、小沢は師をしのぐことになる。
民主党のプランによると、官僚組織の中に多数の政治家を副大臣とか政務官などの形で送りこむことになる。それと、国会の各常任委員会を多数派として支配することを通じて、官僚組織を完全にコントロールできる体制をととのえるのだという。
 そうなると、世界最強といわれた日本の官僚組織が小沢の完全コントロール下におかれるわけだ。そのような未来を予知させる事態がすでに出現している。官僚の力をそぐために、事務次官など官僚組織のトップが独自の記者会見をすることが禁止された。官僚の情報発信力を奪ってしまうわけだ。官僚組織のトップたちの集まりであった事務次官会議もつい最近廃止された。官僚たちの内部的自己調整機能を奪うわけだ。
 事務次官会議を仕切るのは事務方の官房副長官で、影の総理大臣と呼ばれてきた。麻生政権最後の官房副長官は元警察庁長官の漆間巌で、彼は、民主党代表だった小沢の西松建設からの献金問題が起きたとき、「この事件は自民党には波及しない」とのイレギュラー発言をしたことで、民主党(つまりは小沢一郎)の怒りをかっていた。今回事務次官会議廃止でクビを取られたのもそのせいだろうといわれている。
 西松建設事件の影響は他にもある。あのとき、小沢に民主党代表を辞任すべしとアドバイスした民主党長老が一人は渡部恒三、もう一人は藤井裕久だった。渡部は今回の人事で衆院議長確実といわれたのに外された。藤井は財務大臣確実といわれたのに一時は外されかかった。それもあの辞職勧告のためといわれた。
 ともかく、今回の人事で閣僚人事も、党役員人事も基本的に小沢の圧倒的な影響下で決されていったと伝えられている。これから民主党の政治家たちはみな小沢の影響下におかれざるをえないし、日本の官僚組織のすべても小沢の意向を気にしながらことを決めていくことになるだろう。岩手小沢王国で起きたことがこれから全国規模で起きていくことになるのではないか。
 そんな世の中になったらたまらんなと思う。一見清新な鳩山政権の誕生も素直には喜べない。
(静新平成21年9月19日夕刊)

「政務三役」県内4氏が意欲


 鳩山内閣担う「政務三役」 県内4氏が意欲
 鳩山内閣発足に伴う新政権人事で、それぞれ総務省と防衛省の副大臣に決まった民主党の渡辺周氏(衆院静岡6区)と榛葉賀津也氏(参院静岡選挙区)は、18日夕に皇居で行われた認証式に出席し、正式に就任した。また、同党の田村謙治氏(衆院静岡4区)と藤本祐司氏(参院静岡選挙区)が同日、官邸で鳩山首相からそれぞれ内閣府政務官、国土交通政務官の辞令交付を受けた。
 民主党は、各府省の大臣、副大臣、政務官の「政務三役」が一体的に政策を立案、決定する政治主導で霞が関改革を行う方針を打ち出しており、副大臣、政務官両ポストの職責は従来に増して重くなる見通し。
 渡辺氏は「密な連携が不可欠。一丸となって地方分権を推し進め、地方に活性化をもたらしたい」と意欲を示した。同省は消防庁も所管していることから「(東海地震など)大地震の防災体制を積極的に確立させる」とも話した。
 榛葉氏は、直前まで務めていた参院外交防衛委員長からの"昇格人事"となった。自身の起用について「想像もしなかった」と表情を引き締め、「現場の自衛官がより一層誇りを持って仕事ができる環境を整え、国民に信頼される防衛省を築きたい」と語った。
 財務省出身の田村氏は金融担当が有力といい、「与えられた仕事をまっとうし、脱官僚依存を実現させたい」。藤本氏も「自分の専門性を生かしながら、責任ある与党として国民の期待に応えたい」と抱負を述べ、新政権を全力でもり立てていく姿勢を強調した。
(静新平成21年9月19日(土)朝刊)

2009年9月18日金曜日

参院補選 民主、土田氏擁立へ 御殿場の医師


参院補選 民主、土田氏擁立へ 御殿場の医師
09/18 14:43(静新webnews)
 参院静岡選挙区補欠選(10月8日告示、25日投開票)で、民主党県連が同党公認候補として御殿場市の医師土田博和氏(59)を擁立する方針を固めたことが18日、分かった。県連は党本部と最終調整の上、24日に常任幹事会を開いて正式決定する見通し。
 関係者によると、県連の榛葉賀津也会長、岡本護幹事長らが17日に都内で土田氏を交えて会議を開き、擁立を内定、小沢一郎党幹事長にも面会して報告したという。土田氏は医療や教育の改革などを訴え、2007年の参院選に無所属で出馬して落選した。
 国民生活を優先する党の政策と、土田氏の政治的な主張に一致する部分が多いとの判断が働いたとみられる。候補者の選考過程では、党所属県議ら数人の名前が挙がっていた。
 土田氏は石川県生まれ。沼津東高、関西医科大卒業後、1982年に御殿場市に整形外科病院を開業した。
 県連は今月8日の常任幹事会で、遅くとも今週までの候補者決定を目指すことを確認。榛葉会長は小沢幹事長から同補選について、「安定した参院運営のため、必ず(議席を)取らなければならない」と直々に指示されたという。
 同補選では、共産党県委員会が元衆院議員の平賀高成氏(55)の擁立を発表。自民党県連は候補者を公募中で29日の臨時県連大会までに決定する。

2009年9月16日水曜日

静岡政治

 総裁選の投票用紙 自民県連が発送準備
 18日告示の自民党総裁選に向け、自民党県連は15日、党員投票用の往復はがきを党員、党友に発送するための準備作業を静岡市内で行った。約40人が、往復はがきにあて名シールを張り付けた。
 対象は8月31日までに党員、党友の手続きをした約3万2千人。地方票300票のうち、県内分は各都道府県に割り当てられる3票に加え、残りは党員数に応じて配分されるため、7票前後になるという。総裁選実施が確定し次第、はがきを発送する。投票日前日の27日到着分まで受け付け、ドント方式で候補者に配分する。
 県総裁選選管委員長の小楠和男県連幹事長は「総裁選は地域の声が反映され、国民全体が注目している」と述べた。

 参院補選に独自候補 共産党県委
 共産党県委員会は15日の総会で、参院静岡選挙区補欠選(10月8日告示、25日投票)に独自候補を擁立する方針を決めた。県委員会幹部を軸に詰めの選考作業を行っている。
 民主党県連は先の常任幹事会で、党本部と連携して候補者を擁立する方針を決めている。自民党県連は候補者を公募中で、29日の臨時県連大会までに決定する。
(静新平成21年9月16日(水)朝刊)

2009年9月15日火曜日

参院補選、自民が公募を決定 県連きょう会見

参院補選
 公募「自民再生へ期待」 県連、19日まで受け付け
 自民党県連は14日、参院静岡選挙区補欠選(10月8日告示、25日投票)の候補者を公募すると発表した。受付期間は15~19日で、29日の臨時県連大会までに決定する。県庁で記者会見した小楠和男幹事長は「清新で有為な人材を得たい。自民再生のために汗をかき、努力する人を期待したい」と述べた。県連として公募を実施するのは初めて。
 8月の衆院選県内全小選挙区で党公認候補が敗れた結果などを受け、公募を決めた。民主党を中心とする連立政権誕生後の初の国政選挙となることから、小楠幹事長は「地方組織も変わらなければいけない。"再生自民"を地方から打ち出していく必要がある」と強調した。
 選考委員会は党所属国会議員2人と県連3役、青年局長、女性部長の計7人で構成し、書類審査と面接審査を行う。公募で候補者が決定できなかった場合、「その時点で対応を考える」(小楠幹事長)という。
 対象者は30歳以上で県外在住者も応募できる。自薦、他薦は問わない。「政治に対する信条」をテーマにした論文(2千字以内)などを提出する。申請書と履歴書は県連ホームページからダウンロードできる。
 問い合わせは自民党県連〈電054(255)0491〉へ。
(静新平成21年9月15日(火)朝刊)


参院補選、自民が公募を決定 県連きょう会見 
09/14 07:43 (静新webnews)
 自民党県連は13日、参院補選(10月8日告示、25日投票)の候補者擁立を協議する3役会合を浜松市で開き、候補者選考を公募により進める方針を決定した。小楠和男幹事長は、会議後「方向性は固まった」と述べた。14日にも会見を開き、公募の手続きなどを公表する。
 会合では知事選、衆院選の敗因を分析。参院補選を候補者擁立作業を含め、地方からの党再生のスタートと位置付けることで一致。党の将来像を明確にした上で、清新な人材を幅広く求めていくことにしたという。
 会合は、県連会長就任が内定している塩谷立衆院議員(比例東海)の事務所で行われた。牧野京夫参院議員(静岡選挙区)も同席した。
 県連は13日までに、三島、静岡、浜松の3市で、支部役員らと地域の政策課題や政治情勢について意見を交わす政調会の地区会合を開いた。出席者によると、各会合では知事選や衆院選の十分な総括を求める指摘が相次いだほか、参院補選について公募を提案する声もあったという。

2009年9月12日土曜日

自民静岡県連

自民県連 参院補選公募も検討
 29日に党大会 会長塩谷氏就任へ
 自民党県連は11日、役員会と議員総会を開き、空席となっている会長を選任する臨時党大会を29日に静岡市で開催し、10月25日投票の参院補選の候補者を、同大会までに決定する方針を固めた。補選の候補者擁立は公募による選考も含め、執行部が引き続き協議する。県連会長人事は国会議員での互選となり、塩谷立衆院議員(比例東海)が就任する見通しとなった。
 総会後に会見した小楠和男幹事長は、補選の候補者について「具体的な名前は出ていないが、自民党再生にふさわしい若い人をという意見があった」と報告。その上で「補選に出馬した人が来年の参院本選挙の候補者として一番有力」との考えを示した。
 先の全国幹事長会議で党本部が静岡と神奈川の参院補選を「反転攻勢の場」と位置付けたごとに、小楠幹事長は「県連組織は知事選と衆院選の連戦、連敗で疲弊している。(選挙活動の)母体となる選挙区支部すら機能しない支部が出始めている中で、戦うには難しい状況」と述べ、候補者擁立作業の難しさを指摘した。
 県連会長を国会議員に要請したことは「国政選挙を戦う上で党本部とのパイプが必要」と理由を説明した。会長の任期は来年5月の県連大会までとなる。
 また、元県連幹事長の浜井卓男県議会議長(浜松市西区)が衆院選期間中に7区の無所属候補を応援したとして、党紀委員会を16日に開くことも決めた。
(静新平成21年9月12日(土)朝刊)

2009年9月11日金曜日

西伊豆町・松崎町・東伊豆町

西伊豆町長 補正額を大幅に縮小14日提出 臨時交付金事業など見送り
 西伊豆町の藤井武彦町長は10日、3日の9月定例会で否決された本年度一般会計補正予算案を大幅に縮小した修正案を、14日の定例会最終日に提出する方針を固めた。
 修正案は義務的経費や8月の地震災害復旧事業費(2020万円)などが中心で、補正規模は約7560万円と当初案の約半分。低公害車導入費や防災行政無線難聴対策整備工事費などが含まれる政府の地域活性化・経済危機対策臨時交付金事業(4880万円)や、子育て応援特別手当事業(720万円)、鳥獣害対策に充てる林業振興費(90万円)などの予算化が見送られる見通し。
 藤井町長は「議決を軽視することはできない」とした上で、「当初案に賛成した議員5人からの要望もあり、緊急性の高い項目を盛り込んだ」と説明した。3日の定例会では、580万円の低公害車導入費をめぐり車種や購入目的が明確でないことに批判が集まり、当初案の採決は賛否同数となり、議長採決で否決されていた。

 松崎町議会5議案を可決
 松崎町議会9月定例会は10日、本会議を開き、政府の地域活性化・経済対策臨時交付金に関連した浸水対策基本計画策定事業費などを盛り込んだ1億1000万円の一般会計補正予算案など5議案を原案通り可決した。

 東伊豆町議会 4議案、原案通り可決
 東伊豆町議会9月定例会は10日、前日に引き続き3氏が一般質問を行ったほか、出産一時金を増額する町国民健康保険条例の一部改正案など4議案を審議し、原案通り可決した。
(静新平成21年9月11日(金)朝刊)

2009年9月10日木曜日

次期衆院選 柳沢氏、3区出馬断念

次期衆院選 柳沢氏、3区出馬断念
 政治活動は継続 後継選び課題
 
 衆院選の結果を総括する自民党静岡3区支部(柳沢伯夫支部長)の常任幹事会が9日、袋井市内で開かれ、会議後、柳沢氏は次期衆院選への出馬の意欲を問う静岡新聞社の取材に「何があるか分からないが、タイミング的に考えにくいということに尽きる」などと述べ、3区からの立候補を事実上断念する考えを示した。
 今後、焦点となる3区の後任候補者選びについて、柳沢氏は「私から意見を言う立場にはもうないと思う。聞かれれば言うし協力もしたいが、聞かれないのに言うのは差し控えるべき」と述べた。
 柳沢氏は袋井市内の本部事務所を近く閉鎖し、3区支部の残務整理は磐田市内の事務所に集約する。新たに東京都内に事務所を構え、「生きた情報を地元に伝えるのは使命」(柳沢氏)として政治活動は続ける。
 幹事会に出席した県議の1人は、柳沢氏の進退の判断について「東京に事務所を構えるというのは完全な政界引退ではないと思うが、年齢に対する一般の見方や世代交代論などもあるのでは」と述べた。
 柳沢氏は旧大蔵省官僚を経て1980年6月衆院選に初当選し、8期の間に旧国土庁長官や金融担当相、厚生労働相などを務めた。
(静新平成21年9月10日(木)朝刊)

2009年9月8日火曜日

 参院静岡補選

 参院静岡補選
 候補者選定悩む民・自
 民主「つぶし合い回避を」
 自民「体制立て直し先決」
 来夏の本選視野に
 参院前職の知事選出馬に伴って行われる参院補欠選挙(10月25日投票)をめぐり、民主、自民両党の県内関係者が候補者選定に頭を悩ませている。告示まで1カ月と準備期間が短く、それぞれに"お家事情"を抱えているためだ。天下分け目の衆院選が幕を閉じ、世間の関心は鳩山新政権の人事に移ったが、県内での民主党と自民党の対決は続く。
「次も必ず勝たなければ。負ければいきなり『鳩山政権に暗雲』と言われる」。県選出の民主党衆院議員の一人は、衆院選圧勝にも気を緩めず先を見据える。次期参院補選は新政権誕生後に行われる初の国政選挙で、全国的な注目を集めることは必至。政権運営を軌道に乗せるためにも補選勝利は至上命令というわけだ。
 一方で、来年の参院選をにらんだ候補者選定の必要にも迫られている。補選を制すれば来年改選を迎える現職が2人となり、静岡選挙区の2議席をめぐってつぶし合いになりかねないとの懸念があるからだ。ある県連関係者は「基本線は本選で比例区に回ってもらえる候補。それには知名度が欠かせないが、今からお願いできる人がいるかどうか…」とこぼす。
 今回争うのは自民党が持っていた議席。民主党は参院で過半数を握っていないため、「どうしても取りたい」(同党中堅議員)。別の衆院議員は「県民に党内事情は関係ない。とにかく勝てる候補を出すだけ」と強調する。
 対する自民党は、衆院選惨敗の影響が色濃く残る。当初は、県選出国会議員が7月に開いた会合で、9月上旬までに候補者を決定する方針を確認していた。しかし、衆院選の結果、9人いた衆参国会議員が2人に激減。県連会長も辞任して空席となり、「補選の対応よりも県連の体制立て直しが先決」(県連幹部)という状況に追い込まれた。さらに、麻生太郎総裁も敗戦の責任を取り辞任の意向を表明。総裁選は28日投開票となり、参院補選の指揮を執る新執行部の発足は9月末までずれ込む見込み。県選出議員の一人は「党本部がガタガタでは、相談するのにも困る」と苦しい胸の内を明かす。
 県連は、補選の候補者を来年の本選にも出馬させることを視野に擁立作業を進める見通し。県内で民主党との一騎打ちになれば、現状では苦戦を強いられる可能性は高い。しかし、ある県連幹部は「とにかく不戦敗は絶対あり得ない。来年につながる選挙にしなければ」と危機感を募らせる。
(静新平成21年9月8日(火)朝刊)

沼津商議所市に要望


 沼津商議所が市長に
東駿河湾環状道路建設促進を求める
 沼津商工会議所は7日、栗原裕康沼津市長に、未年度の市商工行政に対する要望書を提出した。中心市街地の活性化など交通運輸や観光、工業など、要望は各分野で22項目にわたる。このうち東駿河湾環状道路西側区間原町-沼津インター間)の建設促進など7項目を新たに盛り込んだ。
 新規要望はこのほか、浜松市が導入した「経営セーフティ共済掛金助成制度の創設」、沼津の新名物として愛好家に人気を集めている「沼津港の夕日のPR」など。静岡空港を機に新たな観光ルート設置といった観光振興策、沼津地域中小企業支援センター設置も継続事業として要望した。
 後藤全弘会頭が「各部会での議論や意見を集約した。地域活性化のため必要と思われる事業の実現に向け積極的支援を期待している」と述べ、栗原市長に要望書を渡した。
(静新平成21年9月8日(火)朝刊)

 予算時期迎え商議所が市に要望
「政権代わり見通しの難しさ指摘」
 商工会議所(後藤全弘会頭)は七日、「商工行政等に関する要望書」を栗原裕康市長に提出した。後藤会頭をはじめ、副会頭ら七人が市役所を訪れ、後藤会頭から栗原市長に要望書が手渡された。市の来年度予算編成に向けての十九項目(うち新規七項目)で、地域活性化に向けて内容をまとめた要望。
 要望書を受け取った栗原市長は「庁内で検討しできるだけ応えるようにしたいが、政権が代わり今後どうなるか見えないところが多い」として、第二東名へのスマートインターチェンジ導入の要望を例に難しさを指摘。
 「民主党の商工行政は、マニフェストを見ても大した目玉はない。そういうことを含めて特に国、県との連携が多いので、様子を見ながら(国、県と)打ち合わせをしていきたい」とした。
 さらに、県と市が進めているコンベンションセンター建設について「川勝(平太)知事が『県産材を使え』ということで、『丸太を使えばいい』と思ったが、『森みたいにしろ』と言われ、お金がかかることから…」。
 また、「来年度予算編成に向けて(民主党が)概算要求を見直すと言っている。そうなると県も見直し、当然、私達(市)もそうなるから」と見通しが定まらない様子を示唆した。
 要望の新規項目は「来街者に分かりやすい沼津駅(南口)交差点地下道案内表示の改善及び清掃」「東駿河湾環状道路西側区間(原町~沼津IC)の建設促進」「東名愛鷹パーキングエリア並びに、第二東名高速道路沼津サービスエリアへのスマートインターチェンジの導入」「沼津港の夕日の仕掛けづくりや周知」「沼津ブランド認定制度運営に対する支援」「経営セーフティ共済掛金助成制度の創設」「エコアクション21取得企業に対する助成金の創設」。
 「沼津港夕日」では、夕日が波で揺れる海面に反射し「タコ(蛸)」に見え観光に使えること、「経営セーフティ共済掛金」では連鎖倒産防止などのための共済掛け金の一部を助成してもらうこと、「エコアクション21」では、ISO取得よりも容易に取り組めるエコアクション21取得の支援を求めている。(沼朝平成21年9月8日号)

2009年9月5日土曜日

小選挙区の区割り

「小選挙区の区割り」
 単なる数合わせ見直しを
 政権選択選挙と位置付けられ、民主党が政権交代を実現した今回の衆院選。マニフェストの浸透、インターネットの活用、集票組織の弱体化…。取材を通じて、選挙の質も劇的に変化しているように感じた。ネット選挙"解禁"など選挙制度の見直しに向けた議論は進むだろうが、小選挙区の区割りにも目を向けてもらいたい。
 同じ行政区に2、3の選挙区が混在する地域は「平成の大合併」によって、浜松市や富士市をはじめ全国的にも増えた。今回取材した伊豆の国市は、旧伊豆長岡町が富士市や御殿場市と同じ5区、旧韮山、大仁町が沼津市や伊東市と同じ6区で、前回に続き選挙区が二つに分かれた。
 4年前の衆院選は富士支局で取材した。工場の多い富士市と温泉地の旧伊豆長岡町では生活圏どころか明らかに地域性が違う。当時も、富士市が三島市と同じで富士宮市と異なる選挙区ということに違和感はあったが、伊豆の国市の場合も、伊豆箱根鉄道沿線で三島市と結び付きの強い旧韮山、大仁町が沼津市と同じ6区。5区と6区の区割りについて、納得のいかない県東部の有権者は多いのではないか。
 5区の端に位置する旧伊豆長岡町は、選挙期間中にほとんど候補者が入らず、選挙戦は盛り上がりに欠けた。多くの市民から「選挙区の端っこだから、候補者に関心を持たれない」「地域の実情に合っていない」との声が聞かれた。狩野川治水や伊豆長岡温泉の観光振興といった伊豆長岡地区の課題は、人口規模の大きい地区に比べて、優先順位が低くなるのではという懸念はつきまとう。
 さらに、自民党も民主党も各区に党支部や後援組織を置き、個別に選挙運動を展開。「合併後の市に一体感が生まれない」という指摘もある。自治体にとっては、5区と6区で開票作業を別々に行うため人員や労力の面で大きな負担となる。
 来年の国勢調査の結果を基に、総務省の衆議院選挙区画定審議会が区割りを見直す。単なる数合わせの区割りではなく、民意を政治にどう反映させるのか、そのために国会議員はどのような役割を果たすべきなのか、という視点を持つことが大事だ。区割りの大前提となる議員定数も含めて、時代や実情に合った選挙制度を目指して議論する必要がある。
(大仁支局・大橋弘典)
(静新平成21年9月5日「湧水」)

2009年9月4日金曜日

民9自1の波紋:1

 衆院選しずおか
「民9自1の波紋」1「自民敗北の予兆」
 「もっと若者いないと」
 民主党が県内でも大躍進した衆院選から一夜明けた31日。民主新人に敗れた自民党の柳沢伯夫氏(74)は袋井市の事務所で、主な支援者にお礼の電話を掛けた。前夜の敗戦の弁で、目を潤ませ「残念というほかない」と頭を下げた柳沢氏。8回の当選を支えてきた強い保守地盤の3区でも、自民が歴史的敗北に至る予兆はあった。
 投票日が迫った8月27日、柳沢氏は出身地の袋井市内での集会で、支持者に心情を吐露した。
 「ミスばかりしてきた自民におきゅうをすえないと、というのが国民のみなさんの"ムード"。敗北の覚悟をしている」 あまりに率直な危機感の訴えに、満席の会場は静まり返った。
 柳沢氏は続けた。「戦う相手がいない。ムードですから」 柳沢氏は景気回復と経済成長のための政策を地道に訴えた。ただ、陣営には昔ながらの選挙運動の手法も敗因となったとの指摘がある。
 年配者が目立った集会もその一つ。袋井市内で20日に企画した若手決起大会で柳沢氏は「若者と政治を結、び付ける機会をこれまであまり持ててなかった。率直に言って申し訳ない」と弱点を認めた。掛川市内で23日に行った集会でも、掛川市議の一人は「もっと若者がいないと」と、満席を喜ぶよりも、支援者の高い年齢層に表情を曇らせた。
 掛川市役所に、期日前投票のため訪れた60歳代の男性。支持政党は自民党だが「自民は今の国民生活の本当の窮状を分かってない。4年間待てないし、今回は民主の『生活第一』に懸ける」と述べ、民主候補に1票を入れた。
 31日朝。4区の自民党の望月義夫氏(62)の選対に入り、望月氏を全面支援してきた静岡市清水区の会社社長は「民主党圧勝、政権交代」を報じる新聞を手に、ため息をついた。
 「従来型の組織選挙じゃ駄目だった。市民の目線で、大衆を巻き込んだ運動が必要だった」 望月氏苦戦は陣営も心得ていたが、総決起大会には3千人以上を集め、個人演説会も反応は良かった。動員では同区の民主候補を寄せ付けなかった。ただ、自民党静岡市清水支部の元役員は、党が誇る動員力を冷静に分析した。
 「いつも1票を入れてくれる人が"顔合わせ"する儀式になっているのかもしれない。票の広がりにつながらなければ意味がない」
 1区の県都決戦で敗れた自民上川陽子氏(56)。選挙区全域を歩くローラー作戦など陣営の実動部隊を担った女性部の幹部は30日夜、テレビの選挙報道を見ながら「自民の政策が優れていると丁寧に知らせて回った。汗をぬぐってお願いした。でも『自民に入れます』と言ってくれない。10年前の選挙なら考えられないことが起きていた」と打ち明けた。
 上川氏は31日朝、静岡市内で街頭演説に立った後、選挙戦を苦々しく振り返った。
「地方で頑張っても、中央からわき起こったうねりに、あらがうことはできなかった。上川対民主候補でなく、上川対民主党の戦いになってしまった。有権者は、比例票を2票投じていたかのようだった」

 国民の1票が国政に歴史的転換をもたらした衆院選。なぜ自民はわずか1議席にまで敗北し、飛躍を果たして9議席を得た民主にはどんな課題が待ち受けているのか。水面下で進行していた県内政局のうねりを検証し、県民生活に広がる波紋を探る。
(衆院選取材班)
(静新平成21年9月1日「民9自1の波紋」)

 衆院選しずおか:2
「民9自1の波紋」「知事選の明と暗」
「 組織の結束力に隔たり」
 1日の県議会自民党県議団の控室。地元小選挙区の選対本部に張り付き、最前線で戦ってきた県議がぽつぽつと顔を見せた。「獲得議席1」の惨敗に笑顔はない。日焼けした顔で、こんな会話が交わされた。
 「負けは民主への風だけで説明できないし、してはいけない」「そもそも、知事選の総括が足りなかった」
 自嘲(じちょう)気味に「自民は全国で"在庫一掃"を強いられたと反省すべき。ここまで負けが込めば、逆に議論もしやすい。若い民主に勝つ戦略を」と党再生の道筋を語る議員もいた。
 前参院議員を擁立した知事選の敗北から間もない7月中旬。ベテラン県議数人がひそかに、党県連の再生、活性化を考える新たな「政策研究会」の結成を話し合った。
 「麻生太郎首相が言う『まずは景気対策』もいいが、その先が見通せない」「創造的な施策を自民党が提案しなければ党再生はない」
 研究会は県連執行部の改革路線を支える立場を堅持し、全県議に参画を呼び掛ける方針を確認。ただ、「衆院選に、いらぬ波紋を広げる」との意見も出て、参画の呼び掛けは衆院選後に先送りされた。
 自民は知事選候補者選定で、県連執行部が民主との相乗り候補擁立を模索。さらに、一部の県議が民主系県議との超党派会議に加わって処分されるなど、混迷を極めた。選挙戦は衆院選の前哨戦として全国の注目を集める中、自民県連の内情は一枚岩とはほど遠い状況だった。
 ベテラン議員による研究会設立の動きは危機感の表れだったが、衆院選の前に、県議団の結束を固めることはできなかった。統一感のある選挙戦略や、選挙区を越えた自民票の掘り起こしなどに課題を抱えたまま、県連は衆院選公示を迎えた。
 一方、川勝平太知事を担いで勝利した民主。知事選を戦いつつ固めた支援組織との連携や組織体制を、衆院選につなげた。
 連合静岡の幹部は、過去の対立関係を清算して支援した1区での勝利を「(知事選で)同じ釜の飯を食った戦友として(候補者と)距離を縮めた。知事選が"接着剤"になった」と言う。
 多くの陣営が、知事選で「県政の政権交代」を強調、衆院選での「政権交代」のイメージにつながるよう、戦略を練った。
 "風頼り"が指摘される民主の選挙。だが、知事選の流れを引き継ぎ、マニフエスト(政権公約)のPRを運動の柱に据える選挙戦略は各区で徹底され奏功した。議席奪還の元職は、知事選の勝利について「保守王国も1票の力で変わることが(有権者に)分かってもらえた。衆院選に弾みがついた」と振り返った。
 県議会会派平成21の岩瀬護顧問は、知事選の衆院選への波及効果を「政治の変革を求めた有権者に余韻が残っていた。そうした有権者の思いに乗ったことが今回の(民主党圧勝の)結果につながった」と指摘した。
 ただ、同会派の若手県議はこう指摘した。
 「今回の衆院選の結果は、自民党政権の実績に対する有権者の厳しい評価。有権者はそういう基準で1票を投じたと思う。政権を取った民主がこれからどう評価されるのか。次の選挙に怖さはある」(衆院選取材班)
(静新平成21年9月2日「民9自1の波紋」)

衆院選しずおか:3
「民9自1の波紋」「民主に重い責任」
 期待…問われる実行力
 「正直、自民党が1人も出席しない付与式は想像できなかった。それだけすごい選挙だったと実感した」民主党が圧勝した衆院選から2日後の1日、県庁であった小選挙区の当選証書付与式。自民党関係者が1人もいない会場で、民主党当選者の秘書の1人が感慨深げに漏らした。
 比例代表を含め、県内候補9人全員の当選に、民主党関係者の間には高揚感が漂う。「選挙力ーで住宅地に入ると、多くの人が窓から手を振り、出てきてくれた。期待の大きさを感じた」と県連の岡本護幹事長。ほかの同党系県議も「今までにない有権者の反応があった」と口をそろえる。
 ただ、実際に政権を担う今後のこととなると、楽観論ばかりではない。選挙中、高らかに掲げたマニフェスト(政権公約)の実行という重い責任を負ったからだ。
 既に民主党優勢の情勢が報じられていた8月24日、沼津市内であった渡辺周氏(47)=6区=の決起集会。渡辺氏は約2千人を前に「マニフェストに関する多くの質問が寄せられている」と切り出した。
 目玉施策の子ども手当について、配偶者控除廃止の場合の子どもがいない家庭への対策が「不完全」と指摘。高速道路完全無料化も交通渋滞などに懸念を示し、「マニフェストを何が何でも100%断行するのは蛮行に近いかもしれない」と述べた。
 マニフェスト批判とも取れる発言だったが、渡辺氏は「こういう問題をきちんとやらなければ、党はすぐに信頼を失う。ごまかしがあれば、期待は一気に失望に変わる」と強調した。
 民主党県連幹部の1人は「党内には『4年後の選挙(での反動)が怖い』と言う者もいるが、実績を挙げられなければ、4年後どころか、来年夏の参院選の時に風がどう変わっているかも分からない」と危惧(きぐ)する。
 自民党に比べて見劣りする地方組織の強化も民主党の課題だ。投開票日翌日、比例代表で当選した新人の小林正枝氏(37)が記者会見し、「政治経験はまったくないが、有権者の声を確実に国政に届けたい」と緊張した面持ちで語った。今回選で誕生したいわゆる小沢チルドレンについて、「小泉チルドレンとは全く違う」としたが、党所属でない小林氏が党本部主導で県連の頭越しに比例名簿に登載されたことは、組織の在り方の象徴でもある。
 自民党のベテラン県議は「労組に支えられた民主党に地方組織はないに等しい。われわれは多様な団体を通じて声を集約し、くみ上げてきたが、民主党はどうするのか」と指摘する。県内の民主党党員・サボーターは7763人。前年度と同数で足踏み状態だけに、党関係者は今回選が党勢拡大の弾みになると期待する。5区の細野豪志氏(38)を支援した桜町宏毅県議(富士市)は「今までは『細野氏個人は支援するが、民主党は別』という支持者も多かった。今回選で候補者と党への支持が一致したと感じた」と話す。
 岡田克也党幹事長は公示前、本紙の取材に対し、「組織政党は21世紀型ではない」としつつも、地方議員を増やす必要性を認めた。岡本幹事長は県議会の民主系会派平成21の勢力が自民党の約半数という現状から、「党員を増やし、県議も再来年の選挙で倍増させたい」と力を込めた。(衆院選取材班)
(静新平成21年9月3日「民9自1の波紋」)

 衆院選しずおか:4
「民9自1の波紋」「揺れる業界団体」
「民主との距離暗中模索」
 全国に知られる茶どころ・静岡。戦後長い間、農協や茶業団体は補助金をはじめとする自民党政権の分厚い支援施策の下で振興を図ってきた。茶業界の中枢機関として業界と政治をつなぐ日本茶業中央会の会長職は、大半を本県の自民党国会議員が歴任してきた。
 茶葉の消費伸び悩み、価格低迷など将来が見通しにくい中での自民の小選挙区全敗の衝撃。業界に「大きな後ろ盾を失った」(県中部の茶生産者)と悲痛な声が飛び交った。
 「現実を受け止め、民主党議員の茶業への思いを聞くなど、一から関係づくりをしていく必要がある」
 良質茶産地の一つ、川根本町農業経営振興会の野口直次会長(57)は不安を隠さない。「方向性が見えないうちに、一番茶のシーズンを迎えることになるかもしれない」と本音を漏らす。
 茶業振興に力を注いできた同町の杉山嘉英町長は「今後の不透明さは残る。農業が後退することのないよう、山間地や過疎地の実情に沿った施策を展開してほしい」と新政権に要望する。
 業界団体は現場の課題や要望を取りまとめ、政治家へ政策を提言する一方、"集票マシン"の役割を担ってきた。政権交代で、この関係がどう変わるのか。
 衆院選の投開票から間もない1日午前。県西部のある金融機関で幹部会議が開かれた。話題の中心は、民主政権下での景気動向だった。
 「輸送機器関連の中小企業にも受注が戻りつつある中での激変は心配材料」「昨年10月の緊急保証の返済時期が迫っているが、売り上げは戻っていない」
 世界同時不況で、県西部の製造業は厳しい環境に置かれたまま。選挙戦では与野党それぞれが「景気回復に取り組む」と訴えたが、政策の差異は明確でない。この日の幹部会議は、額を寄せ合っての分析が2時間以上続いた。だが、結論な出ず、漠然とした不安だけが残った。
 県西部の経済団体は、選挙区の国会議員や首長が代わっても、一定の距離感を保ちつつ、発言力を確保してきた。
 県中小企業団体中央会の役員を務める60代の経営者は、民主党が掲げた最低賃金1000円(時給)実現と、製造現場への派遣原則禁止の二つの施策に「中小・零細の現場を理解しているのか」と否定的。「マニフェスト(政権公約)で掲げた法人税率引き下げなどの中小企業向け支援策をどう実施していくのか、期待しながら注視したい。(民主党の)お手並み拝見だ」と話す。
 一方、スズキの鈴木修会長兼社長が8区の民主候補の出陣式で「一遍、民主にやらせてみましょうよ」と呼び掛けたように、「変化」を求める声が大きくなっていたのも事実だ。
 浜松商工会議所の御室健一郎会頭は「自公政権時と変わらず、正面から言うべきことは言うし、注文をつけていく。300議席を獲得したとふんぞり返ることなく、真摯(しんし)に聞く耳を持ってほしい」と民主政権への期待を語る。同時に、自民党に対しても「どう立て直すのか関心がある。世の中の民意を先取りするような政党になれば、自民もよくなる。(敗北は)再生のための良い機会だ」。(衆院選取材班)
(静新平成21年9月4日「民9自1の波紋」)

 衆院選しずおか 5=完
「民9自1の波紋」「地域の声どこに」
 予算獲得知恵比べ加速
 「地域が抱える問題の解決、郷土の発展に成果を出していく。政権交代の『果実』を皆さんに味わってもらいたい」。8月31日早朝、JR沼津駅南口。台風による風雨が強まる中、衆院選小選挙区で全国2位の票を獲得し、5期目の当選を果たした民主党の渡辺周氏(47)=6区=は、街頭演説でこう明言した。
 政権交代で、地域の自治体と与党との距離はどうなっていくのか。地域の声は、どう国に伝えればいいのか。過疎地域を抱え、道路や河川などインフラ整備も遅れる伊豆東部地区の首長の悩みは深い。
 渡辺氏は「(民主党系の)地方議員を中心に、きめ細かく地域の要望をかなえていきたい」と話すが、具体的な実績については「13年間ずっと野党だったこともあって、ほとんどない」(有力支援者)。与党となっても「要望をさばく秘書が、質量とも足りないのでは」と危惧(きぐ)する声も上がる。
 選挙戦終盤に沼津市内で行われた自民候補の総決起大会。強い逆風により敗色が濃くなっていた中、伊豆の国市の望月良和市長は熱弁を振るった。「4年間、地域のために頑張ってきてくれた人に、報いてほしい」
 狩野川上・中流域の伊豆の国市や伊豆市は、これまで民主党の県議や市議は不在で、支部や連絡所もない。選挙後、望月市長は民主党政権への不安とともに、「特にこの地域は河川や道路の整備が必要。自民党政権の時のような要望活動ができなくなれば、市民にとって絶対に困る」と危機感を口にする。
 概算要求や財務省原案がまとまる時期、これまで都内の官庁街や国会周辺は、インフラ整備を求める官民の期成同盟会など陳情団が行き交った。自民党国会議員や秘書の先導で、首長らが省庁幹部らと面談し、事業の必要性を説いた。
 狩野川改修や伊豆縦貫自動車道整備などで、多くの期成同盟会を抱える国土交通省沼津国道河川事務所の宮武裕昭所長は、こうした陳情活動について「地元の意見を集約し、熱意を省庁に伝える伝達システムとして機能していた」と一定の評価をする。
 だが政権が交代。自民の多家一彦県議は「民主党がマニフェストで論じたことを考えれば、自民党政治のような陳情は受け付けないだろう」と指摘する。原田昇左右元建設相の秘書を務めていた時代、数多くの陳情を扱った山村利男県議は「この1、2カ月は要望活動をする側も受ける側も様子見で、まったく動けないのではないか」とみる。
 選挙戦さなかの8月下旬、栗原裕康沼津市長は国交省で谷口博昭事務次官と面談した。
 「公共事業で、受益者となる民間からの出資を加える仕組みなどで、勉強会はできないか」(栗原市長)
 「地域のまちづくりのため、手伝います」(谷口事務次官)
 栗原市長は従来の陳情政治に代わり、「地元が頑張っている」ことを直接アピールする新しい仕組みを模索してきた。その一つが公共事業への民間出資という。
 「民主党政権が公共事業に厳しい目を向けてくることは想像がつく。これからは自治体同士の知恵比べが加速する」。栗原市長は、今後をこう予測する。(衆院選取材班)
(静新平成21年9月5日「民9自1の波紋」)

2009年9月3日木曜日

麻生太郎の「強く明るく(メルマガ)

●麻生太郎の「強く明るく」
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[政治は続く]

 今般の衆議院議員総選挙では、皆さんの期待に応えられず、申し訳ない結果となりました。

 政府与党への、ご不満、ご批判を真摯に受けとめています。

 社会の閉塞感、格差の問題など、皆さんが感じておられる、さまざまな社会問題への不満に効果的に対応できていなかったのではないか、きちんと政策について、メッセージを出し切ってきたかなど、真剣に反省せねばならないと考えています。

 私は、景気対策を最優先に、果敢に政策を進めてきました。

 昨年9月24日に総理に就任した際、歴史的な世界同時不況、経済の悪化に直面しました。このとき、私は、国民の暮らしを守るために、解散総選挙といった「政局」よりも、景気対策・雇用対策という「政策」を優先いたしました。
 異常な状況には、異例の対応が必要です。このため、半年で4回の予算編成を行いました。役人主導では、決してできません。その結果、今年4-6月期の実質経済成長率は、年率で3.7%。先進国では一番高い成長を実現しました。経済対策の成果が出始めた、と思います。
 しかし、いまだ道半ばです。政局よりも政策を優先した判断は、国民生活のことを考えれば、決して間違ってはいなかった、と考えています。

 北朝鮮問題への対応や、テロとの闘い、そして海賊対策についても、国家と国民を守るため、正しい政策を進めてきたと自負しています。
 しかし、私の力不足から、今回の結果となりました。率直にお詫びするとともに、皆様方の声を真摯に受けとめ、今後の再出発を期したい、と思います。守るべきものは守る、そして守るべきもののために改革し、改めるべきものは改めるのが、保守政治の本質です。

 今後、さらなる精進を続け、皆さんのご期待にお応えできる政治を実現することをお誓い申し上げます。

2009年9月2日水曜日

渡辺氏自身の過去最多得票更新

衆院選「渡辺氏自身の過去最多得票更新」
全国的に有数の20万票に迫る
 有権者、政権交代に大きく舵
 中央の流れが6区にも反映
 衆院選小選挙区静岡六区は、民主党前職の渡辺周氏(47)と自民党前職の倉田雅年氏(70)の事実上の一騎打ちを渡辺氏が制して終えた。渡辺氏は五期目。四期目に挑んだ倉田氏は東海プロック比例代表選挙にも重複立候補していたが、復活当選はできなかった。四十五回目を迎えた今回選挙は、政権選択、政権交代が言われ、公示前から民主党の躍進と自民党の退潮が指摘されていたが、結果は、予想された通りとなった。この流れは、六区にもそのまま当てはまり、渡辺氏は六区全体で、自己最多得票で当選した前回選挙をさらに上回る十九万七千六百入十八票(三十一日午前一時十分確定)と、全国的にも有数の二十万票に迫ろうかという勢いを見せ、倉田氏は前回票を減らす結果となった。
 今回選における沼津市の当日有権者数は十七万千六百四十一人。前回選は十七万二千二百九十三人だったので、六百五十二人と僅かだが今回選の方が少ない。しかし、昨秋の麻生政権発足以来、注目され続けてきた総選挙だっただけに、投票率が向上。全国平均には及ばなかったものの、沼津市の投票率も六五・〇一%(小選挙区のみ。比例選挙、同時に行われた最高裁判所裁判官に対する国民審査投票率は除く)で、前回を二・一二ポイント上回った。
 このため、今回選は投票総数十一万千五百八十三票で、前回選の十万八千三百五十五票より三千二百二十八票の増。
 今回選には前回選同様に三人が立候補したが、事実上は渡辺氏と倉田氏の争いとなり、渡辺氏の沼津市における得票は七万六千八百七十三票、倉田氏は三方三百九十六票。前回選では渡辺氏六万二千百五十三票、倉田氏三万八千三百八十九票だったので、渡辺氏が一万四千七百二十票増やしたのに対して、倉田氏は七千九百九十三票減らした。
 また六区全体の渡辺氏の得票十九万七千六百八十八票は、前回選を四万三千百四十六票上回り、倉田氏の九万三千六百四十四票は、逆に二万七千四百四十五票少なかった。前回選で倉田氏は、公示の十日程前に急きょ六区からの出馬が決まり、文字通りの短期決戦。この時の選挙は、いわゆる郵政選挙。郵政民営化を目指した小泉政権が、参院での郵政民営化関連法案否決を理由に衆院を解散して行われた。
 この選挙は郵政民営化が既定路線であるかのような流れの中で、自民党は郵政民営化反対議員を公認せず、逆に対立候補、いわゆる刺客を送り込むといった強硬手段で実施。常任委員会委員長を出し、なおかつ委員の過半数を占めることができる絶対安定多数を獲得した。
 六区における選挙は、短期決戦に臨むことになった自民党を中心に支持層が結束したことも考えられるが、こうした郵政選挙が決定的な背景となったことは否定できない。事実、日頃は革新的な言動の有権者の中にも、「郵政民営化」一点で小泉支持を言う人がいた。
 この時、渡辺氏にとつて伊豆地域での選挙は二回目。その前の選挙では伊豆地域での後れを沼駿地区で取り戻し、同地区での対立候補(栗原裕康氏)との得票差が、そのまま六区全体の得票差となって当選したが、倉田氏との争いとなった前回選でも六区の十三市町のうち五市町は倉田氏が制しており、ここでも沼駿地区における二万四千票近い得票差が渡辺氏の当選に大きく働いた。
 これに対して今回選は、六区十三市町の全てを渡辺氏が制しての完全勝利。特に沼津、伊東、伊豆、伊豆の国(第二開票区のみ)各市では、ほぼダブルスコア、清水、長泉町では、ほぼトリプルというほどの圧勝だった。
 風は完全に民主党に追い風、自民党に逆風だった。「政権選択」「政権交代」が各方面で言われ、そのことによる、いわゆるアナウンス効果があったにしても、有権者が望んだ結果でもあることは確か。
 ただ、この伏線は、二〇〇一年四月の小泉政権誕生が序章となって始まり、〇五年九月の郵政選挙の結果が、決定付けた。
 市場原理主義、自由競争を掲げ、数を頼んでの法律や制度の制定・導入。人材派遣の規制緩和や生活保護世帯の母子加算の廃止。その結果の格差やワーキング・プアの問題、高い貧困率。国民の生活が厳しさを増す一方で、公務員制度改革は進まず、せっかく一度は切り込んだものも官僚の抵抗でなし崩し。
 さらに、ポスト小泉の歴代首相が一年ともたずに交代。昨秋のリーマン.ショックに始まる世界同時不況で失業者が増えても有効な手立てを示せず、解散の声には経済対策優先を理由に踏み出せない麻生政権。
 ほんの一時期を除き、五十五年近くに及び政権の座にあり、力で押し切りながら何も打開策を見出せないできた政府与党に対する不満、不信や怒り。今回選は、各小選挙区での候補者同士の争いとは違った、政権をどこに託すのかという大きな判断が有権者の意識に働いた結果だったのではないか。
 小泉純一郎氏は、「自民党をぶっ壊す」と言って総裁選に臨み長期政権を維持した。八年余を経て、その公言したことが、まさに現実のものとなった。長期にわたる政権と絶対多数によるおごり。生活習慣病が自民党という体内にジワリ浸透して、どうにもならない状況になった感がある。しかし功罪の功の面を言えば、自分達の一票で政権を変えることができるという認識を有権者に与えたことだろう。
 民主党にとっては敵失によって得た政権とも言えるし、マニフェストは任期の四年間で実現することをうたったものだとしても、国民は自分達の選択によって何かが変わったという手ごたえを求めている。
 選挙中、渡辺氏も認めていたように、「民主党が絶対というわけではないが、渡辺周個人ということではなく、民主党への期待、民主党が政権を取り、その先で自分達の暮らしを変えてほしいという訴えを感じる」という有権者の意識。
 政権を変えなければならない、と有権者が思い詰めるほどに国民の生活が厳しさを増していること。これが今回選を左右した大きな要因であり、新政権にとっては、これからが正念場。
(沼朝平成21年9月2日号)