2023年10月14日土曜日

[街角から] 障害者だけでなく高齢化社会を背景に、一層需要の拡大が見込まれているシニアカーと電動車いす。その違いを知らなかったことで「あってはならないこと」が起きてしまった。

 

街角から 

▽障害者だけでなく高齢化社会を背景に、一層需要の拡大が見込まれているシニアカーと電動車いす。その違いを知らなかったことで「あってはならないこと」が起きてしまった。

 ▽8月初旬、Aさんから憤慨しながらも気落ちした口調で連絡が入った。「どうしても納得できないので、投稿したい」旨の相談だった。

 ▽それによると、その数日前、沼津駅前南のイーラ曲に電動車いすで買い物に行ったところ、店員に入店を遮られた。それまで頻繁に買い物をしていた店だけに、入店拒否の理由を尋ねようと、押し〉問答をしているところうに同施設を管理している沼津まちづくり会社の男女社員が来て、「決まりなので」の一辺倒。ひいきにしていた店だったので、「これから欲しい時にはどうしたらいいの?」と店員に尋ねると、「建物の外から手を振って、もし店員が気がつけば対応する」との返事。「大変ショックを受けた」という内容だった。

 ▽「そんなことが今どきあるのか」と、確認のため同館を訪れると南側出入り口に「シニアカー(ハンドル形電動車いす)ご使用のお客様へ」というA4判程のノラスト入りの貼り紙が。「当館では、危険防止の観点から、館内へのシニアカー乗り入れを2022111日から禁止いたします。ご不便をおかけしますが、ご理解、ご協力をお願いします。館内の移動には車いすをご用意しております。ご利用の方は館内出入口のインターホンまたは、下記まで、ご連絡をお願いします。沼津まちづくり株式会社055-9630053また、電動車いすをご利用のお客様においては、館内の走行にあたり低速(2㎞\h以下)で十分な注意のもと安全運転をお願いします」とあった。



Aさんの車いすはシニアカーではなく、電動車いすとして販売されているコンパクトなものだ。両者の見解の相違もあろうかと、まちづくり会社に面談を申し込むと「そういうことは書面で」とのこと。Aさんの心情やいくつかの疑問点を挙げて書留で送ったのが824日。

 ▽95日付でメールでの回答があった。

 それによると、「確認作業を実施し、(Aさんは)85日に(見えた)小型の電動車いすのお客様であることが判明いたしました。担当した者の知識不足により車いすをシニアカーと認識して対応していました。せっかくご来館いただいたA様の心情はごもっともであり、深くお詫びを申し上げるとともに、全従業員に徹底させ再発防止に努めてまいります」というもの。

 ▽それから2週間後の920日、同館出入り口には電動車いすのイラストも加わり、入館できることを示した貼り紙が掲示されていた。

 ▽925日付で「電動車いすご利用のお客様の対応について」という文章が佐藤勝社長名で出入り口に張り出され、ホームページにも掲載された。

 「この度、令和58月上旬に電動車いすでご来館のお客様に対して、入館をお断りするという事案が発生しました。来館した方の使用している電動車いすを、安全配慮義務の観点から館内でお断りしているシニアカーと誤認し、従業員がお断りしたというものです。対応した従業員には、決してお客様を差別する意図はありませんでしたが、弊社としましては、お客様への差別との印象を与えかねない、誤った対応であると認識し、厳重に注意致しました。沼津市の中心市街地活性事業の一環である当イーラdeにて、このような不適切な対応は決して許されるものではなく、深くお詫び申し上げます。二度とこのような失礼な対応を繰り返す事がないよう、当社従業員およびテナント・管理会社への周知徹底及び再発防止に努めるとともに、初心に返り、おもてなしの気持ちを大切にすることを指導して参る所存でございます。本来であれば拝眉の上お詫び申し上げるべきところ、略儀ながら書中にてお詫び申し上げます」としているが、後日、電話で確認すると、「Aさんに直接お詫びするつもりはない」との返事。

 ▽Aさんからの訴えがなかったら、この先ずーっと電動車いすの人を入館させないままだったのだろうか?

 ▽福祉用具、介護用品に詳しい専門家によると、「シニアカーは電動車いすに比べて一回り大きく、見た目、一番分かりやすいのが座席の正面にハンドルがあるか無いかの違い。正面にあるのがシニアカー。最近は年を取っても自由に外出し、生き生き暮らすためのアイテムとして、車の運転免許証を返納した高齢者やその家族から、購入やレンタルに関する相談が増えている」と話す。

 ▽障害があるからこそ、他人の手を煩わせたくない、との思いが強く電動車いすで出掛け、買い物も楽しんできたAさん。入店拒否された時は「ショックが大きく、自分の存在そのものを否定された気がした」と、その時を思い起こす。

 ▽「ヒト中心のまちづくり」を目指す沼津市。中心市街地の核となるよう23億円(13億円が市民税)を費やした施設に魂が宿っていなかったのか。お客様業として、不自由な立場にある人への想像力の欠如が招いた一件。

 ▽入館拒否から謝罪文掲載まで51日を要した。「これから多分訪れることはないだろう」施設への掲示や開くことのないホームページでの謝罪。Aさんにとっては謝罪されない状態が今も続いている。

【沼朝2023(令和5)1014(土曜日)


原えつお四文字ひめくりカレンダー「令和5年10月14日(土)先勝 鐵道の日」「唯我独尊」旧歴8月30日

 




2023年10月13日金曜日

大手町五丁目の再開発  都市計画提案書を市に提出 【沼朝2023年(令和5年)10月13日(金曜日)】

 



 大手町五丁目の再開発

 都市計画提案書を市に提出



 大手町五丁目第一地区市街地再開発準備組合(理事長・古澤隆マルサン書店社長)は、大手町五丁目3番の市街地再開発事業を計画し、地区計画と第一種市街地再開発事業に関する都市計画提案書を作成。6日、古澤理事長ら役員4人が市役所を訪れ、頼重秀一市長に提出した。

 同組合では、事業者提案の計画素案に関する近隣説明会を8月に開き、920日の臨時総会で、「まちに愛される未来に向けた賑わい発信地」「中心市街地にふさわしい街並み景観の共創」「豊かな自然環境の中での街なか居住」をコンセプトに都市計画提案書の内容を決定した。

 それによると、ビジネスホテル三交イン沼津駅前が建つ一角を除き、旧マルサン書店ビルなどがある区画の地権者らが所有する敷地約4000平方㍍を事業区域として共同化による土地の高度利用を図って建物を更新し、25階建て再開発ビルの2030年度までの建設を目指す。事業協力者は旭化成不動産レジデンス・三菱地所レジデンス共同企業体。

 立体駐車場を整備し、12碓の商業施設には隣接する商店街に溶け込み、個性を引き立てる小割りの店舗を整備。3階以上に良質な都市型住宅を整備して居住人口の増加を図る。

 また、壁面の後退により、ゆとりある歩行者空間を確保し、歩行者の安全性と、にぎわいや防災性の向上、質の高い都市景観の形成、沼津市の中心市街地にふさわしいヒト中心のまちづくりを意識した、良好な都市環境を創出する。

 提案書を受け取った市長は、沼津市が県東部地域の商業の核、交流拠点として発展した歴史、百貨店の撤退や商業施設の郊外出店などで空き家も増え、衰退した中心市街地の現状を話し、「30年来の懸案事項だった鉄道高架事業を中心とした沼津駅周辺総合整備事業が始まり、新たなステップとして民間サイドのまちづくりが本格化している。未来に向かって共に歩む素晴らしい事業」だと感謝し、先導的な役割に期待を寄せた。

 続いて、市まちづくり指導課まちなか創造室の久保田美保室長が今後のスケジュールについて説明。市が提案書の内容を確認し、都市計画決定の必要性について検討し、必要性が認められた場合、都市計画法に則って公聴会の開催、都市計画案の作成、縦覧期間を設けて、市艮から意見聴取を行うことや、その上で都市計画審議会に付議し、都市計画決定に向かう流れを話し、「まちなかの将来像について情報を共有し、相互に協働しながら、魅力あるまちづくり再生事業の推進に向けて取り組みたい」とした。

 古澤理事長は「説明会を開いたが、『早くやってほしい』という意見が多かった。かつての栄えた中心市街地を知らない人が増え、築50年以上の建物も多く、地震を心配する声もあって、『まちなかを何とかしないといけない』という機運が高まっている。25階建てのビルを建てて住宅を整備することで数百人規模で人口が増加し、シャワー効果で商店街の利用客も増える。第一弾として、この地区で成功させ、これをモデルに大手町の各地区で再開発が始まれば、今とは違ったまちづくりが出来るものと期待している」と話した。

【沼朝2023(令和5)1013(金曜日)




231012池上本門寺お会式 鳥潟浩司氏撮影as

原えつお四文字ひめくりカレンダー「令和5年10月13日(金)赤口 日蓮聖人忌」「不要不急」旧歴8月29日

 


2023年10月12日木曜日

231012会長 鳥潟浩司が東京都功労者as

沼津駅北口の再生へ始動 官民組織が初会合 【静新令和5年(2023年)10月12日(木曜日)】

 

沼津駅北口の再生へ始動

 官民組織が初会合

 JR沼津駅付近の鉄道高架化を視野に、駅周辺の中心市街地のあり方を話し合う官民の組織「街なか活力創造特別委員会」が11日、初会合を沼津市の沼津商工会議所で開き、議論を始めた。参加した24人の委員からは複数の再開発計画が具体化している駅南口に加え、北口の再生へ取り組みを進めるべきとの意見があり、来月から隔月で勉強会を重ねることを決めた。

 委員長に就いた沼津商議所の後藤行宏副会頭は「南北の商店街の連携したまちづくりが地元に活気をもたらす」とし、南北の関係者が一体となって臨む方針を示した。北口のリコー通り商店街に店を持つ大田紀人委員(大田呉服店代表取締役)は「イシバシプラザ跡地の利活用が最大の課題」と地元の現状を挙げた。

 委員会は全27人で構成。再開発計画が進む仲見世と大手町の両商店街、アーケード名店街のほか、駅周辺でのリノベーションまちづくりの担い手、市の担当課の課長らが加わった。(東部総局・高橋和之)

 市街地の再開発計画 地元経済人も活動本格化 沼津市の中心市街地で具体化している複数の再開発計画について、地元経済人の活動も本格化している。事業が進めば地域経済への効果が大きいとして、有識者による勉強会や研修会を重ね、現状と今後に対する共有を図っている。

 8月に仲見世と大手町の両商店街で検討している再開発の詳細が示されたことに合わせ、経済人の会合は9月から加速。同11日に沼津商工会議所青年部が「沼津のまちづくりと医療田園都市構想」をテーマに、県立静岡がんセンターの山口建名誉総長を招いて開いた。20日には三島信用金庫の取引先経営者による「さんしん同友会」の沼津と幸町の両支部が頼重秀一市長を講師として、再開発や鉄道高架化へ認識を深めた。

 事業化の進展とともに経済人の活動は活発になるとみられる。沼津商議所の紅野正裕会頭は今月11日の街なか活力創造特別委異で「まちづくりの機運が高まっている」と話す。

【静新令和5(2023)1012(木曜日)

原えつお四文字ひめくりカレンダー「令和5年10月12日(木)大安 芭蕉忌」「一言居士」旧歴8月28日

 



史上初 藤井全八冠(静新令和5年10月12日朝刊一面)

 




2023年10月7日土曜日

黄瀬川大橋仮橋完成 16日午後3時開通、通行制限解除

 

黄瀬川大橋仮橋完成



 16日午後3時開通、通行制限解除

 建設工事が行われてきた黄瀬川大橋仮橋が完成。16日午後3時に開通し、供用が開始される。これによって、これまで通行制限されていた一部車両の通行も可能となる。

 同橋は、大雨により熱海市伊豆山地区で土石流が発生したのと同じ一昨年73日、黄瀬川の増水によって沼津寄りの一部が崩落。通行止めとなった後、崩落した部分に応急組立橋が架けられ、同年831日に通行が再開された。

 通行は再開されたものの、中型以上の車両と二輪車については通行が規制され、該当車両は、下流の黄瀬川橋などを迂回。路線バスも旧道の利用を余儀なくされていた。

 仮橋は本橋下流側間近に建設され、現在は取合道の整備が続いている。さらに仮橋開通のための工事により9日から16日まで本橋では片側交互通行規制が行われる。

 仮橋が供用開始された後は、本橋の撤去、新橋の下部工施工、上部工架設、橋面工施工、取合道施工と進められるが、橋面工施工、取合道施工を除き、いずれも出水期を外しての工事となり、完成目標を2026年度に置いている。

 なお、仮橋東西の橋への進入状況は現在と変わり、沼津市側、清水町側いずれからも下流側にカーブして入る形となり、とりわけ沼津市側では、交差点形状も変わるため、注意が必要になる=図参照。

【沼朝令和5107日(土)号】

東海道みちしるべ 赤池康浩 【沼朝令和5年10月6日(土)寄稿文】

 


東海道みちしるべ 赤池康浩

 実家の前に旧東海道が通る、古地図から、まさに、ここが沼津宿西関門、出口見附番所の位置と知った。十数㍍西には「出口見附外」の案内石標が立っている。

 先日、祝日とも重なった土曜日の昼、20人程の実年男女がハイキング姿で西へ歩を進めていたのを見た。この夏、旅行会社が募集した東海道宿場歩きツアーの列だった。一行は石標前で少し歩速を緩め、宿場の姿、この地域に置かれた古の関門の役割を見ていた。

 この道を歩む個人旅行者も少なくない。一人から二人、たいてい片手にガイド本など携えている。「東海道筋はこの道で良いのか」と尋ねられたりもする。

 裏返せば、それは残念ながら今の沼津が、かつての城下町であり宿場町であった面影(町並み)を多くは残していないことに起因する。沼津城跡地は説明碑の他には城郭を偲ばせる建造物が現存せず、名称も「城趾公園」ではなく「中央公園」と呼ばれる。

 ご存知の通り、沼津は旧三町「本(ほん)」「上土」「三枚橋」で一つの宿場(沼津宿)を形成し、問屋場(役所)のお役を日数で三等分(ひと月に10日ずつ分担)して営んでいた。これが後の三大字となり、開城後の「城内」と共に沼津町の賑わいを成した。

 その中で、宿(本陣、脇本陣、旅寵屋)、花街(花柳、料亭、置屋)の大方は「本(本町区)」に在った。

 そんな、かつての賑わいの地を今では旅人が「道」に迷う。

 ならば、どうする(どうしたら良い)? 「道」を主役に、もう一度、その姿を浮かび上がらせれば良い。

 そこで私は、本年最終年度とされている沼津市の「民間支援まちづくりファンド」に「東海道みちしるべinぬまづ」という事業を提案し、採択された。

 事業概要は、現在も観光ニーズの高い「旧東海道歩き」の「みちしるべ」となるものを吊り下げ旗等で作製し、市街地に潜在している歴史資源を活用する機会を創出する。同時に「東海道」の城下町・宿場町としての沼津の魅力を、住民、来訪者に向けて「見える化」しながら、街が発信していくことを主な内容とした。

 今年度下期に具体化し、「沼津宿」と揮毫した吊り下げ旗を作製の上、スタートは、かつての本陣エリアである本町区(通横町、上本・下本町、浅間町、幸町=旧・出口町)沿道に掲げる。

 今月14()15()、浅間町の丸子神社・浅間神社境内での神社マーケット「手仕事楽・市」や、15日の本町商連の店先にも飾られる。

 14日の楽市では、沼津郷土史研究談話会による東海道筋のイラストマップ「川口マップ」と、その解説文が載った沼津史談会報を販売する。数に余裕があれば、吊り下げ旗の頒布も行う予定(限定数のため品切れの際は、ご容赦)

 また、1123(木・勤労感謝の日)午前10時から本町のコーポ寿山1階で歴史ミニセミナー「川口マップによる本町.東海道の話」(講師は沼津史談会副会長の長谷川徹さん)を開催する。予約不要、参加無料。

 どうか旗を飾った方は、旅人に問われたら、町や道の歴史を自信を持って語って、伝えてあげてほしい。」 (古物商・土筆屋店主、幸町=旧・出口町)

【沼朝令和5106日(土)寄稿文】