2013年10月29日火曜日

知事発言広がる波紋

知事発言広がる波紋
 地元「責任持ち決断を」


 県が事業主体のJR沼津駅付近鉄道高架事業をめぐる川勝平太知事の発言が波紋を広げている。住民参加の合意形成作業「パブリックインボルブメント」(PI)で四つの代替案がまとまり、今後は知事の方針提示の判断が焦点になる。ただ、知事は「現場を知る職員に任せる」として、提示時期の明言も避けている。地元からは「知事の責任で決めるしかない」と早期決断を迫る声が強まっている。
 県は11月4日にPIの手続きを監視する有識者のPI委員会の最終会合を開き、PI委は11月中旬に知事に意見書を出す見通し。
 ▼協議の長期化懸念
 代替案は大きく分けて高架化を実施する2案と実施しない2案となった。いずれの案も国や沼津市、JR貨物などと県との調整は避けられず、関係者は「協議に時間がかかる可能性もある。早急に方向性を絞って関係者に示さなければ、事業がさらに遅れる」と危機感をあらわにする。
 ▼職員に全権委任
 知事は25日定例記者会見で4案の受け止めを問われ、「まだ見ていない。(PI委からの)報告を受けてと思っている」と述べるにとどめた。一方で、P1に関わってきた複数の職員の名前を挙げて「全権を委任する」と繰り返し、「落としどころの見通しも持っていると信頼している」などと強調した。
 県は県議会で、「PIの結果を踏まえて意思決定者の知事が年内に方向付けする」と説明してきただけに、知事と担当部局の認識の違いも出ている。
 ▼「公約通りに」
 こうした知事の姿勢に地元は困惑を隠さない。経済団体の関係者は知事が6月の知事選でも「鉄道高架は進める」などと訴えた経過を挙げ「事業の推進を明確に打ち出し、公約を守ってほしい」と求め.る。栗原裕康沼津市長は24日の定例記者会見で、「速やかに判断を」と要請した。
 PIの勉強会に参加してきた男性(50)は「賛成派、反対派とも今の中途半端な状態でいいと思っていない。両者の溝が埋まらない以上、最後は知事の政治判断しかない」と主張し、「今回の議論が生かされなければ、地元住民を冒とくすることになる」と指摘した。
《靜新平成25年10月29日(火)夕刊》

2013年10月25日金曜日

「県は速やかに判断を」 沼津市長

沼津駅付近鉄道高架事業
 「県は速やかに判断を」 市長
 栗原裕康沼津市長は24日の定例記者会見で、JR沼津駅付近鉄道高架事業について、川勝平太知事が事業の方向性を判断する時期にこだわらない姿勢を示したことに対して、「(高架事業の)推進に向けて、事業者である県が速やかに判断してほしい」と訴えた。
 同事業は、川勝知事が2010年に鉄道高架に不可欠な貨物駅の移転先としていた原地区で強制収用を行わないと明言してから、凍結状態が続いている。県は事業の推進派、反対派の対立を回避するために有識看会議や住民参加型合意形成作業(PI)を重ねてきた。栗原市長は「議論がまだ足りないとは思わない。過去の市長選、市議選でも何回も争点になってきた」と指摘した。
 PIでは鉄道を高架化するか、駅を橋上化するかで議論が進められた。鉄道高架の場合、貨物駅の移転先を原地区にする案と、市外の駅に統合する案が示された。栗原市長は「仮に(貨物駅を市外の駅に統合することに)JR貨物、JR東海が同意した場合は、市としてもその方向に行くのはやぶさかではない」と述べた。

《靜新平成251025()朝刊》

2013年10月12日土曜日

川勝知事 「時期こだわらず」 またも先送りか?

知事、時期こだわらず
沼津の鉄道高架方向付け
「年内」を事実上修正
 川勝平太知事は11日の定例記者会見でJR沼津駅付近鉄道高架事業の方向付けについて「物理的時簡(の問題)ではない」と述べ、判断の時期にはこだわらないとの姿勢を示した。
住民の合意形成を目的としたパブリックインボルブメント(PI)の手続き基、11月中旬に終わる見通し。県はこれまで「P1の検討結果を踏まえて地元の沼津市とも協議し、早急に事業の方向付けを行う」とし、年内にも方向性を示すと説明していた。知事の発言は事実上へこれを修正した。
 知事は「賛成、反対の市民が自由活発に意見を言える状況をつくった」とP1の成果を挙げ、「結果を受け、現場で信頼を得た職員に全権を委任し、関係各位に精刀的に働き掛ける仕事をしてもらう」と説明した。その上で、「現実的な動きが出てくるので、それを見ながら私の方にも必ず出番が来ると期待している」などと述べた。

《靜新平成251012()朝刊》

2013年10月10日木曜日

旭園本店」から「グランマ」へ 老舗の菓子店名を変え復活 沼津

「旭園本店」から「グランマ」へ
老舗の菓子店名を変え復活 沼津
 店主長男独立 商店街活性化に一役

 沼津市中心部の上土商店街で長年親しまれながら、15年前に閉店した老舗菓子店「旭園本店」が10日、「グランマ」に名を変えて"復活"する。閉店時の店主の息子が修業先から独立し、「商店街の活性化になれば」と同じ場所に伝統の味を引き継ぐ菓子店をオープンする。
 1901(明治34)に開業した旭園本店は沼津御用邸に長年、菓子を納めていた名店で、沼津市内で初めてカステラを販売した店といわれる。4代目の中川寿一さん(73)は一時、約60人の職人を抱えていたが、営業を担当していた妻の節子さん(73)が体調を崩したことや景気の低迷もあり、98年に店を閉めた。店にはその後、ブランド服店が入店していたが、2年前に退居して空き店舗に。フランスや清水町の菓子店で修業を重ね、県の「ふじのくに食の都づくり仕事人」にも選ばれた寿一さんの長男英俊さん(38)が、独立を考える中で、伝統の場所で店を開くことを決めた。「グランマ(おばあちゃん)」の店名は3代目として店を切り盛りした祖母への思いも込めた。
 寿一さんが考案し、旭園本店時代に親しまれた「ひものサブレ」も復活させる。干物の形をしたフィナンシェなどの焼き菓子とともに「旭治左衛門(あじざえもん)」シリーズと命名し、新たな沼津土産として売り出す。
 英俊さんは「和菓子、洋菓子にこだわらず、遊び心を大切にしたい」と意気込む。「駐車場もない中心部の店の厳しさを体験したので、うれしさ半分、心配半分」と話す寿一さんは陰から店を支えるつもりだ。

《靜新平成251010()朝刊》

2013年10月9日水曜日

沼津鉄道高架で県交通基盤部長

沼津鉄道高架で県交通基盤部長
 「知事が方向性」
 JR沼津駅付近鉄道高架事業について、県の長島郁夫交通基盤部長は8日の県議会建設委員会で、住民の合意形成を図るために進めているパブリックインボルブメン下(PI)の終了後、「(川勝平太)知事が判断して方向付けをしていく」と明言した。杉山盛雄氏(自民改革会議、沼津市)の質問に答えた。事業をめぐって2日の一般質問で、多家一彦氏()が「知事自身が判断し、本気で進める気があるか」とただしたが、知事は答弁せず、森山誠二副知事が登壇していた。
 この場面を「異例だった」と指摘した杉山氏に対し、長島部長は森山副知事が交通基盤部長時代から事業に携わっていることを踏まえ、「経過も含めて丁寧に説明したいという中で、あのような(副知事の答弁という)形になったと思う」と述べた。その上で、事業の方向性は「PIの検討結果を受け、最終の意志決定者、つまりは知事がしっかり決断していくことになっている」と強調した。
 PI19日に住民らによる最後の勉強会を開き、推奨案のとりまとめを予定する。その後、有識者のPI委員会が11月中旬に知事に報告書を提出する。

《靜新平成25109()朝刊》

2013年10月6日日曜日

西条町に雇用創造オフィス

西条町に雇用創造オフィス
 各種障害福祉サービス事業を展開
 情報通信システムの設計、施工、コンサルタント業務などを行うIT企業のアイエスエフネットグループ(渡邉幸義代表)は、西条町一六一、カー二ープレイス沼津ビルにアイエスエフネットライフ静岡沼津事業所を設立。六階建てのビルを「雇用創造オフィス」と位置付けて十八日に開所し、障害者総合支援法に基づく各種障害福祉サービス事業等を展開する。
 ビル各階で異なる運営
 就労支援、飲食、デイサービスも

 同グループは、市内出身で武蔵工業大学(現・東京都市大)を卒業後、大手IT企業に勤めていた渡邉代表が、二〇〇〇年一月にITネットワークエンジニアの育成と派遣を行うアイエスエフネットとして創業。
 現在、東京都港区赤坂に本社を置き、地元沼津をはじめ国内に十九拠点を設け、グループ会社・団体や七つの海外拠点を合わせたグループ全体で二千四百人余りを雇用している。
 「履歴書を見ないで就労意欲を基準に社員を採用している」といい、ニート、フリーター、障害者、引きこもりなど就労困難者の雇用に積極的で、〇八年には、障害者雇用に特別な配慮をした特例子会社アイエスエフハーモニーを設立。
 「日本で千人の障害者雇用」を目標とし、川崎市との官民連携で生活保護費受給者や障害者の雇用を目指し、雇用創出専門企業を立ち上げ、新潟、沖縄、佐賀各市などでも官民連携の取り組みを行う。
 アイエスエフネットライフは、障害者や就労困難な環境にある人が将来的に自立して就労できるよう、基礎訓練から就労のための実践的な職業訓練までを行い、仕事を生み出すとともに、雇用機会を提供することに焦点を置いたビジネスの創造を目指している。
 そのため、就労継続支援A型事業所や就労移行支援事業所を開設し、障害者雇用の推進とコンサルタント事業、コールセンター事業、飲食業の経営、加工食品、飲料品の販売、労働者派遣事業などに社員約百人、障害者約三百五十人を雇用している。
 沼津に開所する事業所は、同社を核に、専門のサービスを提供するクループ会社・団体が各階を運営し、利用者を支援するという形態を採用。
 二階は重多事業所として重度障害者の雇用と支援を行い、レストランと弁当センターをオープン。レストランで飲食を提供し、一般やシニア向けに弁当の宅配を行うとともに、施設利用者らに弁当を供給する。
 三階は就労継続支援B型事業所で、SOHO会議室やオープンスペースを設け、利用者二十一人を受け入れる。
 四階は就労移行支援事業所として十二人を受け入れ、施設外就労も行う。
 また、高齢者デイサービスを提供し、ジムの健康増強トレーナーとして、スポーツインストラクターでタレントのチャック・ウィルソン氏を週一回招く。貸しセミナールームもある。
 五階は就労継続支援A型事業所で、就労困難者三十人を受け入れてコールセンターを運営。施設外就労先での就労も行う。
 六階は就労継続支援AB型、就労移行支援の複合事業所で、企業や自治体に清掃業務、名刺作成、データ入力作業、事務作業など障害者らにできる仕事の切り出しを働き掛けて就労先を開拓し、就労困難者や障害者、一般就労希望者、高齢者らを派遣。障害者百人を含み、就労困難者ら約三百人の雇用創造を目指している。
 渡邉代表は「沼津への事業所の開所は地元貢献ということで決断した。主にコールセンター、ジム、レストラン、マッサージ、貸しセミナールームを一棟のビルの中で展開し、障害のある人を、まず五十人雇用しようと考えている。さらに、デイサービスで要介護からの健康増進により、元気になったシニアを雇用したい」と話している。
 施設に関する問い合わせは同社沼津事業所(電話九五四-三九四三)
《沼朝平成25106()号》