2012年7月15日日曜日

求められるスピード感

西武沼津店閉店後の新たな核づくり 求められるスピード感  中心街空洞化歯止めを  沼津市が中心市街地活性化の岐路を迎えている。来年1月末の閉店が決まった西武沼津店は、1990年代半ばに大型店の撤退が始まったJR沼津駅周辺部にとり、最後の頼みともいえる存在だ。中心部の空洞化に歯止めがかからなければ、県や市などが継続している各種の駅周辺整備事業も生きない。再生の取り組みにはスピード感が必要だ。  そごう・西武が沼津撤退を表明した6月27日、沼津市は庁内横断組織の駅前都市機能検討委員会を発足させた。翌28日には沼津商議所などの中心市街地活性化協議会も専門部会を設立した。ともに目的は中心市街地の都市機能の再生と集積だ。  市の委員会はまず、西武沼津店の地権者らの意向を集約し、施設や土地の今後の生かし方について方向性を定める方針だ。内村博隆企画部長は「どのような行政の支援ができるか早急に探る。権利者のヒアリングは可能な限り7月中に行う」と強調する。  沼津駅の北側では大型コンベンション施設「プラサ・ヴェルデ」の建設が進んでいる。2013年夏に市の展示イベントホール、14年夏には県の会議場などが相次ぎ開業する。新たな都市機能の整備は街にとってプラスの要素だが、現状ではそのインパクトを十分に生かし切れないとの指摘がある。  市商店街連盟の芦川勝年会長は「駅南北の往来がしづらい上、西武跡の利活用が定まらないままでは、コンベンションで訪れる人々にマイナスの印象を与える」と危機感を口にする。市商連も近く会合を持ち、商業者の立場で影響や対策について意見交換する。  西武沼津店前のさんさん通りは毎年、県東部の最高路線価がつく一等地。沼津の玄関の再生は、地権者らの意向が尊重されるべきだが、同時に、従来に増して市のリーダーシップが求められている。(東部総局・田辺貴一) (静新平成24年7月15日「クローズアップ」)
 沼津・鉄道高架事業Pl委  勉強会の人選難航 工程遅れに懸念も  県は14日、JR沼津駅周辺鉄道高架事業に関するPI委員会(委員長・石田東生筑波大教授)の第5回会議を沼津市の県東部総合庁舎別棟で開き、パブリックインボルブメント(PI)の進捗(しんちょく)状況や市民から寄せられた意見を報告した。  県は4月から、PI実施計画に基づき、事業の概要説明や意見聴取を行うオープンハウスを市内で延べ6カ所、11日間行った。自治会や市民団体などと意見交換する車座談議も17回開いた。  この過程で市民から「都市計画決定し、事業認可も取得した事業なので進めるべき」「沼津駅は自由通路と橋上駅程度で十分」「高架事業だけでなく、まちづくり全体の議論をするべき」など、さまざまな意見が挙がったという。  PI実施計画は、事業の推奨案を選定するまでに6段階(ステップ)の工程を設けている。現在はステップ2の「目標の設定」の途中。県は今夏中にステップ2を終えたいとしているが、中心市街地や貨物駅移転予定地域の課題、将来像を具体的に話し合う勉強会の参加者選出作業に難航しているという。  石田委員長は「拙速な議論は避けなければならないが、このままではスケジュールに遅れが出てしまう。PIそのものや勉強会の意義をもっと分かりやすくして参加者を募るべき」と指摘した。  県は近日中に広報紙や新聞折り込みなどを利用して、市民にPIの解説などを行いながら勉強会の開催を目指したいとしている。 (静新平成24年7月15日朝刊)