2014年8月30日土曜日

知事、JR貨物と会談し認識

 知事、JR貨物と会談し認識
 沼津貨物駅 「防災拠点として重要」
 JR沼津駅付近鉄道-高架事業をめぐり、川勝平太知事は29日、JR貨物の田村修二社長と都内で会談し、同事業に伴う貨物駅移転に関して意見を交わした。知事は会談後の取材で「(防災拠点としての)沼津貨物駅の重要性を初めて知った」と述べた。
 会談は知事側の要請で行われ、知事と社長の2人が約1時間にわたって話し合った。
 知事によると、首都圏が大規模地震などに見舞われて鉄道が寸断された場合、沼津貨物駅が西日本からの物資搬送の拠点になるとの説明を受けた。知事は、1995年の阪神大震災の際に姫路貨物駅(兵庫県)が担った役割と同様とし、「JR貨物は日本全体の物流の防災を考えている。日本のために尽くす使命を果たしている」などと評価した。
 また、大阪府内や神戸市内にある貨物ターミナル駅を8月に見学したと述べ、「ものすごく静かで、貨物のイメージが根本的に変わった」とした。
 知事はこれまで沼津貨物駅の不要論も唱えていた。7月に高架化事業を推進する方針を表明した一方、事業の具体的な進め方などは明らかにせず、JR貨物側との意見交換を希望していた。
(静新平成26年8月30日朝刊)

2014年8月12日火曜日

戸田運送船(ホワイトマリーン号)定期航路廃止へ

戸田運送船が定期航路廃止へ 8月末で運航を終了
 市議会総務経済委員会(加藤明子委員長)が十一日に開かれ、市当局が、戸田運送船(山崎元社長)が運航する沼津港ー戸田港ー土肥港間の定期航路廃止を報告した。二〇〇三年八月三十一日、伊豆箱根鉄道の「こばるとあろー」による沼津港-松崎港をつなぐ西伊豆航路が廃止された後、西伊豆地域に唯一残っていた定期航路も今月末をもって姿を消すことになった。
 市の補助金増額難しい中 対応探るも打開策なく
 芹澤一男観光交流課長が航路廃止までの経過を報告。六月三日、戸田運送船から「補助金増額がなければ八月末をもって定期航路を廃止せざるを得ない」と申し入れがあり、同月二十六日、庁内で検討。「利用者の状況を踏まえ、これ以上の補助金増額は厳しい」とする結果を直ちに山崎社長に伝えた。
 市としては、戸田住民にとっての「足」の確保と観光振興の意味もあり、現状の補助金のままで定期航路運航継続の可能性はないか同社と共に模索。特定曜日の運休やタクシーによる平日の振り替え運行などを考えたが、七月二十四日、同社は「赤字解消は困難」だとして定期航路廃止決定を通知してきた。
 同航路への補助金は、戸田村時代の平成十五年度五百万円、翌年度一千万円。沼津市は合併した十七年度から昨年度まで毎年千五百万円を補助していたが、今年度は運航便数の減少に合わせて千四百二十五万円に減額している。
 同航路の乗船客数は平成十六年度四一、六〇七人、十七年度は合併効果があったのか四二、九八三人へ増えたが、次年度から前年度比で、五、八九七人、一、九五六人、七、五〇四人(リーマンショック)、四、一七三人、一、四三四人、六、一一四人(東日本大震災)、三、二八六人の各減と減少の一途をたどり、昨年度は前年度比九一七人減で乗船客数は十七年度の三割にも満たない。
 一方、戸田への入り込み客数は推計で、二十一年度から二二八、六〇七人、二一四、八五〇人、二〇一、八六三人、二一.一三、五七九人、昨年度は二〇一、〇九九人で、乗船客減の影響はない。
 報告を受け、山崎勝子委員(共産党市議団)が、乗船客数の推移、客数減少の原因を尋ねたのに対し芹澤課長は、合併によって県道船原西浦高原線など周辺道路が整備され、車利用者が多くなったことなどを挙げた。
 岩崎英亮委員(新政会)は「千五百万円の補助金があるのに」と経営状況を質問。芹澤課長は、船の維持管理費、燃料費の高騰を挙げ、「新規に観光クルージングを始めるなど経営努力はしてきたが、廃止はやむを得ないと考える」と答弁。また、観光客の利用が八割以上で、平日には利用客がない状況を報告した。
 二村祥一委員(市民クラブ)は、戸田港-沼津駅間のバス乗車料金が千五百六十円で、戸田港-沼津港間の乗船料二千円(市民は一割引)より安いことに言及し、利用者の声を尋ねたのに対して芹澤課長は、運航便数の減少に伴って戸田始発時刻が遅くなり、通院時間や買い物などに不都合が生じていることを挙げた。
 山下富美子委員(未来の風)は、戸田住民への航路廃止周知について質問。芹澤課長は、七月二十九日に開かれた戸田地区連合自治会の定例会へ山崎社長と共に出席し、廃止決定を単位自治会の会員に報告するよう要請したことを答えた。
 山崎委員は「多額の補助金を支出している市として同社の経営チェツクができていたのか。以前から疑問があった(会社だ)」と、過去に同社の社員が不正経理を同党に摘発した一件を示唆したが、芹澤課長は「民間企業なので」とするにとどまった。
 山崎委員は「他の事業にも(市から)補助金が出ている。その意味でも今回の戸田運送船の経営検証が必要になる」として、経営状態がどうだったか詳細かつ厳密に調べることを市当局に要望した。
(沼朝平成26812日号)


 「定期船廃止なら代替を」 戸田や土肥存続求める声
 沼津市戸田の戸田運送船(山崎元社長)が運航する沼津港と戸田港、土肥港を結ぶ高速船定期便が8月末で廃止されることが明らかになった11日、戸田や土肥地区の地元関係者からは観光資源や生活の足として利用してきた定期便が無くなることに対し、存続を望む声や観光地へのマイナスイメージを懸念する声が上がった。
 定期便は2011年にも運航廃止が持ち上がり、戸田地区連合自治会などの存続要望や同社の企業努力で存続につなげた。地区連合自治会によると、今回は7月下旬に同社や市から「8月末の運航廃止」を聞いたという。
 石原重利地区連合自治会長は「公共交通機関が脆弱(ぜいじゃく)な地域だけに継続してもらいたいのが地元の本音」と話し、廃止の場合は代替案を市に要請していく方針を示した。
 市によると、定期便利用者の8割以上を観光客が占めていたという。伊豆市観光協会土肥支部の山田伸次事務局長は「実際に定期便を使って土肥に来ている人はそれほど多くはないと思う」としながらも、「一つの交通手段が無くなることは観光地としてイメージダウン」と残念がる。
 戸田運送船によると、定期便では観光客や地元住民以外に、戸田地区の診療所向けに医療用物資なども輸送してきた。市に補助金増額を申し入れて存続の可能性を探ったが、断念した。山崎社長は長年にわたって赤字が続いていたことを廃止理由に挙げ、「減便によるコスト削減など、やれることはやってきた。続けられなくて本当に残念」と話した。

(静新平成26812日朝刊)