2013年2月16日土曜日

栗原市長が25年度施政方針

栗原市長が25年度施政方針を表明
 市議会2月定例会始まる
 市議会二月定例会は十五日に開会。諸般の報告、会期の決定、二十四年度議案説明の後、栗原裕康市長が二十五年度における施政方針を明らかにした。施政方針の概要は次の通り。
 【基本的な考え方】
 昨年末の総選挙を通じ、政治が国民の期待に応えることがいかに難しいかを改めて感じさせられた。本市においても人口減少、高齢化が確実に進行していく中、かつての右肩上がりの経済成長が続いていた頃とは明らかに違った対応が市政に求められている。すなわち、年々増大する社会保障をはじめとする義務的経費と、増額を期待できない歳入との乖離をどうやりくりするか。
 市民にとっては、より高く、よりきめ細かな市民サービス、さらには道路、下水道、公共施設等の社会資本のさらなる充実を市政に期待することは至極当然であり、中心市街地の退潮傾向を何とか打開する方策を市政に求めることも、無理からぬこと。
 しかしながら、市民においては時代の変化を認識してもらい、行政に対する要求のみならず、市民自らが市政に参画し、社会や地域にどうすれば自分達が貢献できるかも考えていただきたいと願っている。優れたアイデアのもと、市民が積極的に企画運営し、行政がしっかりと後押しするという実績が積み重なっていけば、まちの活力向上につながるのではないか。
 さらに、市役所だけでなく、病院、学校、NPO、企業、自治会、市民グループ等が「公共的使命」を自覚し、それぞれの立場で社会的課題に対処していくという「新しい公共」を沼津に広めていくことも、これからの沼津の発展にとって大きな鍵となると強く感じている。
 【新年度の主な取り組み】
 一、市民の命を守る、安全・安心のまちづくり
 防災・滅災対策今年六月頃に公表される県の第四次地震被害想定を踏まえ、従来の地震・津波対策を再検証した上で、新たな地震・津波対策を取りまとめ、ハード、ソフト両面における防災・減災対策を進めていく。
 具体的な取り組みとしては、津波避難路の整備、避難路への誘導看板や海抜表示板の増設、防災倉庫や避難所の資機材の整備等を引き続き進めるとともに、新型防災ラジオの有償配布や啓発用のハザードマップの作成などを進め、減災対策に努める。
 既存建築物の耐震化を促進するための耐震診断や耐震補強への助成、避難路の安全確保のためのブロック塀の撤去や改善、狭い道路拡幅の取り組み等を引き続き進めていく。
 津波対策としては、西浦保育所を高台にある西浦小の敷地内に移転するための建設工事に着手し、平成二十六年四月の開所に向けて準備を進めるほか、ときわ保育所の南側への築山の整備に着手いたします。また、二つの河川に挟まれた戸田・小中島地区においては、緒明(おあけ)児童公園に津波避難タワーを整備することとした。
 新たに建設している「静浦小中一貫学校」については、屋外避難階段の設置や防災倉庫、電気・機械設備の屋上への設置等により、児童生徒はもとより周辺住民の安全を確保していく。
 消防・救急体制の強化・充実については、広域化に向けた取り組みを引き続き進めるとともに、西部地域における新たな消防拠点施設の建設予定地の地質調査や、消防ポンプ自動車や指揮車、救命資機材等の整備・更新、消防団詰所の計画的な整備等を行う。
 治水対策 常襲浸水地域への対策として、青野排水樋門の築造など沼川・高橋川流域の総合的な治水対策を引き続き進めるとともに、今年度策定した「大平地区豪雨災害対策アクションプラン」に基づき、大平江川の河道改修なども行っていく。
 沼川新放水路の整備については、今年度、事業主体である県が沼川の河川整備計画を策定したところであり、一日も早い完成を引き続き県に要望していく。
 長寿命化対策 市民生活のライフラインとして、安定供給が求められる水道事業については、施設の耐震化や水道管の更新等に引き続き取り組み、橋梁や道路については、黒瀬橋の橋脚の耐震補強工事や幹線道路の補修計画の策定等に取り組むとともに、引き続き点検や保守を進めていく。
 小中学校については、校舎や屋内運動場等の建物の耐震化が今年度中にすべて完了するが、新年度においては、天井や照明、壁等の非構造部材の落下防止を図るための点検調査を行う。
 市営住宅については、「沼津市営住宅等長寿命化計画」に基づく整備や老朽化対策を進めているが、新年度は、八重団地の敷地整備工事等を行う。
 公園については、一部で遊具等の老朽化がみられることから、今年度、「公園施設長寿命化計画」を策定した。この計画に基づき、誰もが安心して遊べるよう、公園施設の計画的な保全管理や更新を行っていく。
 身近な生活環境の整備地域コミュニティ活動を支援するため、地区センターの整備を進めているが、門池地区において、来年二月の開館を目指して引き続き施設を建設し、今沢地区及び内浦地区で、平成二十六年度中の供用開始を目指し、新年度から施設建設に着手する。
 戸田地区では、地区センター機能を兼ね備えた「(仮称)戸田地域活性化センター」の建設に着手し、平成二十七年度当初の供用開始を目指す。
 公共交通の利便性向上について、片浜地区や原地区等を循環するミューバスは、より利便性の高いルートやダイヤの検討を行うとともに、戸田地区中心部と井田を結ぶ路線は、西浦江梨まで延長し、新たにデマンドタクシーでの運行を来月から試験的に開始し、新年度から本格的な運行を行う。
 環境対策 
 これまで「エコのまち沼津」の推進に力を入れてきたが、その輪が確実に広がっていることを喜ばしく感じている。引き続き「エコのまち沼津」の推進を図り、エコ活動コンテスト等の実施により、市民のエコ活動に対する関心や意識を高めるとともに、事業者や市民団体と横の連携を図りながら、地球温暖化防止対策の普及啓発を進めていく。
 ごみの中間処理施設の整備については、周辺住民との合意形成を図りながら、ごみ処理方法やエネルギー利用について検討し、施設整備基本構想を策定する。
 下水道については、人口密集地を優先的に整備するなど、より効率的な整備を進め、普及率の向上に努めるとともに、未接続の事業所や家庭に働きかけ、下水道への接続を引き続き促進していく。
 近年、イノシシやシカ等による農作物被害が多く発生していることから、市民の安全確保や被害の未然防止を図るため、農地への防護柵等設置に対する支援を行うなど、有害鳥獣対策を進めていく。
 二、誰もが生き生きと暮らせるまちづくり 
 福祉・健康・教育子育て環境の充実について、引き続き、こども医療費の助成を行うとともに、未熟児に対する医療費助成の窓口を市に一元化し、手続き等の利便性の向上を図る。現在建設を進めている「静浦小中一貫学校」校舎内に放課後児童クラブを整備する。
 高齢者に対する施策としては、「第六次沼津市高齢者保健福祉計画」に基づき、小規模特別養護老人ホーム等の施設整備に対して補助を行うなど高齢者福祉の増進を図っていく。
 障害者支援については、新年度に法改正が行われ、障害者の範囲が変更となることから、さらに各種制度の周知に努め、適切な障害福祉サービスの提供を図っていく。
 生活保護制度の運用については、高齢者世帯や失業等による生活困窮者世帯の受給が増加していることから、支援が必要な人に対して確実に保護を行うとともに、経済的、社会的な自立を促すための就労支援などを行い、適正実施に努める。
 健康づくりでは、現在任意で行われているヒブワクチン・小児肺炎球菌ワクチン・子宮頸がんワクチンの各予防接種について、国の施策に対応して定期予防接種化を図る。
 市民体育館の整備については、現施設の耐震化が構造上困難であることから、新たな体育館を建設することとした。早期の着工に向けて取り組み、大岡市民運動場についても、駐車場や夜間照明の整備工事を進め、施設の利便性向上に努める。
 さらに、市全体のスポーツ環境の整備や安全の確保を図るため、沼津市スポーツ推進基本計画の策定にも取り組む。
 児童生徒のいじめ対策としては、今年度中に改訂版「いじめ対策マニュアル」を策定することから、これらを基に、よりきめ細かな指導等を進め、子ども達が心身ともに健やかに成長できるよう努めていく。
 退職教員の協力を得て小学三年生を対象に学習支援を試行してきたが、新年度からは、さらに学習支援員を増員し、実施校の拡大を図り、児童生徒の学力の向上・定着に努めていく。教職員研修センターの機能を強化し、教職員の資質向上を図っていく。
 中心市街地活性化 沼津駅北口で建設が進む複合コンベンション施設・ふじのくに千本松フォーラム「プラサヴェルデ」のうち、展示イベント施設である「キラメッセぬまづ」が今年六月に開業する。市制九十周年を迎えるに当たっての節目の祝いと併せてオープニングセレモニーを開催し、本施設を市内外にアピールするとともに、利用促進に取り組んでいく。
 今年一月末に閉店した西武沼津店の跡地については、本館の取り壊しが決まったが、その後の活用及び新館の利用についても権利者の前向きな検討が進められており、市としても引き続き、早期の活用が図られるよう、できる限りの支援に努めていく。
 まちなかの新たなにぎわいスポットとして注目度が高まりつつある中央公園については、各種イベントや教室、大会など、市民のアイデア溢れる活動の場として、さらなる活用を図ることにより、まちなかに行けば何かが行われているとの期待感を抱かせるような取り組みに努めていく。
 新たな試みとして、狩野川右岸階段堤を利用した地場産品の販売や飲食など日常的な活用が図られる取り組みを検討しており、中央公園内にある沼津まちあるきステーションや付近の商店街等との連携を図りながら、中心市街地の活性化、回・遊性の向上につなげていきたい。
 中心市街地への居住を促進するための検討を行うとともに、沼津駅周辺総合整備事業の中核をなす鉄道高架事業については、事業主体の県と協力し、実現に向けて引き続き努力をしていく。
 にぎわいのあるまちづくり フィルムコミッション事業について新年度も引き続き、民間ボランティア団体であるハリプロ映像協会、沼津商工会議所と協力し、官民一体となって取り組むとともに、新たに、沼津の地域資源を題材としたショートムービーを募集し、優秀作品の上映会を開催するなど、映像を通して沼津の魅力を広く発信していく。
 伊豆半島は今年度、「日本ジオパーク」に認定されたが、新年度も伊豆半島の成り立ちについてアピールし、地域が一体となって平成二十七年度の「世界ジオパーク」の認定を目指していきたい。
 新年度はアメリカのカラマズー市との姉妹都市提携五十周年にもあたり、さらに両市の交流が深まることを期待している。
 市制九十周年記念行事として「市民が歌う沼津第九」演奏会や「芹沢光治良と沼津」をテーマとした沼津文学祭を開催することにより、市民に文化や芸術に触れていただく機会を提供していく。
 都市基盤整備
 東名愛鷹パーキングエリアへのスマートインターチェンジの設置については、平成二十七年度末の供用開始を目指し、道路改良工事を行うとともに、新東名駿河湾沼津サービスエリアについては、連結許可を得た後、実施設計に着手する。
 原駅前広場を拡張し、バス乗り場と送迎車のスペースを区分することにより、原駅を利用する乗降客の安全と利便性を図るため、新年度に都市計画道路原駅町沖線の事業認可を得て、用地の取得を始める。
 産業振興 産業振興については、引き続き、企業立地促進事業費補助金等の活用により、市内企業の規模拡充の支援や、本市への企業の立地を促進し、工業の振興や雇用創出等を図っていく。
 新製品創出を支援する知的財産活用事業や、新たな事業活動を促進するニュービジネス支援事業、経営改善に向けたコーディネート、創業や経営強化を図るセミナー等の開催を通じて、中小企業の支援に引き続き取り組む。県東部の中小企業支援の一拠点となる沼津商工会議所の新会館建設にあたり、建設費の一部を助成するなど、本市商工業の連携強化を促進していく。
 農業については、本市の特産品である「寿太郎みかん」を核とした生産者の取り組みが、昨年、全国農業コンクールにおいて、農林水産大臣賞を受賞するという明るい話題があったが、新年度においては、新規の青年就農者に対する支援を行うなど、将来に希望を持って就農する後継者の確保・育成を促進していく。
 水産業については、市内漁港への水揚量の確保や流通促進を図るため、沼津港等に水揚げする市内漁業者に対する支援を引き続き実施していく。
 【行財政運営】
 新年度の予算編成にあたっては、事業の重要性や必要性、費用対効果等を検討するとともに、限られた財源を効果的・効率的に配分するための精査や財源の確保に努めた。
 行財政運営にあたっては、より一層の経費削減に努めるとともに、市有地の売却等、本市が保有する資産の有効活用や歳入確保のための取り組みなど、時代の変化に対応した簡素で効率的な行財政運営に努め、より一層の行政改革を推進していく。
 組織面では、水道部の「水道総務課」と「水道経理課」を一つの課に統合し再編するほか、市街地整備課の「コンベンションセンター開設準備室」を廃止し、新たに観光交流課にコンベンンヨン推進のための係を設置するなど、組織のスリム化や重点化を進めていく。
《沼朝平成25年2月16日(土)号》

2013年2月15日金曜日

きょうから市議会定例会

きょうから市議会定例会
 3月22日まで36日間を予定
 市議会二月定例会は、きょう十五日開会となるが、この定例会における会期の予定は次の通り。きょう開会の本会議で決定される。開会は、いずれも午前十時。
 15日 本会議(開会、諸般の報告、会期の決定、二十四年度議案説明、施政方針、二十五年度議案説明)
16、17日休会(市の休日)
 18日 本会議(二十四年度関係議案質疑、委員会付託)
 19日 委員会(民生病院、総務経済)
 20日 委員会(建設水道)
 21日 委員会(一般会計予算決算)
 22日 委員会(特別会企業会計予算決算)
 23-25日 休会(市の休日、議事整理)
 26日 本会議(二十四年度関係議案委員長報告、質疑、討論、採決)
 27日-3月3日 休会(議案研究、市の休日)
 4日 本会議(一般質問=代表質問)
 5日 本会議(一般質問=代表質問・個人質問)
 6日 本会議(一般質問=個人質問、二十五年度関係議案質疑、委員会付託)
 7日 委員会(民生病院、総務経済)
 8日 委員会(建設水道)
 9、10日 休会(市の休日)
 11-13日 委員会(一般会計予算決算)
 14、15日 委員会(特別会計企業会計予算決算)
 16-21日 休会(市の休日、議事整理)
 22日 本会議(二十五年度関係議案委員長報告、質疑、討論、採決、閉会)
《沼朝平成25年2月15日(金)号》

2013年2月10日日曜日

「中心市街地活性化」求められる市民参画

13年度予算案 沼津市 下
「中心市街地活性化」求められる市民参画


 「『中心市街地の活性化』という言葉をよく聞くが、何をもって活性化とするのか。イメージが漠然としている」。今月2日、沼津市内で開かれた地域の課題や将来像を語り合う勉強会で、参加者の男性の一人が素朴な疑問を投げ掛けた。
 商店街の衰退、人口減少など沼津が抱える課題は多い。その打開策を探る時、必ず出てくる言葉が「中心市街地の活性化」だ。市はまちのにぎわいを創出しようとさまざまな催しを試みてきたが、一過性の効果にとどまる企画が多かった。
 新年度の予算案にも「中心市街地の活性化」を図る事業がいくつかある。まちあるき拠点創造事業(1500万円)は、大手町の中央公園でイベントを開く民間団体を支援する。必要な資機材も市が用意して、積極的な利用を呼び掛ける。栗原裕康市長は「『あ
そこに行けば常に何かやっている』と、市民が期待するような場所にしたい」と説明する。狩野川沿いでも市民が主体となってカフェや物産市などを開く「狩野川マルシェ」(仮称)を計画している。
 市産業振興部の間宮一寿部長は「これまでのように行政や商工関係者だけがにぎわいづくりに関わるのではなく、多くの人が参加できる仕組みを作り、真の活性化につなげたい」と意気込む。
 市は、展示イベント施設「キラメッセぬまづ」の利用促進事業(1億1700万円)にも市民参画を掲げる。来夏の総合コンベンション施設「プラサヴェルデ」開業をにらみ、イベントに必要な誘導や受付などに当たる市民ボランティアを育てる。飲食店や宿泊施設などと情報連絡会もつくり、地域全体でもてなす体制を構築する。
 市の担当者は、競合する全国のコンベンション施設と対抗するために、「受け入れ準備を整え、歓迎ムードを盛り上げることが大切。市民の力は不可欠だ」と力を込める。ただ、巨額の投資で建設した施設を"ハコモノ"と批判されないためにも、市はコンベンションが経済効果を生み出す施策を具体的に示し、実践していくことが求められる。
 (東部総局・豊竹喬が担当しました)
《静新平成25年2月10日(日)「検証」》

2013年2月9日土曜日

「津波防災」募る不安に対策強化

13年度予算案 沼津市 中
「津波防災」 募る不安に対策強化



 東日本入震災から2年がたとうとしている2月初旬、沼津港にほど近い住宅密集地に住む林佳子さん(72)は、目の前に広がる駿河湾を眺めながらつぶやいた。「ぐらっと揺れたら逃げる。それしかない」ー。沿岸の市民の津波に対する恐怖と警戒心は根強い。
 南海トラフ地震の想定では、市内の浸水面積(浸水深1㌢以上)は6・2平方㌔。林さんが暮らす海抜約3㍍の地域も1~2㍍の浸水が予測されている。震災以降、林さんは自宅近くの津波避難ビルをチェックし、食料の備蓄も徹底している。
 市は2012年度、地震・津波対策に21億円を投じた。11年度から2力年計画で進めてきた「緊急地震・津波対策アクションプラン」に基づき、津波避難訓練対象区域内で200棟の津波避難ビルを指定したほか、静浦、内浦、西浦、戸田地区には177路線の避難路を整備した。
 13年度の一般会計当初予算案は投資的経費が大幅に減少したが、地震・津波対策は約4億円を上積みした。海抜2㍍に位置する西浦保育所の高台移転を完了させ、浸水区域内にあるときわ保育所の隣地に整備する人工築山の詳細設計を行う。園児の母親は「震災以降、不安が付きまとい、安心して仕事ができなかった。一日も早く完成させてほしい」と期待する。市の幹部は「保護者の安心材料を提供する津波対策は子育て支援にもつながる」と説明する。
 市は、ブロック塀の撤去などに対する公費補助、同報無線を自動受信する防災ラジオの有償配布など市民の自助努力を促す事業も継続する。
 市民の防災意識は確かに向上した。だが、津波へ過度な恐怖心を抱いている人もいる。市は6月に公表される県第4次地震被害想定を踏まえ、市内の現状を再検証する。さらにアクションプランを新たに策定し、市民への啓発を含めた行動計画を作る。市危機管理課の担当者は「市民の自助と災害を正しく恐れる知識が広まらなければ、一つ一つの対策は生きてこない」と力を込める。
《静新平成25年2月9日(土)「検証」》

2013年2月8日金曜日

「人口対策」 中心市街地で居住促進

13年度予算案 沼津市 上
「人口対策」 中心市街地で居住促進



 人口減少が深刻な沼津市。2007年までは21万人台を維持していたが、15年には20万人を切ると推計されている。ただ、JR沼津駅周辺の市街地の様相はやや異なる。
 市都市計画部によると、1980年に1万人以上だった駅南地区の人口は、2005年に約8千人にまで減少したものの、その後は緩やかに増加している。高橋強部長は「郊外から都心回帰する中高年が増えている。中心市街地の低迷が叫ばれているが、住宅の需要はある」と分析する。
 沼津市は学校や企業が多いため、昼夜間人口比率(夜間人口100人当たりの昼間人口)が107・5と県内で2番目に高いというデータもある。だが、ある地元不動産業者は「駅の南北が鉄道で分断されているため不便さが目立ち、他の街の物件を選ぶ人もいる。都市構造上、街の強みを生かし切れていない」と指摘する。
 駅周辺は鉄道の高架化を前提に再開発が進められてきた。だが肝心の高架化はさまざまな利害が絡み、凍結状態が続く。県は住民の合意形成作業を続けているが、先行きは不透明なままだ。
 市は都市機能の整備を進めながら、新たな定住人口対策に乗り出す。これまで商業で発展してきた中心市街地を、住宅街として活性させるために住宅政策推進事業(900万円)に取り組む。
 中心市街地に対する詳細なニーズを居住者と住宅供給のデベロッパーを対象に調査し、居住促進に向けた具体的な指針を策定する。栗原裕康市長は高齢化時代を見据え、「車の免許証を返納した高齢者でも、県東部で最も都会的な生活を送れる地域にしたい。居住者が増えれば、周辺の商業もおのずとにぎわうはず」と構想を練る。
 沼津駅前では1月末、西武沼津店が閉店した。「いつまでも寂しいとばかり言っていられない。沼津も新しいまちに生まれ変わらなきゃ」。商都のシンボルが消えた商店街で衣料品店を営む男性(52)は、自らに言い聞かせる。
 ◇
 沼津市の2013年度一般会計当初予算案は2年連続減の677億円。厳しい財政事情の中、人口対策、防災力強化を進め、市内に漂う停滞感を打破するため市民参画も積極的に促す。それぞれの取り組みを新規事業を中心に検証する。
《静新平成25年2月8日(金)「検証」》

2013年2月7日木曜日

沼津市新年度予算案

沼津市新年度予算案 前年度比4億円増


 沼津市が6日発表した2013年度当初予算案は一般会計が677億円で前年度を6・3%下回った。厳しい財政事情の中でも、地震・津波対策の経費は前年度より約4億円増額した。昨年の事業仕分けで要改善とされた下水道事業など6事業は計5億3900万円を削減した。栗原裕康市長は、市民サービスの維持と、民間と協働したまちづくりにも主眼を置いた予算編成と説明した。
 ▼安心・安全
 門池、今沢、内浦の地区センター建設事業(5億5500万円)と戸田地域活性化センター建設事業費(2億3千万円)は市民活動や避難時の拠点として整備する。小中一貫型学校整備事業(16億6100万円)で建設する静浦小中一貫学校も避難所機能を担う。津波対策事業(7千万円)は戸田地区に津波避難タワーを新設し、同市本に設ける築山の詳細設計を行う。
 ▼まちづくり
 まちあるき拠点創造事業(1500万円)は中央公園で民間が開く観光イベントを支援する。キラメッセぬまづ利用促進事業(1億1700万円)は施設の管理運営、大型会議の誘致を行う。住宅政策推進事業(900万円)は中心市街地の居住促進に向けて計画を策定する。スマートインターチェンジ設置事業(4億8千万円)は東名高速道愛鷹パーキングエリア付近の道路改良工事や、新東名高速道駿河湾沼津サービスエリアへの新設に向けた実施設計費として計上した。
《静新平成25年2月7日(木)朝刊》

2013年2月6日水曜日

沼津市一般会計677億円

沼津港近くに人工築山
14年度完成目標 300人津波避難可能


 沼津市は、東海地震や南海トラフ地震で津波の浸水が想定される同市本の市立ときわ保育所周辺に、住民が避難できる人工の築山を整備する。6日発表した2013年度当初予算案に、戸田地区への津波避難タワー整備なども含む津波対策事業の経費として7千万円を計上した。
 沼津港から約100㍍に位置するときわ保育所は、低層住宅が立ち並ぶ風致地区にあり、津波避難ビルが近くにない。南海トラフ地震の想定では、約6分で第1波が到達し、最大で7㍍の津波が押し寄せるとされる。
 築山の予定地は、住民がゲートボール場として使用している同保育所の隣にある約5千平方㍍の土地。約300人が避難できる規模で、「平常時はゲートボールや散策が楽しめる市民の憩いの場として利用できる」(市危機管理課)ものを計画している。
 市は、13年度中にボーリング調査や住民の意見を踏まえた上で細細設計を行う方針で、14年度の完成を目指している。
《静新平成25年2月6日(水)夕刊》



沼津市一般会計677億円
 新年度予算案投資的経費、大幅減


 沼津市は6日、2013年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度当初に比べ45億3千万円少ない677億円(6・3%減)。土木、教育関係の投資的経費が大きく減少した。5特別会計、3企業会計との合計は1340億5100万円(3・6%減)になる。
 一般会計の歳入のうち、自主財源の柱となる市税は348億円で前年度を3億円下回った。予算規模が縮小したため、歳入全体に占める市税の割合は4年ぶりに50%を上回った。自主財源比率は59・3%で、1・2ポイント改善した。
 歳出では、生活保護費などを含む扶助費が143億9500万円(3・4%増)に上り、全体の21・3%を占めた。一方、JR沼津駅北口の展示イベント施設「キラメッセぬまづ」(6月29日先行オープン予定)の建設事業や小中学校の耐震化が終了したことにより普通建設事業費が大幅に減り、95億9600万円(30・9%減)となった。公債費は78億円(1
・2%減)。市は、前年度に引き続き防災関連事業に重点配分するほか、喫緊の課題になっている中心市街地の活性化や定住人口の増加に向けた新規事業に力を入れる。14年度以降に新市民体育館や清掃プラントなどの大型建設事業が控えているため、「貯金を維持しながら借金を減らし、財政規律を守る踊り場的予算」(市幹部)と位置付けた。
《静新平成25年2月6日(水)夕刊》

2013年2月5日火曜日

津波対策で沼津信金 15店舗に海抜表示

津波対策で沼津信金 15店舗に海抜表示



 沼津信用金庫はこのほど、沼津市内の15店舗に海抜表示板を設置した。予想される東海地震、南海トラフ巨大地震への備えとして、顧客や店舗周辺の住民に海抜情報を提供するのが狙い。
 本店営業部と14支店の入り口ドアに、その店舗の地盤の海抜を記した。同信金は「当金庫は海に面した沼津市がメーン営業工リア。お客さまが正しい標高を知り、津波避難への備えの一助にしてもらえれば」(総務課)としている。
 同信金の営業店は全30店舗。沼津市以外の15店舗は内陸部か標高が高い地域にある。
《静新平成25年2月5日(火)朝刊》

2013年2月3日日曜日

西武沼津店閉店 市街地再生への契機に

社説<2013.2,3>静岡新聞
 西武沼津店閉店 市街地再生への契機に
 西武沼津店が閉店した。1957年、西武が地方の第1号店として沼津駅南口に開業し、静岡県東部の「商都」のシンボルとして君臨していた百貨店が消えた。
 地方都市で進む中心街の衰退を浮き彫りにする出来事だけに、今後の中心市街地の在り方を考える上で沼津市の「商都」という役割については、ひと区切りついたと考えるべきだ。沼津市や関係者は閉店を契機に新たな街づくりの方向性を具体的に示してほしい。
 栗原裕康市長は1月の定例会見で西武撤退後の中心街の姿について、高齢者が住みやすい住環境を中長期的に整備していく考えを示した。車がなくても快適に暮らせる都市空間を目指すと言い換えてもいい。方向性としては妥当だ。ユニバーサルデザインの視点からも高齢者に優しい街は誰にも住みやすい街としてアピールできる。
 沼津市の中心街は年々、高層マンションが増えている。ただ、利便性の良い中心街への回帰は全国の地方都市でみられる共通の現象だけに、市街地を流れる狩野川や沼津港が近いことなど独自の資源を生かして街の魅力を高める必要がある。
 西武の跡地について本館は土地と建物を所有する伊豆箱根鉄道が新たな商業施設の整備を前提に、建物の解体を決めた。本館と連絡通路でつながる新館の複数の地権者も商業施設として存続させる考えでは一致し、東京の商業コンサルタントと協議している。
 どのような商業施設になるにしろ、最盛期の西武沼津店のように県東部全域から人を呼び寄せることは至難の業だ。地元の住民に親しまれ、市街地の付加価値を高める施設を目指してもらいたい。沼津市は関係者とともに知恵を出し、支援する必要がある。
 沼津市の人口は減少が続き、数年後には20万人を割り込むことが予想されている。総務省が公表した人口移動報告によると、転出が転入を上回る転出超過では沼津市が全国の市町村で7番目に多かった。人口減少の抑止は中心街の再生と並ぶ大きな課題だ。中心街の定住人口を増やすことは、二つの課題の解決にもつながる。
 沼津駅北口には来夏、総合コンベンション施設がオープンする。ただ、鉄道で駅の南北が分断されている現状では駅周辺を一体とする街づくりは制限される。鉄道高架化事業の遅れで街が衰退していく現状を事業主体の県は強く再認識してほしい。高架化事業を推進するのか、それとも別の方法で駅南北をつなぐのか。結論の先延ばしは、市街地再生の遅れにつながる。

企画展「時を駆けた橋」仙石規

企画展「時を駆けた橋」仙石規
 今月九日から十七日まで、沼津市立図書館四階展示ホールにて、沼津市明治史料館平成二十四年度第2回企画展「御成橋命名百周年記念時を駆けた橋」が催されます。
 タイトルは、五年前に上梓した私の歴史エッセイと同一で、光栄に感じております。
 この企画展初日に、五年半前に私の手元に来て執筆のきっかけとなった、約百四十年前からのものを含む「港橋(御成橋の前身)史料一式」を、市に寄贈させていただくことになりました。
 今年、沼津市は市制九十周年を迎えます。沼津町と楊原村という、沼津市の母体となった二つの地区を初めて結んだ橋の「沼津の宝」と言える史料を、過去を顧みて沼津の未来を研究するために、市に所有してもらい役立てていただくことが、当初からの願いでした。宝は個人が隠し持つものではなく、人々に輝きを見せて役立たせるところにあるべきなのです。
 企画展には、明治初期の美しく彩色された橋の設計図を含む、私が所有してきた史料の外にへ明治史料館所蔵の「地震之記」、浜の観音様「長谷寺」に奉納された「港橋渡り初め絵馬」など、滅多に見られない「港橋」「御成橋」関連の史料の数々が展示される予定です。
 そして、私が集めてきた、明治から昭和にかけての橋の絵葉書も、三十枚以上が公開されます。
 橋の周囲の商店の写真、その位置が記された大正末期の地図も学芸員さんの努力で復元され、牧水、白秋が愛で、井上靖が少年時代に走り回った「良き時代の沼津リバー・サイド」をじっくり味わえる展示になることでしょう。
 企画展は無料です。懐かしさを覚える年代の方は勿論のこと、小・中学生を含む若い人達にも、ぜひ足を運んでもらいたいと感じます。
 今回も明治史料館の学芸員さんが、私の預けた絵葉書の一枚が大正元年八月から数カ月の間に撮影されたものであることを推理・発見してくださって感激しました。
 郷土史研究は地味なものですが、過去の真実を一枚の写真から解き明かすといった「名探偵」にもなれる楽しさも秘めていることを少年少女達にも知ってもらい、沼津を再発見してもらえばな、と願ってやみません。
 初日と最終日には、私がギャラリートーク(展示物を来場者に解説するガイド)を務めさせていただくことになりました。郷土を愛する心を応援してくださった市民と県、市の関係者の方々に、心より感謝しております。
「御成橋」より愛をこめて!
《沼朝平成25年2月3日(日)号言いたい放題》

2013年2月2日土曜日

西武沼津店本館は取り壊し決定 ・新館は「やまき」がリニアル

西武沼津店本館は取り壊し決定 ・新館は「やまき」がリニアル
 閉店後については、新館部分は、商業コンサルティング業の「やまき」(東京都港区)が複合商業施設としてリニューアルオープンする計画が上がっている。同社によると、地権者と協議を続けており、2月中旬にも最終合意できる見込みという。
 新館は71年にオープンし、地上8階、地下1階。延べ床面積は1万2309平方メートル。同社は「内装や外装をリニューアルし、飲食店などが入った施設にする」としている。
 一方、本館については31日、土地と建物を所有する伊豆箱根鉄道(三島市)が、閉店後は建物を取り壊すと発表した。更地にした上で有効な活用法を検討するという。
 本館は57年6月、地上5階、地下1階でオープン。67年に8階まで増築し、延べ床面積は6030平方メートル。敷地面積は831平方メートル。老朽化が進んでおり、継続使用には数億円の投資が必要になると見られることなどから取り壊しを決定した。今年夏ごろから、作業を始めるという。

※この毎日新聞記事の「やまき」についてネットで下記のよう書かれていました。
私たち「やまき」は、商業コンサルタントとして関東はもとより全国の中心市街地の複合商業施設を手掛けてまいりました。
そして、立地に見合った(法定再開発・リボーン・リニューアル)テーマ・コンセプトを利用者の目線に立ち数多く提案し続けております。
実例としてはタレントショップ(モーニング娘。等)、仮設店舗(空港・駅他のカートショップ)、屋上フットサルガーデン、インドア型ハウジングテーマパーク等があります。
このような経験の蓄積が「やまき」ならではの発想を可能にしました。
それが、商業施設の再生(治療)に特化した総合病院というスタイルです。
近年、郊外型SCが商業の中心となり、中心市街地からの人離れが顕著に見られます。
たとえば、中心市街地に残された高齢者です。間違った商業開発の結果(処方箋)によって、彼らは郊外に行くこともできず日常の買物にも苦労する「買物難民」となっています。では正しい商業の処方箋とは何でしょう?
その答えを「やまき」は知っています。ですから現在、弊社に再生(治療)の問い合わせが殺到しているのです。
47都道府県で歴史と文化のある中心市街地がだめになると、街全体が病んでしまい人々が元気に生活できる状態でなくなります。
いったい、どうすればよいのでしょう…。
その答えは、集客・売上に伸び悩んでいる中心市街地の商業施設に、時代に見合った治療をおこなうことです。

2013年2月1日金曜日

本館解体は今夏開始 新館、商業施設で再開方針

 本館解体は今夏開始
 新館、商業施設で再開方針
 31日に閉店した西武沼津店(沼津市大手町)の跡地利用について、地権者と建物の所有者が具体的な検討を始めた。同店の跡地はJR沼津駅南口に面する「沼津の顔」。商業施設としての1日も早い再生が期待されている。
 西武の本館が入居している「沼津ビル」と敷地を所有する伊豆箱根鉄道は31日、そごう・西武との賃貸契約が終了する今夏に同ビルの解体を始めると発表した。当初は同ビルへのテナント誘致を検討したが、老朽化への対応をしながら再活用するのは困難と最終判断したという。
 同社は「解体後の活用方法は未定だが、行政関係などと協議を続け、当該エリアの活性化につながるよう検討する」と説明する。新たな商業施設の整備を目指す方針だ。
 土地と建物について複数の権利者がいる新館は、現在のビルを商業施設として再開する方向で関係者が合意した。既に、地方都市の商業ビル再生で実績がある東京都内のコンサルタント会社と具体的な協議を進めている。
 沼津市の栗原裕康市長は同日、「早期に跡地利用を図れるよう、市としてできる限りの支援をする」と談話を出した。沼津商工会議所の市川厚会頭も「新館、本館とも関係者が商業機能の維持、再生に向けて努力していただき、心強い。商議所として協力可能なことを探る」と話した。
《静新平成25年2月1日(金)朝刊》