2012年1月25日水曜日

沼津・瀬尾記念病院 改善指導

沼津・瀬尾記念病院
病室以外に患者入院 県など改善指導
 医療法人社団慶信会(井上慶三理事長)が運営する沼津市上土町の瀬尾記念病院が、病室以外の患者入院を常態的に行っていたとして、県から医療法に基づく指導を受けていたことが、24日までの取材で分かった。同法人によると、許可を受けた60床以上のベッドを置いていたとして、診療報酬上の問題で厚労省東海北陸厚生局の指導も受けたという。
 県や同法人によると、同病院は病室ではない個室の処置室など計7部屋12床に患者を繰り返し入院させていた。井上理事長は「手術予定の患者のベッド確保や救急患者、緊急入院の受け入れなどで目的外で使用してきた」と認め、「診療報酬の返還にも適切に対処したい」としている。
 病室外の患者入院は、県東部保健所による昨年11月末の立ち入り検査で発覚した。県医務課は病院関係者からの情報提供などを元に調べたとして、「普段は書類上のチェックが中心。ベッドを隠すなどの病院側の隠ぺいなどもあって見抜けなかった」などと説明する。今月19日までに改善状況を確認したという。
 井上理事長は、同病院の今後の運営について、4月から病院体制を変更して無床の診療所とする方針を示した。2次救急医療など同病院の機能は、同法人が沼津市下香貫で運営する瀬尾記念慶友病院(66床)に統合する考え。
 同法人のホームページによると、瀬尾記念病院はリハビリ科を併設した整形外科の専門病院。昭和30年代に開院した医院を前身に、1996年に現地に移転新築した。常勤医師は5人。入院基本料を算定する看護師比率は13対1を掲げる。
【 理事長一問一答】
「正確には知らなかった」
 瀬尾記念病院を運営する医療法人社団慶信会の井上慶三理事長は24日までに、静岡新聞社の取材に応じた。一問一答は次の通り。
 ーいつから病室以外に患者を入院させていたのか。
 「調査中。昨年6月に病院内のコンピューターを更新したため、正確な時期が特定できていない」
 ー医療法に触れている認識はあったか。
 「(病室の)運営状態を正確には知らなかった。(施 設の)目的外使用を漫然と続けていた責任は私にある」
 ー無床の診療所に変える理由は。
 「入院患者の維持が難しく、医師や看護師不足もあり病院経営が成り立たない。地域医療や救急を維持するための苦渋の選択だ」
 ー入院患者数の超過はなかったのか。
 「入院患者は(許可病床の)60人以下を維持していた。そのため今回の問題への意識が低かったとも言える」
(静新平成24年1月25日朝刊)

2012年1月12日木曜日

陸山会事件:小沢元代表公判やりとり

陸山会事件:小沢元代表公判やりとり
(静新平成24年1月12日朝刊)
陸山会の土地購入をめぐる収支報告書虚偽
記入事件で、東京地裁で11日開かれた民主党元代表、小沢一郎被告の第13回公判の主なやりとりは次の通り。
 午前10時前、小沢元代表が証言台へ。検察官役の大室俊三指定弁護士が被告人質問を再開した。
 元秘書の石川知裕衆院議員に渡した現金4億円の出どころについて、元代表は①バブル時代に転居した際の土地売却益2億円②金融危機の際に銀行から引き出した3億円③同様に引き出した6、7千万円ーで合計5億6、7千万円と説明した。
 指定弁護士は②の後、妻の口座に入金があった2億9千万円を「同じ金では」「その後、供述を変えたのでは」と追及。
 小沢「変えていない。正確な記憶がなかっただけだ」
 大室「東京のマンションの事務所にいつから4億円以上あったのか」
 小沢「かなり以前」
 大室「億単位の現金保管は想定できない」
 小沢「必要ができた場合、すぐ対応できる。使い勝手や安全の意味で手元に現金を置くのは私の感覚では離れていない」
 元代表の個人口座にも質問が及んだ。
 大室「どんな資金が」
 小沢「国会からの歳費や印税、出演料など」
 大室「石川さんはマンションの現金をもともと知らなかったから『何か表に出せない金』と思ったのでは」
 小沢「渡す時には『私のお金だから』と言ったように記憶している」
 指定弁護士は石川議員に4億円を渡した場面について聞いた。
 大室「紙袋に入れて新聞紙で覆ったのは」
 小沢「僕だと思う」
 大室「1億円は10㌔と重い。忙しいあなたがやるのは、ふに落ちない」
 小沢「プライベートな資金なので」
 4億円はその後、池田光智兀秘書が返却した。
 大室「なぜ現金で」
 小沢「いつでも使えるように」
 質問は土地購入代金の支払いについて。
 大室「秘書があなたの意見を聞かずに、登記時期をずらして先に代金を支払うのは不目然だ」
 小沢「政治家と秘書は人間の信頼関係で成り立つ。家族のような存在。秘書に任せないと天下のことに集中できない」
 質問は、土地購入の際、銀行に4億円を預けて担保とし、同額の融資を受けた仕組みに移った。
 大室「融資申込書などにサインする際、石川さんらから『借り入れは形式的』との説明は」
 小沢「ありません」
 大室「石川さんはこの法廷で『預金担保で購入します』『預金担保の書類』などと言ったと述べたが」
 小沢「細かな説明を受けた記憶がない」
 大室「4億を用立て、何百万も金利を払う借り入れをする合理性は」
 小沢「いちいち理詰めで考えていない」
 指定弁護士は、土地の権利が元代表にない証明として作った確認書について質問を始めた。
 大室「2007年の事務所費公表の際、いつ作成したと説明したのか」
 小沢「分からない」
 大室「代金を支払った際と言わなかったか」
 小沢「表現の仕方は記憶していない」
 大室「支払い時に作成したのではないですね」
 小沢「公表時に(他の土地も含め)確認書が全部あると思っていたらなく、じゃあ作ろうと」
 大室「公表の際、後から作ったと分かった上で説明したのか」
 小沢「そうだと思う」
 指定弁護士が週刊誌の質問に池田元秘書の名前で答えた回答書を示す。
 大室「個人資産を提供したことが回答の中にない。隠す趣旨では」
 小沢「邪推だと思う」
 大室「4億円を持っていることは公表したか」
 小沢「いいえ」
 大室「4億円が現金で返されたことも公表していない」
 小沢「と思う」
 午前11時55分ごろ休廷。
午後1時半に再開。村本道夫指定弁醗士が質問を始めた。
 村本「石川さんらの政治資金収支報告書の処理に間違いはないか」
 小沢「正しく記載し報告していると思う」
 村本「見ていないが」
 小沢「秘書を信じているし、内容はそんなに複雑でなく誰でもできる」
 村本「04年10月にりそな銀行から借りた4億円は05、06年に2億円ずつ返したと知っていたか」
 小沢「銀行とのやりとりは分からない」
 村本「4億円の利息があなたの口座から出されていたと知っていたか」
 小沢「最近聞いて驚いた。笑い話のように聞かされ、へーって言った」
 村本「05年に2億円の借り入れが継続した」
 小沢「明確な記憶はない」
 村本「利息支払いは」
 小沢「分からない」
 村本「池田さんは、2億円分の利息は『もったいないので返せ』とあなたに言われたと」
 小沢「聞いていない」
 村本「石川さんが秘書になった後、政治団体の支出の六十数%が不動産購入だが」
 小沢「私の考えではない。賃貸だと賃貸料が増大するので、ローンが組めるなら、その方がいいという結論になった」
 村本「政治活動を辞めた後の不動産は」
 小沢「陸山会の財産の残り全てで次の世代の人を応援したい」
 質問者が山本健一指定弁護士に交代した。
 山本「(元代表が)4億円を用立てると言ったのは石川さんなどの証言では04年9月だが、実際に渡したのは同10月」
 小沢「いつ金が必要かは担当が言う話だ」
 山本「10月に売買契約が成立したからでは」
 小沢「具体的な契約や取引の報告はない」
 弁護側の弘中惇一邸弁護士が再質問に立った。
 弘中「4億円の原資となった東京都文京区の不動産の売却額は」
 小沢「14、15億円」
 弘中「世田谷区に購入した代わりの住居は」
 小沢「9億円前後」
 元代表は、ほかはも相続した東京・上野の土地を約40年前に1億円前後で売却したと述べた。
 弘中「個人口座から現金を出金したことは」
 小沢「ある。『日本改造計画』の印税8千万円を含めていろいろ収入も加わり、引き出したのは1億6、7千万円と銀行の資料にあった」
 弘中「4億円を用立てた時、政治団体の手持ち資金の合計を聞いたか」
 小沢「聞かなかった」
 弘中「資料によると7億円ぐらいあった」
 小沢「知らなかった」
 弘中「融資申込書などにサインしたが内容は」
 小沢「多分見ていなかったと思う」
 元代表は捜査段階で「確認書作成を指示し、間もなく作ったはずだ」と供述したが、後に「数日前に作成した」と訂正。この日、元代表は「いくつかの不動産で作っていなかった。あるという感覚だった」と釈明した。
 弘中「事件後、石川さんから登記ずらしを報告された可能性は」
 小沢「全くないと断言する根拠はない」
 弘中「検察官は話したことをその通りに受け止めて調書を作ったか」
 小沢「検察官の質問に首をかしげながら、という連続だった。訂正を求めたが、争ってもしょうがないと思い、そのままに。そのようなことが何度かあった」
 弘中「『現金を手元に置くと使い勝手が良い』と言ったが、実例は」
 小沢「総選挙で仲間を支援した。(政治団体の)改革フォーラム21から寄付が来るのに時間差があった。全国に仲間が散る前に埋め合わせた」
 午後3時すぎに休廷。
 午後3時40分に再開。井下田英樹裁判官が「収支報告書や資産公開を見ていなかったということか」と質問を始めた。
 小沢「資産公開については分かっていた」
 井下田「国会議員のキャリアの中で最初から報告書の内容を把握していないのか」
 小沢「作成には最初から関与していない」井下田「4億円を用立てることは一般国民には理解し難い」
 小沢「秘書はある意味で家族。(返済は)心配していなかった」
 井下田「融資申込書にサインした場面で、無言で持ってきてサインするとは不思議。最低限のやりとりはあったのでは」
 小沢「簡単な会話はしたと思う」
 井下田「約束手形にサインした時、陸山会に貸したとの認識は」
 小沢「銀行との話でこの形になっただけ。理詰めで考えたことはない」
 井下田「4億円。普通感覚では慎重になる」
 小沢「秘書と銀行なので疑念は挟まなかった」
 井下田裁判官は仮定の質問をぶつける。「陸山会への4億円の貸し付けだけを計上した経理処理の報告を今受けたら、よしとするか」
 小沢「仮定の話で法律的なことは分からない」
 井下田「あなたが提供した4億円を土地に使ったことを報告書や資産公開書に記載してもいいかと、相談されたら」
 小沢「構わない」.
 質問者は平塚浩司裁判官に交代。「秘書からの年末の報告は」と聞かれた元代表は「細かい数字を聞いた覚えはない」と答えた。
 平塚「石川さんのノートに『先生に伺いを立てる』などの記載がある。留保をつけたものは」
 小沢「ないと思う」
 平塚「石川さんに4億円を渡したとき、事務所の金庫から取り出して数え、紙袋に入れたのか」
 小沢「金庫のものを彼に渡したのだろう」
 平塚「陸山会の代表と個人とは別人格。貸し借りの意識がないとの主張は理解できない」
 小沢「実体は同一。他の人との貸借契約と同じ意識はない」
 平塚「石川さんは融資の書類にサインをもらう際、『定期預金を担保に融資を受ける』と説明したと証言したが」
 小沢「なかった。絶対にないかと言われると否定する根拠はないが、覚えていない」
 平塚「池田さんが『利息がもったいない』と言われたと証言した」
 小沢「記憶にない」
 平塚「秘書が不相応なことをして損失を与えたり、不法なことをしたりして監督責任が問われる恐れは考えないのか」
 小沢「不祥事があれば自分の不徳。違法や不正.があれば私の責任」
 平塚「政治資金規正法は正確な報告書の提出を求めている。天下国家にまい進と言ったが、報告書を確認する責務は」
 小沢「ある。責任逃れではないが、目を通す議員はほとんどおらず、それでいいのかとお叱りを受けるならその通りだ」
最後に大善文男裁判長が尋ねた。
 大善「年末の各団体の運営報告の時間は」
 小沢「数分。トータルとして各団体でうまくいっているかどうか」
 大善「大久保(隆規元公設第一秘書)さんが会計にタッチしていない」
 小沢「実務は石川と池田だと認識していた」
 大善「報告書の宣誓書に会計責任者が署名するが、石川さんや池田さんが署名していた」
 小沢「決していいこととは思わないが、公正、正確な報告書なら、とがめない」
 質問は確認書に移る。
 大善「(不作成について)秘書を叱責(しっせき)したか」
 小沢「分かった時点で作成すれば意義がある」
 大善「陸山会の事件が報道されたとき、石川さんに説明を求めたか」
 小沢「やましいことはないと思い、石川も池田も呼んだことはない」
 大善「『政治状況を考慮して』土地登記をずらした秘書の行動は」
 小沢「彼らなりによかれと思ってやったこと」
 質問終了。弁護側は石川議員を取り調べた検察官が捜査報告書に虚偽記載したことなどを理由に公訴棄却を主張。
指定弁護士側は「公訴の効力に影響はない」と反論、午後5時半ごろ閉廷した。