2011年12月26日月曜日

あさぎり号






 特急あさぎりの運転区間を短縮
 JR東海は2012年3月17日のダイヤ改正に伴い、御殿場線の特急あさぎりの運転区間を小田急新宿ー沼津駅間から小田急新宿ー御殿場駅間に短縮。平日の運行本数を4往復から3往復に減らす。土日祝日は4往復のまま。同社が16日発表した。JR東海静岡支社は御殿場ー沼津駅間の利用者が少ないことや、平日と土日祝日の利用者数に差があることを理由に挙げた。

2011年12月23日金曜日

JR貨物駅移転問題知事発言で波紋

知事発言で賛否
 JR貨物駅移転 沼津、富士関係者に波紋
 JR沼津駅周辺鉄道高架事業で懸案の貨物駅移転問題。川勝平太知事が、沼津市原地区の予定地にとらわれず、富士市内への移転検討も示唆したことを受け22日、関係者の間に波紋が広がった。
 沼津市では推進、反対の双方の関係者が対照的な反応を見せた。
 「最優先してもらいたいのは高架の早期完成だ」。沼津駅の高架化を実現する市民の会会長の市川厚沼津商工会議所会頭は強い口調で事業の遅れを懸念。栗原裕康市長は「報道を見た伝聞の状況にすぎない」と複雑な表情を浮かべた。
 原地区への貨物駅移転に反対する市民グループは前向きな受け止め。住職の松下宗柏さんは「売却した地権著も含めた住民が原地区に貨物駅を望んでいない」と強調し、来年度に本格化する住民参加の協議(PI)でも、「積極的に主張する」と意気込んだ。
 一方、移転先として突如、浮上した富士市の鈴木尚市長は「知事から全く説明がないので驚いている。富士市への移転など誰も想像していなかった」と困惑した。生産縮小される日本製紙の工場の跡地利用策として知事が言及したことに、「どういった裏付けがあって発言しているのか」と疑問を呈した。
 県が6月に示した事業推進方針には、貨物駅について「近傍駅への統合など他の選択肢の議論を否定しない」とあり、森山誠二交通基盤部長は「知事の案は推進方針に基づく例示とも言え、PIのテーマになることは考えられる」と話した。
 JR貨物の広報室は「現在の駅の機能維持を前提に事業へ協力するスタンスは今後も変わらない」。現状で9㌔の移動距離が伸びれば、顧客などへの影響が懸念される。
(静新平成23年12月23日朝刊)

2011年12月22日木曜日

貨物移転先、富士も検討 知事、沼津駅高架問題で示唆

貨物移転先、富士も検討 知事、沼津駅高架問題で示唆(静新12/22 08:05)

 川勝平太知事は21日、JR沼津駅周辺の鉄道高架事業に伴う貨物駅移転問題について「貨物駅が沼津にあるかどうかではなく、ネットワーク(輸送網)として貨物が上手に動けばいい」と述べ、貨物駅移転先を現在の予定地に限定すべきでないとの姿勢を示した。
 沼津駅高架問題で、知事が沼津市原地区以外への貨物駅移転を検討する姿勢を示したのは初めて。住民参加の協議(PI)などに影響するのは必至だ。
 県議会会派による2012年度当初予算編成の要望活動で、JR貨物の小林正明社長との会談を明らかにし、終了後に記者の質問に答えて表明した。
 知事は予算要望の席上、日本製紙が富士市の工場を生産縮小した後の対策について問われた際に「実質的には(工場を)引き上げる形。地元住民も不安だ。一番近いのはJR貨物」と発言。日本製紙の工場跡地への貨物駅移転の可能性を探る考えも示唆した。小林社長との会談については「高架も貨物もうまくできる方法はないか協議した」などと述べた。

2011年12月16日金曜日

津波ハザードマップ作製


 津波ハザードマップ作製
 沼津市標高、避難ビル掲載

 沼津市は地区別津波ハザードマップを作製し、15日、対象地区への配布を始めた。「避難訓練対象地域」を新設して従来より広い地域に警鐘を鳴らすほか、避難行動をイメージしやすいよう、避難路の標高や避難ビルの位置などを掲載した。
 東日本大震災で津波に対する住民不安が高まったのを受けた緊急措置で、県が第4次被害想定を策定するまでの暫定版。江戸後期の安政東海地震(1854年)時に浸水が確認されたが、第3次被害想定では浸水域に該当しない地域を訓練対象地域に指定した。
 改良版は地点ごとの海抜表示や防潮堤、堤防高を示し、国の基準を満たした津波避難ビルは赤色で表した。東海地震で5~10㍍の津波到達が予測される市南部の避難路は、海抜20~30㍍以上に逃げられるルートを行き止まりのあるルートと分けて表示し、想定外の事態に備えられるよう配慮した。
 避難路の実態や国基準に適合した避難ビルを洗い出す現地調査の結果を反映させた。マップは全市版も作製し、来年3月に配布する予定。
(静新平成23年12月16日朝刊)

2011年11月23日水曜日

沼津市が津波対策で新プラン

沼津市が津波対策で新プラン
 避難対象2万世帯に
 沼津市は、緊急地震・津波対策アクションプランを策定し、22日、発表した。県が来年度、東海地震の第4次被害想定を策定するまでの暫定的な位置付けで、2年間で緊急性の高い対策に着手する。新たなハザードマップは、3次想定に基づく既存の浸水域に加え、安政東海地震(1854年)の浸水域を含む「避難訓練対象区域」を新設した。
 避難体制の強化に向けて市が警鐘を鳴らす地域を拡大したことで、訓練の対象世帯は1万4千世帯から2万世帯に増える。これまでは自治会の区域内を浸水域の境界線
が走っていたが、自治会単位で訓練に取り組めるよう、新設区域は安政地震の浸水域がある各自治会の全域とした。
 避難ビルは国のガイドラインに基づく条件で選定し、約200カ所を指定する。避難路は地元要望を踏まえて計177件設け、夜間の発生に備えて照明を設置する。新たな情報はハザードマップにまとめ、12月中旬に対象世帯に配布する。
 5100万円を追加する11月補正を含め、同市の本年度予算の関連経費は計8干万円になる。概算だと2年聞間で1億2千万円程度に上る見通し。
(静新平成23年11月23日朝刊)

2011年11月22日火曜日

四方一瀰さんが講演


茶の湯の伝来やもてなし心解説
 沼津で講演会

 沼津牧水会などは19日、文化講座「茶の湯と美意識」を沼津市若山牧水記念館で開いた。茶道裏千家淡交会沼津支部青年部顧問の四方一瀰さんが講演した。
 四方さんは千利休の茶道の聖典とされる「南方録」などの古典を題材に、茶の湯の伝来やもてなし心について解説。茶の湯を世界を代表する文化に高めた茶人たちの功績を紹介した。
 美意識については、「茶の湯は庶民の生活の中で広がった。自然体でありのままに茶を楽しみ、素直に『ありがたい』と思う気持ちこそが本来の美しさ」と述べた。
(静新平成23年11月22日朝刊)

2011年11月18日金曜日

愛鷹PA・スマートIC「地区協議会を設立」

愛鷹PA・スマートIC
「地区協議会を設立」
 沼津市など手続き開始へ
 東名高速愛鷹パーキングエリアへのスマートインター設置に向け、沼津市と中日本高速道路、国交省中部地方整備局、県などは17日、地区協議会を設立した。国の要綱にのっとった手続きの始まりに位置付けられる。
 市の実施計画書案などの説明によると、スマートICは上下線に設け2016年3月末の供用を予定している。整備により、片浜工業地域から同ICを経由すると、沼津ICに比べて御殿場方面で10分、富士市方面で14分短縮する▽同ICと国道1号を結ぶアクセス道路沿いの市立病院(第三次救急病院)への救急搬送時間は最大で富士市方面で6分短縮するーなどを示し、産業支援や救急搬送時の生存率向上など、効果見込みを挙げた。
 全体の費用15億円のうち市が5億円、中日本高速道路が10億円負担する見通し。
 会長に就任した栗原裕康市長は「沼津市の発展に不可欠で、防災力も強化される。新東名のスマートIC設置計画を実現するためにも、着実に進めたい」とあいさつした。
【◇愛鷹PA・スマートlC設置のスケジュール◇ 2011 地区協議会設立 実施計画書策定 連結許可 2012~スマートIC事業開始 2016.3 供用開始】
(静新平成23年11月18日朝刊)

2011年11月15日火曜日

高岡市(富山)と災害時協定


 高岡市(富山)と災害時協定
 沼津市職員派遣や必需品提供

 沼津市は14日、富山県高岡市と災害時の相互応援協定を結んだ。東日本大震災を受け、大規模な広域災害に対応するのが狙い。高岡市役所で開かれた締結式には沼津市から内村博隆企画部長が出席し、高橋正樹高岡市長と協定書を交わした。
 協定書によると災害時は職員を派遣するほか、食料や飲料といった生活必需品の供給、被災者の救出や医療活動に必要な車両や資機材を提供して協定市を支援する。相手市と連絡が取れない場合は自主的に情報収集し、職員派遣などの応援活動に着手する。
 両市とも海に面しているため、地域防災計画や津波対策など防災に関する情報交換も随時行う。沼津市は全国の特例市約40市で結ぶ支援協定のほか、単独で長野県上田市、埼玉県戸田市と締結していて、高岡市は3市目になる。
(静新平成23年11月15日朝刊)

2011年11月8日火曜日

 愛鷹にスマートICを

 愛鷹にスマートICを
 東名PA 4年後供用目指す
地区協議会設立へ
 東名高速道路の愛鷹パーキングエリアに自動料金収受システム(ETC)専用のスマートインターチェンジ設置を検討してきた沼津市は近く、NEXCO中日本、国、県などと国の整備要綱に基づく地区協議会を設立する。昨年始めた検討作業で採算性の最終確認ができたため。本年度中に国に許可申請し、4年後の供用開始を目指す。
 7日の市議会建設水道委員会に報告した。スマートインターは上下線に設け、市はゲート付近の導入路整備や、国道1号から市立病院前を経由する2・8㌔のアクセス道路改良を担当する。市建設企画室は、概略で全体事業費15億円のうち5億円が市負担になるとの見通しを示した。
 検討では2030年の同PAの交通量推計などをもとに利用料金などの収入をはじき、NEXCOが負担する維持管理費を上回ることを確認した。本年度中に実施計画書を作成し、国に連結許可を申請する。
 市は新東名の駿河湾沼津サービスエリアでも同様の検討をしている。国の事業枠200カ所分のうち77カ所ですでに供用開始や計画着手中になったため、東名愛鷹PAの計画に先行着手する。
(静新平成23年11月8日朝刊)

2011年9月26日月曜日

陸山会事件:小沢元代表の元秘書3人に有罪判決

陸山会事件:小沢元代表の元秘書3人に有罪判決
 小沢一郎・民主党元代表の資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡り、元秘書3人が政治資金規正法違反(虚偽記載)に問われた事件で、東京地裁(登石郁朗裁判長)は26日、元同会事務担当者の衆院議員、石川知裕被告(38)に禁錮2年、執行猶予3年(求刑・禁錮2年)を言い渡した。後任の事務担当者、池田光智被告(34)は禁錮1年、執行猶予3年(同・禁錮1年)、中堅ゼネコン「西松建設」からの違法献金事件でも併せて起訴された元公設第1秘書、大久保隆規被告(50)は禁錮3年、執行猶予5年(同・禁錮3年6月)とした。

 ◇水谷建設からの裏献金認定
 判決は、小沢事務所の会計処理について違法性を認定。「合理的説明なく4億円の存在を隠そうとした」と述べた。水谷建設からの1億円の裏献金についても検察側主張を認めた。全面否認していた元秘書3人がいずれも有罪とされたことで、同事件で強制起訴され10月6日に初公判を迎える小沢元代表には厳しい情勢となった。

 公判で検察側は、小沢元代表からの4億円を政治資金収支報告書に記載しなかったことについて「多額の資金の流れを隠す悪質な犯行」と指摘。この4億円を隠蔽(いんぺい)するため、土地購入日に受けた同額の銀行融資を記載した上、同時期に複数の関連政治団体から多額の入金をしたり、土地登記を翌年にずらすなどの偽装工作もあったと主張した。

 これに対し、石川被告は報告書の借入金欄に「小澤一郎 4億円」とあることを根拠に、正しく記載したと反論。銀行融資は同額の陸山会の定期預金を担保にしており、実質的に使える資金に増減がないことなどから「計8億円の借り入れとなると実態に反すると思い、融資は載せなかった」と釈明した。一方、池田被告は「元代表の4億円は一時的な預かり金で、返済の際も載せる必要はなかった」と食い違う説明をしたうえで、違法の認識がなかったとした。

 会計責任者だった大久保被告は「名目上の責任者に過ぎなかった」として他の2人との共謀を否定。計約3500万円の違法な企業献金を受領したなどとされる西松建設事件でも「企業献金ではなく政治団体からの許容される献金と認識していた」と無罪を主張。

 検察側は、虚偽記載に至った背景として、土地購入前後に中堅ゼネコン「水谷建設」から計1億円の裏献金が石川、大久保両被告に渡ったと主張したが、2人は全面否認。地裁は6月、「取り調べに問題があり任意性がない」として、石川、池田両被告が大久保被告や小沢元代表に4億円を記載しないことを報告して了承を得たとする供述調書などを却下した。【野口由紀、山田奈緒】

 【ことば】陸山会事件

 民主党の小沢一郎元代表の資金管理団体「陸山会」が04年、元代表の手持ち資金4億円を土地購入の原資に充てながら同年の政治資金収支報告書に記載せず、05年にずらして土地購入を記載し、07年に4億円を元代表に返済しながら記載しなかったなどとされる事件。東京地検特捜部は石川知裕衆院議員ら元秘書3人を政治資金規正法違反(虚偽記載)で起訴し、元代表は容疑不十分で不起訴とした。だが、東京第5検察審査会は3人との共謀があったとして「起訴すべきだ」と2度議決し、検察官役の指定弁護士が今年1月、同法違反で元代表を強制起訴した。


毎日新聞 2011年9月26日 13時35分(最終更新 9月26日 16時18分)

2011年9月17日土曜日

県が産廃撤去措置命令

愛鷹山麓不法投棄 沼津の業者元社長らに 県が産廃撤去措置命令
 沼津市の愛鷹山麓に約23万立方㍍の産業廃棄物が不法投棄されたままになっている問題で、県は16日、2000年1月~04年11月ごろにこの廃棄物を埋め立でたスルガ産業(沼津市西野、05年に破産)の庄司スエ子元社長(63)=同市=ら4人に対し、廃棄物処理法に基づく措置命令を出した。
撤去方法や工程などを記載した計画書を作成し、10月17日までに提出するよう命じた。撤去の着手期限は11月16日、完了は廃棄物の量を勘案して16年11月16日と定めた。廃棄物の量から、撤去費用は約100億円に上るとみられる。
 命令に応じない場合、周辺環境に支障があると判断されれば県による行政代執行も有り得るという。撤去費用は全額、庄司元社長らに請求する。
 県は04年12月、庄司元社長が廃棄物処理法違反で起訴されたことを受けて産廃処理の事業許可を取り消した。庄司元社長が08年に出所した後も約2年半にわたり撤去を要請してきたが、「費用が工面できない」などとして行動に移さないため、措置命令に踏み切った。
【静新平成23年9月17日(土)朝刊】

2011年9月8日木曜日

県内襲った「千年に一度」の大津波


「標高10㍍超地点に到達」
 県内襲った「千年に一度」の大津波
 1498年 明応地震

 東大准教授 古文書を基に推計
 県内に大きな被害をもたらしたとされる1498年の明応地震で、伊豆西海岸や県西部では標高10㍍以上の地点まで津波が到達したとみられることが7日までに、東京大地震研究所の都司嘉宣准教授らによる古文書や伝承の調査で分かった。安政東海地震(1854年)の津波と比べ数倍の高さだった可能性が高く、都司准教授は「県の防災対策を見直す必要がある」と指摘している。
 研究成果は10月12日から15日まで静岡市で開かれる日本地震学会の大会で「明応7年東海地震津波」と題して発表する。中には標高36・4㍍の地点まで津波が達したとされる地域もあり、今後、検証を進める方針。
 調査によると、古文書の記述や伝承に基づいて現地を測量した結果津波が到達した地点の高さは沼津市の江梨地区で10・9㍍、伊豆市小土肥で18㍍、同市八木沢で22㍍、西伊豆町の大田子地区で10㍍、同町の寺川地区で9・7㍍、磐田市掛塚で10㍍、焼津市三ケ名で6・3㍍と推計された。
 沼津市戸田は「平目平」と呼ばれる場所を津波が襲ったとの言い伝えがあり、同所を特定して測量したところ、標高は36・4
㍍だった。この数字について都司准教授は「古文書にしっかりと書かれているわけではない」とデータの信用性確保のためには精査が必要としながらも「東日本大震災の津波を考えると、これだけの高さでもおかしいとは言えない」と語る。
 明応地震では「千年に一度」の規模の津波が県内各地を襲ったとみられる。都司准教授は「県の防災対策は百年に一度の津波に対する備えと千年に一度発生する津波への備えの二段構えで考えるべき」と訴えた。
【静新平成23年9月8日(木)朝刊】

2011年7月12日火曜日

川勝知事が市長と会談

 川勝知事が市長と会談
 沼津駅高架化 貨物駅分離検討を
 PIの方針説明
 川勝平太知事と栗原裕康沼津市長は11日、県庁で会談し、県有識者会議の検証結果を踏まえてJR沼津駅周辺の鉄道高架事業を推進する方針を再確認した。県が着手する住民の合意形成に向けた議論「パブリックインボルブメント(PI)」の場でも、この方針を前提とする。ただ、焦点になっている沼津貨物駅の移転先(同市原地区)をめぐる議論は川勝知事が「不十分。貨物駅のあり方は、中心部で高架を進めるのと別に考えるべき」と述べ、現計画や近傍駅との統合、駅そのものの必要性など多角的にPIで議論する意向を示した。
 川勝知事は「地域活性に資するから高架を進めるスタンスは一貫してぶれない」と強調。PIについては「新東名や東駿河湾環状道路からの道路延伸、防災機能を高める沼川放水路などを含めた地域構想の中で、原地区の物流拠点の可能性を議論したい」とする栗原市長の見解に同意した。
 沼津貨物駅の移転問題について川勝知事は「誰が見ても明らかな必要性は数値上で見えない」と指摘。有識者会議は原地区を選んだが、市内での比較にとどまったため「深い議論がされていない」とし、今後の議論の余地を見込んだ。県が示す近傍駅とは富士市内になるとみられる。
 PIの内容をめぐっては反対派が「高架事業自体を見直す場になる」と主張し、栗原市長が「混乱を避けるために知事の口から県方針を説明してほしい」と面会を申し入れた。県は8月、地元説明会のほか同月23日に市内で広聴会を開く。PI委員は秋頃決める。
【静新平成23年7月12日(火)号】

2011年6月18日土曜日

沼津駅鉄道高架事業

 対話重視も先行き不透明
 沼津駅鉄道高架事業
 知事、合意形成に意欲
 ゼロベースの検証の末に「関係者間の合意形成に努力せよ」との"注文"付きで現計画が支持された沼津駅周辺鉄道高架事業。県の有識者会議が17日、事業を「妥当」とする検討結果報告書を提出し節目を迎えた。焦点の貨物駅移転問題について川勝平太知事は未買収用地の「強制収用はしない」と明言。対話による合意形成に活路を見いだす構え。だが地権者ら反対派の説得に展望はなく、事業の行方は依然不透明なままだ。
 報告書をまとめた有識者会議の森地茂座長との会談。川勝知事は、提言された市民参加型計画策定手法パブリックインボルブメント(PI)方式について「強制収用という乱暴なことはしない。徹底的に意見を突き合わせ、合意してまちづくりに入るのが望ましい」と述べ、わが意を得たりの表情だった。
 ただ、有識者会議はPIに過大な時間をかけることが社会的損失につながるとくぎを刺す。知事は、再来年7月までの任期を目安に方向性をまとめる意向を示し、「今までと違うスピード感を持って進める」と述べた。
 反対派は態度を変える兆しはない。森地座長は「PIは現案を押しつける場ではない」と説明し、さまざまな立場の関係者が意見を交わし、事業を形作っていくことに期待を寄せた。
 県は関係者に報告書の内容の周知を図り、PIの具体的方法の検討に入る。高架事業に賛成、反対のそれぞれの立場の住民に再び、同じテーブルに着いてもらうだけの議論の土俵をつくることができるのかが、当面の課題となる。

 PI手法に不安も地元
 県有識者会議の報告書を受け取った川勝平太知事が「対話の継続」を打ち出した17日、鉄道高架事業の現場である沼津市では、反対、推進の双方が、まだ見えない「次の展開」への関心を寄せた。
 会議の委員に公開質問状を送るなどしていた地権者ら反対派は、知事が「強制収用はしない」とあらためて言及したことに「良かった」と一様に安心した様子。知事が開催意向を示した意見交換会に参加する意欲を見せた。
 しかしPI手法については「事業の白紙撤回も視野に入れる場なのか、現計画にただ納得してくださいというだけのものか、よく分からない」と指摘。グループは市役所で会見し、報告書で示された地域振興の有効性や費用対効果を頁っ向から否定した。貨物駅の「原地区移転」に対する反対姿勢も、以前と変わらない。
 PI手法は構想段階から市民意見を導入する手法で、都市計画決定された事業での導入事例は全国的に異例とされる。
 沼津市の栗原裕康市長は「知事が結果を『尊重する』ということは頼もしい。今後も推進に努力する」とし、「事業が防災面や地域の発展にいかに有益か、市民が具体的に描いた上で結論を導けるようなPIの場にしてほしい」と願った。
 市議会鉄道高架事業推進特別委の浅原和美委員長は「市民の多くが待ち望んでいる。一日も早い実現に期待する」と話した。
 【県有識者会議最終報告書骨子】
 ▼事業は沼津市都心部が抱える交通環境や市街地分断の問題を抜本的に解消
 ▼費用便益分析でも、社会経済的に合理性を有する
 ▼事業の合意形成に市民が参画するPI(パブリックインボルブメント)を導入すべき
 ▼沼津貨物駅の移転先は原地区とする現計画が妥当
 ▼規模縮小や近隣駅との統合はさまざまな問題が生じる。しかし、可能性についての議論は否定しない
(静新平成23年6月18日朝刊)

2011年5月19日木曜日

各委員会構成議員決まる

 各委員会正副委員長決まる
 市議会臨時会の人事
 市議会臨時会は十七日、正副議長選挙の後、四常任委員会、一般と特別・企業の両予算決算委員会などを開き、正副委員長を互選によって選出した。
 委員構成は次の通り(◎は委員長、○は副委員長)。
 ▽総務経済委員会=◎渡部一二実、○梶泰久、岩崎英亮、加藤元章、江本浩二、山崎勝子、真野彰一
 ▽文教消防委員会=◎頼重秀一、○深田昇、渡邉博夫、植松恭一、梅沢弘、深瀬勝、城内務
 ▽民生病院委員会=◎二村祥一、○加藤明子、片岡章一、原信也、殿岡修、伊藤正彦、浅原和美
 ▽建設水道委員会=◎高橋達也、○長田吉信、山下富美子、水口淳、千野慎一郎、川口三男、鈴木秀郷
 ▽一般会計予算決算委員会=◎加藤元章、○水口淳、片岡章一、加藤明子、梶泰久、山下富美子、頼重秀一、二村祥一、梅沢弘、千野慎一郎、伊藤正彦、山崎勝子、深瀬勝、鈴木秀郷
 ▽特別会計企業会計予算決算委員会=◎浅原和美、○植松恭一、渡邉博夫、長田吉信、深田昇、原信也、殿岡修、岩崎英亮、高橋達也、渡部一二実、江本浩二、川口三男、真野彰一、城内務
 ▽議会運営委員会u◎真野彰一、○岩崎英亮、長田吉信、殿岡修、二村祥一、浅原和美、鈴木秀郷
 ▽沼津駅鉄道高架事業推進特別委員会=◎浅原和美、○伊藤正彦、片岡章一、原信也、岩崎英亮、植松恭一、高橋達也、頼重秀一、渡部一二実
(沼朝平成23年5月19日号)

2011年5月18日水曜日

正副議長・委員会正副決まる

 沼津市議会
 議長城内氏 副議長深瀬氏
 沼津市議会は17日、臨時会を開き、議長に城内務氏(55)=公明=、副議長に深瀬勝氏(66)=志政会=を選出した。
 【城内務氏(じょうない・つとむ)政党役員、元沼津駅鉄道高架事業推進特別委員長、元市監査委員、当6、原町中】
 【深瀬勝氏(ふかせ・まさる)元文教消防委員長、元市振興公社評議員、当3、西間門】

 委員会構成決まる
 沼津市議会は17日、臨時会を開き、常任委員会の構成を決めた。議員発議により、沼津駅鉄道高架事業推進特別委員会も設置を決めた。
 各常任委員会と議会運営委員会の正副委員長は次の通り(正副の順)。
 【総務経済】渡部一二実、梶泰久【文教消防】頼重秀一、深田昇【民生病院】二村祥一、加藤明子【建設水道】高橋達也、長田吉信【議会運営】真野彰一、岩崎英亮【一般会計予算決算委員会】加藤元章、水口淳【特別会計企業会計】浅原和美、植松恭一【沼津駅鉄道高架事業推進特別委員会】浅原和美、伊藤正彦
(静新平成23年5月18日朝刊)

2011年5月17日火曜日

沼津市議会臨時会

 きょうから市議会臨時会
 まず正副議長選など人事案件
 市は、市議会臨時会を、きょう十七日に招集する。議会閉会中に市長が行った専決処分の報告や承認、一般会計補正予算案など七議案が上程される。
 会期は二十三日までの一週間が予定されているが、この臨時会では議案審査に先立ち、正副議長の選挙、議会運営委員会と常任委員会の委員選任、及び各委員会正副委員長の互選が行われる。
 予定される日程は次の通り。開会は一部を除き午前+時。
 17日本会議(開会、仮議席の指定、議長の選挙、議席の指定、会期の決定、副議長の選挙、議運委員の選任)
 委員会(議運ー正副委員長の互選)
 本会議(常任委員の選任)
 委員会(総務経済、文教消防、民生病院、建設水道、一般会計予算決算、特別会計企業会計予算決算ー正副委員長の互選)
 本会議(伊豆市沼津市衛生施設組合議員の選挙、議案説明)
 18日 太会議(議案質疑、委員会付託)
 委員会(民生病院、総務経済)、
 19日 休会(議事整理のため)
 20日委員会(一般会計予算決算、午後一時から特別会計企業会計予算決算)
 21、22日 休会.(休日)
 23日 本会議(委員長報告、質疑、討論、採沃、閉会)
(沼朝平成23年5月17日号)

2011年5月10日火曜日

沼津市議会 7会派構成決まる

沼津市議会 7会派構成決まる
 沼津市議会(定数28)の改選後の会派構成が9日、決まった。会派数は改選前と変わらず7会派。
 最大会派「志政会」は新人、元職が加わり7人となった。第2会派は新人3人が加わり6人で成る「市民クラブ」。「新政会」「未来の風」はそれぞれ4人。改選前の「エリア・罠」は自民党籍を持つ2人が「自民沼津」を新たに作った。公明党3人、日本共産党沼津市議団2人。
 同市議会は今月中に臨時会を開き、正副議長を選出する。
 会派構成は次の通り(○は代表者)。
 【志政会】○浅原和美、加藤明子、加藤元章、高橋逮也、深瀬勝、真野彰一、頼重秀一
 【市民クラブ】○鈴木秀郷、梶泰久、原信也、深田昇、二村祥一、渡部一二実
 【新政会】○岩崎英亮、伊藤正彦、千野慎一郎、渡辺博夫
 【未来の風】○殿岡修、梅沢弘、江本浩二、山下富美子
 【公明党】○城内務、長田吉信、片岡章一
 【自民沼津】○水口淳、植松恭一
 【日本共産党沼津市議団】○川口三男、山崎勝子
(静新平成23年5月10日朝刊)

2011年4月30日土曜日

投票率最低の沼津市議選

投票率「最低」の沼津市議選
 議会の職責"見える化"を
 24日に投開票された沼津市議選の投票率は45・49%で過去最低になった、首長選や議員選挙が行われた14市町の中でも最低で、統一地方選前半戦に実施された県議
選でのワースト2位からの汚名返上どころかさらに悪い結果になった。定数削減により議員1人あたりが負託を受ける市民の数は6千人から7300人に膨らんだ。個々が向き合うべき民意の数が、少なくとも2割増えたとも言える。議会基本条例などで行政監視や政策立案など議会が果たすべき機能を明確にし、仕事ぶりが市民に伝わる仕組みを作るべきだ。
 「定数32」の想定で候補者の多くが事務所開きを終えた3月中旬、議員定数が28に変更された。当確ラインが上がり、落選者も増える。激戦になり投票率も上がるだろうーと予想した。しかし、ふたを開けてみれば投票率は県内で唯一50%を割り込み、東京都の区長選や区議選並みだった。西浦や戸田など南部が高く、人口が集中する中心部以北の新興住宅地を中心に低調だった。
 「自粛ムードの影響」ということだけなのだろうか。現職市議の有志は今回、特定の時間帯で選挙カーでの放送を控えるなど活動を一部自粛した。名前を叫び続けるような手法が有権者の判断材料として適切とは思えず、取り組みは歓迎できる。むしろ気になるのは、その程度の自粛で投票率が過去最低になるほどの日ごろの関心の低さだ。
 市議会を取材して2年になるが、委員会では、委員の質問や当局の回答を別の委員が遮って明確な結論が得られないまま終了することもあった。傍聴した市民が「まだ議論が途中じゃないか」とこぼす姿もたびたび目にしたし、同感だった。たとえ一部であっても、この状況が続けば議会不信は加速するばかりだ。
 県内最大級の津波が予想される地域だけに防災対策の再検証も求められるし、県の有識者会議が夏ごろ結論を出す鉄道高架をはじめ、キラメッセぬまづの後継施設が沼津駅北にオープンするなど、駅周辺の整備事業も今期、重大な局面を迎える。
 当選した28人には、市民の関心を高める論戦と、輪が広がるような市民参画型の政治活動に期待している。結果として、次の市議選で一人でも多くの市民の審判を受けることを願う。(東部総局・大須賀伸江)
(静新平成23年4月30日「湧水」)

2011年4月29日金曜日

市議選を振り返る:沼朝記事

 市議選を振り返る…上
 今後の四年間を託す新しい市議会議員二十八人(別掲写真。左へ得票順)が決まった。現職二十二人、元職二人、新人十二人の合わせて三十六人が立候補して争われた今回選では、現職三人が涙をのみ、新人五人が及ばなかった。元職二人は、いずれも高位で当選した。この選挙を幾つかの視点から振り返ってみる。(文中、一部を除き敬称略)
 定数削減今回選は定数が二十八に減員された中で行われた。昨年六月の市議会定例会では、三十四だった定数を二減員し三十二とすることが決まったが、これを不服として削減を求める自治会連合会執行部と、これに同調する市議の巻き返しによって、今年二月の定例会で、さらに四減員とすることになったもの。このため、三十二の予定で立候補の準備を進めていた、とりわけ有権者に名前が浸透していない新人は厳しい条件を突き付けられた。
 定数二十八を決めた市議会本会議は、滝口文昭氏が今年一月に死去したことに伴い三十三人によって開かれた。また、議長の山崎篤は直ちには採決に加わらない(賛否同数の場合は別)ので、議場で採決できるのは三十二人。この時、議員発議によって上程された「二十八案」(減員のための条例改正案)に対して、それまで反対の意思を見せていたのが十七人、賛成の立場にあったのが十五人。このまま、すんなりいくかと思われていた。
 しかし採決を前に、県議会議員選挙への出馬を表明していた曳田卓(その後、民主党公認で県議当選)が辞職。曳田は「定数二十八」には反対の立場だったので、「二十八案」反対が十六人、賛成が十五人となった。
 この曳田の辞職について事情を知る関係者は、有権者の意識を考慮して県議選でマイナス材料となるような混乱を避けたいという支援組織の意向があったようだ、という。
 それなら、みんなの党公認で県議選出馬を表明していた井口哲男にとっても事情は同じはずで、仮に井口が市議を辞職して採決が行われた場合、井口も、それまで「二十八案」反対派の一員だったので、賛否が十五の同数となり、「二十八案」賛成の議長の一票によって、条例改正案は採択されていた。
 が、井口は辞職しなかった。採決に加わり、しかも起立採決で「二十八案」賛成に回った。「ルビコン川を渡った」(※)のだ。
 これについて井口は、議員の削減を掲げている党の方針に沿ったもの、だと説明している。
 しかし、井口に対しても曳田と同様、採決に加わらなくてもいいような判断が求められていた、とする周囲の指摘もある。もしそうなら、なぜ、そうしなかったのか。 定数削減を主張する自治会連合会執行部の意に沿うことで県議選を有利に導こうとする判断があったのではないか、との見方もあるが、そうだとすると、県議選の結果からは淡い期待に終わったことになる。県議選では六、○○○票にも届かない得票で惨敗を喫した。
 井口の賛成は、「二十八案」賛成側の巻き返しによって直前に決まったようで、賛成派の中でも採択されるまで知らなかったのか、驚きを隠せなかった議員もいた。
 この一人の決断が、市議選の当落に大きく影を落とす。
 今回選で次点の清水賢嗣は二年半前の市議補欠選挙に立候補し、三十七票という僅差で落選。今回、雪辱を期して臨んだが、最下位当選の深瀬勝(一、七一〇票)に六十二票と、ここでも僅かな差で及ばなかった。
 清水が出馬表明した当時、市議定数は三十二。得票一、六四八票で二十九位の清水には定数二十八が大きな壁として立ちはだかった。定数削減は有為な新人に活躍の場を与えなかったことになるのか。
 さらに皮肉な結果をもたらしたのが持田紀与美。みんなの党公認で出馬し、下馬評にも高いものがあったが、一、五一二票で三十一位。同じ党の井口が投じた一票が当選を阻むことに。ただ下馬評の高さから、井口には「持田は大丈夫」だという判断があったようだ。
 ※ルビコン川は古代ローマで、ローマ世界と外界との境界の川。大きな川ではないが、軍隊を率いてローマ側に渡ることは元老院に謀反を起こすことを意味していた。ガリア地方(主として現在のフランス)に出征していたカエサル(ジュリアス・シーザー)が軍隊を連れて渡った故事から、既成の概念を打ち破るような重大な決断をする時に使われる。
 自治会定数削減とからんで特徴付けられたのが自治会の動き。自治会連合会執行部が市議会議員定数削減という目的を成し遂げたことから、これを受け、削減に反対した議員に対する風当たりが強まる地域もあった。
 愛鷹地区では、削減に賛成した渡部一二実と反対の立場の江本浩二が、共に二期目を目指した。前回選で、清水町に住んでいた富士通社員の渡部は出馬に備えて富士通大岡ハイツに住所を移して立候補。一、八八五票を獲得し立候補者四十七人中の二十五位で当選した。
 今回選では東原に居を構え、地元の支援を受けることになり優勢が伝えられた。中には渡部を推す回覧を回した地域もあった。
 一方、東椎路に住み根っからの愛鷹育ちで、消防団など地元の活動にも取り組んできた江本。前回は二、七六三票で三位当選を果たしたが、今回選は、こうした地元の動きに危機感を募らせた。
 結果は、江本が前回から四六八票減らしたものの二、二九五票を得て十五位。地元が推した渡部は、二、一一二票で前回から二二七票上積みしたが、江本に一八三票及ばず、愛鷹地区での勝負は江本に軍配が上がった。
 大岡地区でも二期目を目指した高橋達也と山下富美子。削減賛成の高橋と、反対の山下という受け止め方の中、山下は告示を前に後援会活動から不利を強いられた。
 この二人は大岡でも、下石田の高橋、日吉の山下と、大岡南部が主地盤。高橋は前回選に初めて立候補したが、一、二七五票で落選。二年半前の補選で再度挑戦し、当選を果たした。
 今回選で、高橋は二、七八五票と前回の本選を倍以上上回る得票で七位当選したが、女性を中心に支援の輪を広げた山下も前回から六七七票伸ばし、二、七一一票で前回の二十位から八位へ順位を上げた。(以下、次号)
(沼朝平成23年4月27日号)



 市議選を振り返る…中
 幾つかの視点から市議選を振り返る二回目。厳しい状況が見込まれながらも前回から票を伸ばした現職や、震災をきっかけに、これまでにない苦戦が伝えられた現職など、さまざまな条件の中で各候補は支援を訴えた。(文中、一部を除き敬称略)
 地元の代表「地元の○○です」。選挙力ーから流れる声。市議会議員は市民の代表であって、決して地域の代表ではないはずだが、地元から議員が出ているのと、そうでないのとは違うものなのか。
 二期目に挑んだ多比の植松恭一は、市議定数「二十八案」には反対。自治会組織の支援を受ける立場にはなかった。ただ植松の場合は、議員削減に反対、二十八もだめ、というのではなく、段階的な削減を主張。前回選挙の定数三十四から六減員という急激な削減に対しての異議だった。静浦地区は、これまで小池政太郎、渡辺新作両氏、川口末吉氏らを県議会、市議会に送り出してきた。四年前の統一地方選では、県議二期目を目指して当選した植松明義氏がいて、市議会へは植松(恭)が初出馬、共産党の渡辺教二も出て当選した。
 渡辺は今回も出馬に向けて準備を進めていたが、定数二十八が決まったことから党の調整により断念。また、出馬に意欲を見せる新人の名前も挙がったものの実現には至らず、県議選では植松(明)氏が引退したため、今回の統一地方選では植松(恭)一人だけの立候補となった。
 このため、植松(恭)が当選できなければ、静浦地区は議員空白地域になってしまう。そうした意識が有権者に働いたことは否定できない。
 さらに、植松(恭)が兄とも、政治の世界における父親とも慕った滝口文昭氏(一月に死去)。日大の先輩、後輩でもあり、自民党公認で出馬する植松(恭)と、長年、自民党支部役員などとして活動した滝口氏との関係もあった。
 結局、植松(恭)は二、九一七票を獲得。一、八五四票で二十六位だった前回(定数三十四で立候補者四十七人)から一、〇六三票という大量の上積みをし、二期目を四位当選で果たした。
 戸田地区の水口淳は植松(恭)同様、自民党公認で、三期目への挑戦。前回選では一、五七〇票で三十三位と、薄氷を踏む思いでの当選。同地区では前回、二人が立候補したが、今回は水口一人。一見、有利なように思えるが、そうでもない事情があった。
 一つは、合併時の沼津派、田方派のあつれきが今なお残っているという指摘。もう一つは、沼津市合併後の市議会議員選挙では当然、旧沼津市の立候補者も戸田票の獲得に動くが、田上博氏が現職時代に浸透を図り、今回の引退に際しては自分の影響力を他地区の現職に引き継いだという話。
 ほかにも同地区に支援の輪を拡大しようという動きはあったから、限られた地域での票だけでは水口の当選は及ばない。しかし、ここでも、水口がいなくなれば戸田地区からの議員はゼロという状況で、戸田唯一の候補者という意識は有権者に働いたかもしれない。
 今回選で水口は、一、九七六票を獲得。前回から四〇六票伸ばし、二十一位での当選を果たした。
 大平地区には、やや複雑な事情があった。議長も務め七期目への挑戦となり、田上氏引退の後、当選すれば最古参となる鈴木秀郷。同地区からの出馬は名目上は一人だけだったが、市職員を辞して初出馬の原信也が現在は第一地区に住むものの出身は大平。当然、地元への影響は必至の上、共に連合系の候補者ということも鈴木にとっては憂慮の種となった。それでも三月十一日までは、教員出身で同じ連合系、二期目への挑戦で不利が伝えられた二村祥一に票を回そうか、などと余裕がなかったわけでもないが、三・一一で一変。福島原発事故が、東京電力出身(昨年退職)の鈴木にとっては原の出馬以上に危機感を募らせることになった。
 このため、地元の引き締めに躍起となったようだが、二、二四七票の得票は、前同から三二四票減り、順位は五位から十七位へ。厳しい環境が反映されたようだ。
 返り咲き今同選では二人の元職が返り咲きを果たした。一人は三、五四〇票でトップ当選を果たした加藤元章。もう一人は二、六三一票で九位の川口二男。
 加藤は三期目。二年半前、二期目の途中で市長選に出て落選した後、捨て犬の保護やセラピードッグ普及などの市民活動に携わり、フットワークの良さで各方面へ、きめ細かい浸透を図った。市長選も含めた過去三回の選挙を通じての知名度も手伝って、前回から一、三三一票上積みした。
 川口は五期を務め、四年前の統一地方選では県議への転身を図り、善戦したものの果たせず、二年半前の市長選の際、加藤の辞職を受けて同時に行われた市議補欠選挙に立候補したが、返り咲きはならなかった。
 原地区が主地盤の川口は、地元を固めるとともに、共産党ながら保守層からの信頼もあって、これまでも安定した得票を見せてきたが、今回も同様、危なげない闘いで通算六期目を果たした。(以下、次号)
(沼朝平成23年4月28日号)

 市議選を振り返る…下
 幾つかの視点から市議選を振り返る三回目。最終回の今回は、地域の争い、組織票の行方について取り上げた。(文中、一部を除き敬称略)
 地域の争い 愛鷹、大岡、片浜、第三、第五・開北、原など各地区で複数候補がしのぎをけずった。愛鷹と大岡については「自治会」の項で記述したが、ここでは候補者の相関的な面から見て第一と浮島地区を取り上げた。
 第一地区では二期目に挑んだ梅沢弘と、いずれも新人の原信也、持田紀与美、小林幸夫が争い、梅沢と原が当選した。
 梅沢は前回、鉄道高架反対を表明して立候補。この時、同地区からは、副議長(当時)の服部博義氏と、いずれも今期で引退した井口八千喜、和久田光一の両氏が出馬。和久田氏による地元票の取り込みもあったろうが、軸足は出身の東芝機械労組で、ほかの三人とは立ち位置を異にする点があった。
 この選挙で梅沢は三人の現職に挑戦する立場。がむしゃらに挑んだ結果、定数三十四に四十七人が立った中で一、六三〇票を獲得し、三十位での当選を果たしている。
 これに対して今回選は定数二十八となり前回並みの得票では及ばない。しかも今度は新人三人に挑まれる守勢の立場。地元だけでなく、他地区からの候補者も浸透を図り、とりわけ新人で開北地区を主地盤とする加藤明子が井口氏の後継などと言われ、梅沢は危機感を募らせる中、高校の同級生らが本人以上に熱を帯びて盛り立て、一、七三九票を獲得。前回から一〇九票上積みし、二十七位に滑り込んだ。一方、原は第一地区の住民活動参加や出身の大平地区での活動経験がある一方、市職員出身で労組票などを当て込み、二、二八七票で十六位当選を果たした。
 浮島地区では、三期目に挑戦の伊山昭と新人の清水賢嗣が立ったが、結果は共倒れ。清水については「定数削減」の項で記述したが、一、六四八一票を得たものの二年半前の市議補欠選挙に続いて次点に泣いた。
 伊山は一、五一〇票で三十二位。新人だけでなく定数削減に阻まれる現職の一人となった。伊山は前回選では二、○〇六票で二十二位。ここから四九六票減らすこととなったが、清水の出馬が響いたか。
 今回選における浮島地区二カ所の投票所(東井出集落センター、浮島地区センター。いずれも投票率は55%を超えた)の投票総数は二、三六一票。二人当選できるだけの票数はなく、今後、地元からの複数当選には、同地区以外への可能な限りの支援拡大が課題となっている。
 組織票労組を母体としたのが、初挑戦の深田昇(明電舎)、梶泰久(東芝機械)、渡部一二実(富士通)。このうち西間門に住む梶の場合は、同じ地元に三期目を目指した深瀬勝がいるため、地元への浸透には遠慮していたが、それでも影響は避けられなかったか、深瀬は前回の二、〇九六票から一、七一〇票へ三八六票減らし、順位も十七位から二十八位へ。定数削減派としては、辛うじてとどまる形となった。
 これに対して、梶は二、三六〇票、十二位、深田は、さらに上を行く二、九一四票、五位という高位当選を果たし、労組出身者の手堅さを見せた。渡部は地元愛鷹地区の大きな支援も受けた中で二、一一二票、十八位での当選だった。
 一方、政党と、その支援組織による闘いを進めるのが公明党と共産党。公明党は、これまでの四議席から一人候補者を減らして三人立候補という万全の態勢で臨んだ。同党は創価学会の支援を受けるものの、統一地方選前半の県議会議員選挙に、まず全力投球するため、市議選で表立った活動に入るのは、その後。それでも、組織をきっちり動かし、地域割による各候補者への票の割り振りも遺漏はない。
 もともと四人、あるいは五人でも当選させられるだけの堅い票があるが、今回選での同党の得票は、前回から一、八九九票減らして八、九八二票。背景には候補者の交代や、組織周辺の支持者の投票率の低下もあるだろうが、それでも三人の当選に問題はなく、初出馬の長田吉信が三、二五〇票で二位、六期目の城内務が二、九二七票で三位、初挑戦の片岡章一が二、八〇五票で六位と高位で当選した。
 これに対して共産党は、定数が二十八になったため、予定していた四人の立候補をやめ三人に絞り込んだが、三期目を目指した齊藤孝一が涙をのんだ。同党は、四人を立てた前回選で一人落選したが、四人で六、一九二票。今回も二五〇票減らしはしたものの、五、九四二票があり、票の割り振りが調整できれば三人当選も可能だったが、果たせなかった。
 三候補のうち、二、六〇〇票を超えた川口三男に対して、齊藤は一、五五三票。三十位で定数二十八の壁に阻まれた。(おわり)
(沼朝平成23年4月29日号)

2011年4月25日月曜日

戦いの軌跡

戦いの軌跡 野党会派が議席増
 定数28に対して36人が出馬した沼津市議選は現職が強みを発揮し、22人中19人が再選を果たした。労組や党組織の支援を受けた新人が軒並み上位に並んだのも目立った。前回選で台頭した鉄道高架見直しを主張する会派や共産党が議席を減らした一方、選挙前に野党に転落していた会派グループが新人を含めて議席を伸ばし、議会内の勢力図への影響は必至とみられる。
 市議選では過去最低の投票率の中、元職の加藤元章氏がトップで返り咲きを果たした。公明は3氏全員が6位以内に入り組織票の固さを見せた。自民票の受け皿になった植松恭一氏、補選の当選を経て危機感を持って臨んだ高橋達也氏も上位に入った。連合推薦の6氏も組織票を手堅くまとめた。水口淳氏は地元票をきっちりまとめ、戸田地区"代表"の座を死守した。新人では教員の渡辺博夫氏が勤務先の人脈や地元自治会の支援を受け、上位に食い込んだ。
 現職は激戦地の原地区で票を分け合った大場豊重氏を含む市西部地区の3人が落選した。みんなの党の公認候補で出馬した持田紀与美氏も及ばなかった。
(静新平成23年4月25日夕刊)

沼津市議選当選者


2011年4月21日木曜日

沼津市 定数6減、勢力図混とん

沼津市 定数6減、勢力図混とん
 28議席をめぐり、36人(現職22、新人12、元職2)がせめぎ合う。投票率の大幅アップは見込めず、党公認や組織の支援を受ける候補者は比較的有利か。ただ、告示直前に定数が現状より2減から6減に変更され、勢力図は混とんとしている。
 金岡・大岡・門池地域では高橋達也(43)=無現=が自治会やNPO活動で培った人脈を駆使して集票する。同じ大岡地区の山下富美子(57)=無現=は女性層の支持を拡大。頼重秀一(42)=無現=は地元票を掘り起こす。教員の渡辺博夫(67)=無新=は学校や自治会人脈をたどる戦術。山崎勝子(69)=共現=、労組支援の深田昇(39)=無新=は組織票をまとめる。
 愛鷹・片浜・今沢地域は、千野慎一郎(69)=無現=が同業者も含め幅広い支持獲得を目指す。江本浩二(50)=無現=は知名度を武器に行政課題を訴える。斉藤孝一(54)=共現=は党組織を引き締める。深瀬勝(66)=無現=は西間門を拠点に拡大を狙い、同所の梶泰久(40)=無新=は労組票を固める。
 原・浮島地域の原地区は今回も最大の激戦地。殿岡修(71)=無現=、大場豊重(70)=無現=の現職と通算6期目に挑戦する元職川口三男(66)=共元=は支持者層の一部重複が懸案。浅原和美(60)=無現=、城内務(55)=公現=のベテラン勢も後援会がフル稼働で組織票固めと票の掘り起こしにあたる。渡部一二実(52)=無現=は労組票に地元票の上乗せを狙う。浮島地区は伊山昭(70)=無現=がまとめる。前回補選で37票差で涙をのんだ清水賢嗣(54)=無新=は商工関係者に浸透する。
 市中心部の沼津駅北部は、伊藤正彦(67)=無現=と加藤明子(35)=無新=が北高島町で競合するため、出身校同窓会や所属企業など、別のルートで票を伸ばす。最年少の片岡章一(32)=公新=は組織を固める。中野ひとみ(62)=無新=は地道に回る。
 同駅南部は持田紀与美(43)=み新=が市中心部に浸透を図る。長田吉信(50)=公新=は支持者固めに躍起。原信也(54)=無新=は出身地と居住地の両方から浸透を図る。岩崎英亮(64)=無現=は再選に向けこまめに回る。返り朕きを狙う加藤元章(47)=無元=は活動で広げた輪をたどる。梅沢弘(64)=無現=は政策を訴える。小林幸夫(60)=無新=は浸透に懸命。
 下香貫・大平地区は二村祥一(68)=無現=が地元中心に必死の戦い。鈴木秀郷(60)=無現=は同地区出身の候補者がおり、支援労組が警戒を強める。尾藤正弘(44)=無新=は知名度向上に努める。
 三浦・戸田地域は植松恭一(41)=自現=、真野彰一(63)=無現=が地元を固め、水口淳(69)=自現=は戸田の"地区代表"の議席死守を訴える。
(静新平成23年4月21日朝刊)

2011年4月13日水曜日

沼津市県議選沼朝解説記事

杉山票前回を上回る
 県議選投票総数減の中で再びトップ
 明暗分けた市議転身組 どう見る民主の得票数
 次の四年間を任せる県議会議員が決まった。定数四の沼津市選挙区の当選者は、現職の三人に新人一人。予想した顔ぶれとなったが、候補者それぞれの得票数からは自民党の堅調さ、民主党の苦戦が見え隠れ。また、市議からの転身を図った二人で明暗が分かれた。(文中敬称略)
 七人が立候補した沼津市選挙区の各候補者の得票数は、得票順に杉山盛雄(自民党現)一八、二三八票、蓮池章平(公明党現)一五、二〇〇票、多家一彦(自民党現)一四、〇九九票、曳田卓(民主党新)一一、七一九票、加藤益久(無所属新)六、六一一票、井口哲男(みんなの党新)五、九七八票、板垣和子(共産党新)三、八一三票。
 上位三人は前回選と同じ順位。杉山、蓮池は四選を果たし、多家は六選と、押しも押されぬ県議会重鎮の位置を占めるに至った。これに市議から転身の曳田が加わることになったが、曳田は同じ民主党の植松明義の後を受けたもので、当選者四人の党派別構成に変動はなかった。
 当選者四人の前回の得票(曳田は植松の得票)を見ると、杉山一八、一三一票、蓮池一七、四七八票、多家一五、三九一票、植松(以後、曳田票として見る)一四、七四五票。杉山は前回より僅かだが票を増やし、蓮池、多家、曳田票は減った。
 有権者の絶対数が減り、投票率が下がった中で、杉山が票を増やしたことの意味は小さくない。
 有権者は前回選の一六九、八七五人から今回は一六八、九四三人へ九三二人減少。さらに投票率も49・04%から45・33%へ下がり、県議選における過去最低を更新。投票総数は八三、三〇六人から七六、五八六人へ六、七二〇人減少した。
 さらに、前回選の立候補者が六人、今回は七人だったことを考えると、単純に見て一人当たりの得票数が減ることが当然の中で、杉山は前回を一〇七票上回った。
 これに対して蓮池は二、二七八票、多家は一、二九二票、それぞれ減らし、曳田票は三、〇二六票下回った。ただ、蓮池、多家の減少は、前述の背景から考えて実質的には現状維持と見ることもでき、杉山の得票増と合わせてみると自民党の堅調ぶりをうかがわせた。
 曳田票の減少はどうか。曳田の立候補については、民主党が植松と二人を立てるのではないかとの見方もあって注目されていたが、出馬を表明したのは二月半ば。七人の中では最も遅く、四月一日の告示まで一カ月半という中でのスタートとなった。
 この短期日での勝負に加え、市議三期を務めて一定の知名度があるとは言うものの、植松と交代して県議選初挑戦という不利な状況にあったことは否めず、その意味では善戦だったと言えるか。
 ただ、当選に向けて、連合など支援組織の結束と総力挙げた活動が求められたはずの中で、連合系の市議とは太陽光発電パネルや市議定数の問題で市議会内での立場を異にするという事情もあり、連合系の市議選立候補予定者が自らの後援会活動を通じ、市議選での自身と県議選における曳田への支援訴えという、通常なら考えられるセットの活動に影を落としたことも否定できない。
 曳田票の減少が、こうした個人的なことによるものだけなのか、民主党にとっては、この間の参院補選や今回の統一地方選前半の知事選、政令市市長選、県議選などで全国的な退潮傾向が指摘されるだけに、国政選挙も含めた今後の行く手を探るうえで十分な検討、分析が必要になってくるかもしれない。
 一方、加藤、井口、板垣の得票数は、どうか。 七人の中で唯一無所属、組織もなく挑んだ加藤。素人集団の選対が手探り状態で臨んだが、四位当選者とも、ほぼダブルスコアの開きがあった。鉄道高架事業の是非を問うための住民投票条例制定を求めた住民監査請求活動の際に交通違反での検挙が報じられたことがボディーブローのように効いた、と見る向きもある。
 加藤の特色は、その鉄道高架事業反対を前面に出して訴えたこと。その点、井口も同事業の見直しを主張し、板垣も事業反対の立場。この三人を合わせた得票数は一六、○○○票を超え、鉄道高架事業の主張に限って見れば、県議一人を出せるだけの数だった。
 井口は自民党を離れ、みんなの党からの出馬を早々と表明したが、伸び悩んだ。国政で吹いた風が地方選挙では難しかったか。
 また、同様に市議から転身を図った曳田とは明暗を分けることになったが、市議定数削減問題で市議会での採決当日、曳田が県議選への出馬を理由に辞職したのに対して、井口は採決にとどまり、それまでの削減反対の立場から「党の方針に沿う」ことを理由に賛成に転じ、削減に大きな役割を演じた。
 直前での辞職も削減賛成派にとっては、反対派の数が減ることとなり歓迎すべきことだったが、それまでの姿勢を覆して削減賛成に回った姿が有権者には受け入れ難いものだったかもしれない。賛成に回ることで県議選での自身の票読みを有利にしようとしたのではないか、との見方もある。
 板垣は、東京電力福島原子力発電所の事故を捉え、原発問題に長年取り組んできた経験を挙げながら浜岡原発の停止など沼津にとっても関わりのあることなどを訴えたが、票に結び付かなかった。
 共産党は前回、市議五期を務めた川口三男を擁立して一一、三八八票を獲得するなど善戦したが、これは保守層からの票も見込める川口ならではの得票との見方もでき、今後、統一地方選後半の市議選を控え、定数が減った中、同党にとっては厳しい結果を突きつけられることになった。
(沼朝平成23年4月13日号)

2011年4月11日月曜日

沼津市県議選当選者


沼津市 県議選
 現職順当、井口哲男氏は及ばず
 投票率は45・33%
 県議選では過去最低に
 統一地方選挙前半の県議会議員選挙は十日投票が行われ、定数四を現職三人と新人四人の七人で争った沼津市選挙区では、現職の三人が順当に当選を決め、残る一つの議席は市議から転身の曳田卓氏がもぎ取った。投票率は、県議選で最低だった前回選を、さらに下回った。
 県議選沼津市選挙区の開票結果(10日午後10時56分確定)
 当 一八、二三八票 杉山盛雄52 自民現
 当 一五、二〇〇票 蓮池章平57 公明現
 当 一四、〇九九票 多家一彦63 自民現
 当 一一、七一九票 曳田卓57 民主新
 六、六一一票 加藤益久63 無所属新
 五、九七八票 井口哲男51 みんな新
 三、八二二票 板垣和子67 共産新
(沼朝平成23年4月11日号)

2011年4月1日金曜日

3.11大津波


「大津波爪痕生々しく」
 被災地を空撮で比較
 全壊を免れた高さ10㍍の防潮堤の陸側で粉々に砕けた岩手県宮古市田老地区の家々。宮城県南三陸町志津川も高台の小中学校といくつかの建物を残し完全に壊滅していた。
 仙台市で航空写真を撮影、販売する事務所を営む芳村忠男さん(64)は35年以上、東北地方を空撮してきた。震災前に芳村さんが撮った写真と同じ角度から岩手、宮城、福島3県の被災地17カ所を撮影して比較すると、太平洋沿岸の街々が大津波で破壊され、一変した様子が見て取れた。
 岩手県陸前高田市は景勝地の松林「高田松原」や街並みが跡形もなく消え、海岸線の地形すら変貌。集落の南北から津波が流れ込んだ福島県相馬市の尾浜地区では半数近い家が流されていた。
 震災後、調査のため被災地上空を飛んだ芳村さんは「小さな集落を含め、美しい三陸沿岸全部がやられていた。見たものが今も理解できない」と衝撃を受けていた。
 【3月28日撮影の岩手県宮古市田老地区(上・共同通信社ヘリから)と、2010年3月撮影の同地区(芳村忠男さん撮影)】
(静新平成23年4月1日朝刊)

2011年3月21日月曜日

3.11大津波


「波の壁」撮影
 福島・南相馬の男性
 「巨大な波の壁が迫ってきた。覚悟を決めてシャッターを切った」ー。
 福島県南相馬市小高区の自然環境調査員富沢貞嗣さん(35)が20日、大津波が押し寄せる瞬間の生々しい様子を語った。
 11日の地震発生直後、富沢さんは海岸から数百㍍離れた高台の自宅で津波を目撃。第1波、2波はそれほど大きくなかったが、「ドン」と音を立てて近づいてきた3波は、白い波しぶきを巻き上げながら、一気に押し寄せたという。「巨大な波を見たとき、『死ぬんだ』と感じた。自分がいなくなっても、この瞬間を残さなければと思った」と振り返る。
 津波は目の前にあるすべてをのみ込んだ。「さっきまであった街並みが更地になっていた。スピード、威力は計り知れない」と語る。
(静新平成23年3月21日)

2011年3月16日水曜日

沼津市人事異動

 沼津市異動
 企画部長に内村氏
 新設の危機管理監は井原氏
 沼津市は15日、4月1日付の人事異動を内示した。異動規模は674人で、昨年より約100人少ない。部長級の退職者は9人。
 企画部長には内村博隆都市計画部長、市長直轄の新設ポストである同部危機管理監には井原三千雄企画部長兼参事監を充てる。行革などを手掛ける同部特命担当参事監には、企画部門の経験が長い高橋強財務部参事監を起用した。内村部長の後任には加藤久佳計画課長、水道部長には伊沢康行水道総務課長、生活環境部長には関政美図書館長がそれぞれ登用される。
 今井章市立病院事務局長は経営企画室長との兼務を解消する。監査委員事務局長には杉山一男企画部参事兼地域自治課長が就く。
 【部長級】企画部長(都市計画部長)内村博隆▽企画部危機管理監(企画部長兼参事監=危機管理担当)井原三千雄▽企画部参事監=特命担当(財務部参事監=公会計担当)高橋強▽市立病院事務局長(市立病院事務局長兼経営企画室長)今井章▽生活環境部長(図書館長)関政美▽都市計画部長(都市計画部計画課長)加藤久佳▽水道部長(水道部水道総務課長)伊沢康行▽監査委員事務局長(企画部参事兼地域自治課長)杉山一男
(静新平成23年3月16日朝刊)




2011年2月1日火曜日

23年度沼津市一般会計


 沼津市一般会計730億円
 新年度予算案積極型編成

 沼津市は1日、2011年度の当初予算案を発表した。一般会計は730億円で、初めて700億円を超えた10年度当初予算を2・1%上回り、過去最高を更新した。6特別会計、4企業会計を合計した当初予算額の総額は前年度比3・4%増の1374億5690万円となった。
 一般会計の歳入のうち、自主財源の根幹を担う市税は前年度と同額で354億円。法人市民税は29億1300万円で、過去最低だった前年度より31・6%回復したが、個人市民税は6・6%減の116億3340万円と縮んだ。市財政課は「景気回復が個人所得に反映されるまでの時間差」とみている。
 予算規模の拡大や、税収が近年減少傾向にあることもあって市税の構成比は2年連続で50%を割り込んだが、基金からの繰り入れや地方交付税で補い、子育て支援や経済対策を充実させる積極型に編成した。繰入金は前年度並みの36億6580万円で、財政調整基金の取り崩し分は8億5千万円(前年度比1億5千万円増)。自主財源比率は59・3%と1・6ポイント低下する。
 歳出は民生費が最も多く、前年度比6・5%増の230億230万円に膨らんだ。生活保護扶助費、子ども手当、障害者自立支援関連経費の増加が主な要因で、歳出に占める構成比は2年連続で3割を超えた。次が土木費142億1080万円(前年度比2・5%増)、公債費(同2・8%減)の順。
 主な事業は県東部コンベンションセンターの市施設を建設する駅北拠点施設整備事業14億5800万円、鉄道高架化関連事業30億4370万円、通院医療費の助成対象を中学生まで拡大するこども医療費助成事業3億9800万円、待機児童対策事業1780万円などを盛り込んだ。
(静新平成23年2月1日夕刊)