2010年11月16日火曜日

「日本の政治は良くなるか」

「日本の政治は良くなるか」
 時事通信社の田崎史郎氏が解説
 民主党幹部を批評 返す刀で自民党2世議員も
 沼津法人会(諏訪部恭一会長)の表彰式記念講演会がブケ東海で開かれ、時事通信社解説委員の田崎史郎氏が「日本の政治は良くなるかー民主党政権の行方」の演題で話した。一九五〇年生まれの田崎氏は中大法学部卒業後、時事通信社に入社し政治部で活動。首相官邸記者クラブ、外務省記者クラブを経て、自民党担当記者クラブで田中(角栄)派、竹下(登)派、橋本(龍太郎)派を担当。これまでの取材活動で得た情報をもとに、民主党の幹部らを姐上(そじょう)に乗せ一刀両断にした。
 田崎氏は「民主党に投票された方にはキツイ話になる」と前置き。菅直人政権は、いつ倒れても不思議ではないとし、マスコミによる最近の内閣支持率、政党支持率を挙げながら解説。
 国民が考える衆参のネジレ解消は「与野党が十分話し合え」から「衆院を解散せよ」に変わってきているとし、民主党若手議員が自らの支持者から「次は自民党に投票する」「民主党に入れない」と言われていることを明かした。
 ネジレ解消策として民主党は参院で過半数を取るため公明党と組まなければならないが、公明党の支持母体、創価学会と対立する矢野絢也・公明党元委員長に勲章を授与したことが不興を買ったとし、公明党に対する自民党との配慮の違いを指摘。勲章問題で公明党については微妙な問題があるのだという。
 昇る太陽なのか沈む太陽なのかを一瞬に見極めるのが政治家で、公明党が、現在三〇%程しか支持率がない民主党と組むわけがない、だから補正予算案反対に態度を変えた、とし、これからも民主党と距離を置くだろうとの見方を示した。
 また、民主党が参院で過半数がないということは権力が半分になったことだとし、子ども手当や税制改正の法案などは衆院で可決しても参院を通らないから成立は無理だとした。
 続いて民主党幹部の人物評価。党の勢いを減衰させた「政治と金」で矢面に立っている小沢一郎元幹事長については「終わった」と。その理由は裁判になれば二、三年かかるため、党の代表や大臣に就けないことから。
 そして小沢元幹事長と、同議員が師と仰ぐ田中角栄元首相とを比較。体力、気力、判断力から見ると七十歳が分岐点だとし、小沢元幹事長は裁判終了時には七十歳を超え、ロッキード事件逮捕時、五十八歳だった田中元首相と違って政治の中枢にはいられないだろうと予測。
 また、将来の首相候補と目される議員を批評。原口一博前総務大臣は権力に対しギラギラしているが、細野豪志元副幹事長には、そこまで意欲が見られない。ただ原口元大臣は、テレビでの発言は上手だが、手のひらを返すので人望がないと。
 この後、本丸の菅首相に話を移し、まず、党首選では菅候補を積極的に文持した議員はほとんどいなかったというが、それでも党首になれたのは「(悪い)小沢を総理にする訳にはいかない」という力が働いたためだと解説した。
 そして、政治家は「情」と「理」であるにもかかわらず、「菅は理ばかりで情がない」という武村正義元新党さきがけ代表の言葉を紹介。民主党は自民党より頭がいい人が多いが、政治は半分以上が情で動かすもので民主党にはそれがない、とつなげた。
 また、菅首相の弱点は人間性。人の面倒を全く見ない冷たい男だから人を動かす力が欠けていると指摘。永田町で菅首相は「あざとい奴」「こすい奴」と言われているという。
 前原誠司外務大臣は「総理にしてはいけない人間」であり、直線的に走るだけで、尖閣諸島沖での衝突事故で中国人船長を逮捕。また、起訴しようとしたが、その後の対応を考えていないと批判。岡田克也幹事長は、偏屈だけれど前原よりマシ、危険性はないと分析した。
 さらに民主党政権は「竜頭蛇尾」に終わるとの持論を挙げ、仙石由人官房長官がいなければ政策も決まらず、仙石が辞めれば菅政権は終わると断言した。
 一方、尖閣諸島、北方四島の領有権問題については、日本人の心に潜んでいたナショナリズムの思いに針を刺したとし、民主党政権は国、国民、領土を守ってくれるのかと国民が不安視していること、中国漁船との衝突ビデオ流出問題については、管理ができていないし、外交力が落ちていることを指摘した。
 民主党の弱点としては、衆参のネジレ、党内に存在する、菅政権にとっての二百人の野党、政策実現・利害調整能力の欠如などを挙げた。
 返す刀で自民党議員についても、「二世議員は、親が全部能力を持っていってしまった」と能力のなさを指摘。石原慎太郎都知事と伸晃自民党幹事長、中曽根康弘元首相と弘文自民党参院会長を挙げたが、小泉純一郎元首相と進次郎衆院議員の親子については絶賛した。
(沼朝平成22年11月16日号)

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