スカンジナビア建造90年
記念の講演会と思い出語る会
西浦木負のカフェ&ランチ海のステージは、「ステラ・ポラリス(スカンジナビア)の航海」と題した建造九十年記念講演と、思い出を語る会を二十七日午後一時半から店内で開く。
スカンジナビア号は一九二六年、クルーズ客船「ステラ・ポラリス」としてスウェーデンで建造。四〇年にナチスドイツ軍に接収され、Uボート乗組員の休憩所に使われた後、戦後の四六年にスウェーデンに戻ってクルーズ船に復帰したが、七〇年に日本の企業に売却された。
日本では西浦木負に係留され、フローティングホテル・スカンジナビアとして営業を開始。長年市民に親しまれ、その後、レストラン事業に業態を変更したが、業績悪化で二〇〇五年に営業を終了した。
〇六年にスウェーデン企業への売却が決まり、中国上海で修繕するため八月三十一日、タグボートに引かれて木負を出航したが、九月二日、和歌山県沖で沈没した。
同店では、スカンジナビア号を偲ぶ資料館を店内に設けて縁の品を集め、出港前に譲り受けた思い出の品と共に一般公開しており、沈没から十年を迎えるのを前に企画
した。
マリンジャーナリスト会議の田久保雅己会長が記念講演を行い、ワールドシップソサエティ日本代表の府川義辰さん、スカンジナビアを保存する会代表の太田黒敦夫さんら四人を交えて対談する。
引き続き映像を見ながらケーキとお茶を楽しみ、思い出を語り合うティーパーティーを行う。 参加費二千円。定員四十人で事前予約制。
問い合わせは同店(電話九四六ー二八〇〇)。
【沼朝平成28年2月20日(土)号】
スカンジナビア"航跡"後世に
和歌山沖沈没から10年
27日沼津 地元有志がシンポ
1970年に沼津市西浦木負の沖合に係留され、ホテル・レストランとして親しまれた豪華客船「スカンジナビア」(旧名ステラポラリス)が和歌山沖で沈没して10年目。ことしは進水式から90年の節目でもあり、地元関係者らが27日に同市内でシンポジウムを開く。船の遺品の展示も交え、同客船の"航跡"と文化的意義を検証する。
シンポジウムの会場は客船が浮かんでいた海辺にある飲食店「海のステージ」。同店オーナーで、客船の現地保存を訴えた「スカンジナビアを保存する会」元事務局長の前島希久也さん(76)が「スカンジナビアは沼津の海の文化の一側面。『伝説の船』の意義を後世に伝えたい」と企画した。
ヨットやボートの専門出版社「舵社」(東京都港区)の常務取締役の田久保雅己さん(62)が講演し、「保存する会」元会長の大田黒敦雄さん(59)=長泉町=らを交えて思い出を語る。田久保さんは「上流社会の人々が世界を巡る客船の先駆け。客室、調度品、メニューなど全てが現代の豪華客船の原型になった」と評価する。
関連企画として、27日から3月訂日まで海のステージ内資料館で特別展を行う。約90年前に作成された大判の設計図、進水式で用いた銀製のフルーツ器、ガラスレリーフなど同客船の備品約80点を公開する。前島さんは「スカンジナビアの優美な雰囲気を感じてほしい」と願う。
シンポジウムは事前申し込みが必要。参加費は茶会、献花を含め2千円。問い合わせは海のステージ〈電055(946)2801〉へ。
※ スカンジナビア 1925年、ノルウェーの船会社がスウェーデンの造船所に発注したクルーズ専用船。26年の進水式で「ステラポラリス(北極星)」と命名され、翌年完成した。全長127㍍、全幅16・7㍍、全高44㍍。当時としては画期的なディーゼルエンジンで、60年代まで欧米の富裕層を乗せて世界中を巡った。70年に沼津市で「スカンジナビア」に改名し、ホテル、レストランの営業開始。2005年までに約350万人が利用した。06年、スウェーデンの企業に売却され、同国へえい航中の9月2日、和歌山県串本町の沖合で沈んだ。
【静新平成28年2月24日(水)夕刊】
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