2016年8月20日土曜日

水葉亭、月末閉館へ
 熱海の景況に影響も
 熱海市伊豆山のホテル水葉亭が8月末で営業を終えることが、19日までの複数の関係者への取材で分かった。市内有数の大規模ホテルの廃業は、宿泊客増に沸く熱海温泉の今後の景況に影響を与える可能性がある。
 売却され新施設に生まれ変わることも想定されるが、関係者に具体的方針などは明示されていないという。水葉亭の幹部は静岡新聞社の取材に対し「答えられない」としている。
 水葉亭を巡っては3月ごろ、旅館ホテルの再生事業を全国で展開する企業に売り渡されるとの情報が広まったが、最終局面に入って交渉が決裂していた。施設は一部老朽化し、新たな事業者が宿泊施設の形態を続ける場合もリニューアル工事が必要になるという。
 ホームページなどによると、水葉亭は地上11階建て、70室以上の客室を誇る伊豆山地区を代表する地元資本のホテル。国道135号に面した斜面に建ち、相模湾を一望できる大露天風呂や大宴会場などが名物。
(熱海支局・荻島浩太)
 宿泊客数激減を懸念
 熱海温泉屈指の大型宿泊施設ホテル水葉亭の閉館が19日までに明らかになり、地元の観光業関係者は驚きの声を漏らすとともに、今後の対応に頭を悩ませた。
 2015年度の市内宿泊客数は14年ぶりに300万人を突破し、業界は好況感に沸く。市内各地区の旅館組合でつくる連合会の幹部は「負債などはないと聞くが、従業員の雇用をどうするかなど詳細が分からない」と今後の行方を不安視し、「近隣や中心部の加盟ホテル・旅館の稼働率を高めるなど対応策を迅速に講じ、影響を最小限に食い止めたい」と話した。
 水葉亭は100人規模の大宴会場を有し、県内外の団体客をはじめ地元の各種組織も愛用してきた。社交飲食業に携わる男性(47)は「夜の魅力を提供できる場がまた一つ減る」と影響を懸念する。
 企業などの一大保養地として知られた熱海温泉だが、団体客受け入れの象徴的存在だった熱海後楽園ホテルの旧館「みさき館」も8月末で営業を終える。みさき館と水葉亭で年間計20万人前後を受け入れてきたといわれ、秋以降の宿泊客数が大幅に減る事態が懸念される。
【静新平成28年8月20日(土)朝刊】

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