2021年9月10日金曜日

あの夏の日々を取り戻そう 仙石規 (沼朝 言いたいほうだい)

 

 あの夏の日々を取り戻そう 仙石規

 


今月二日から十月十四日まで、ぬましんストリートギャラリーで明治史料館蔵資料展「狩野川リバーサイド・ストーリー」が開催されています。

 昨今、新型コロナ禍により「沼津夏まつり」が連続中止となるなど、寂しさが漂うばかりの狩野川沿い地域ですが、かつての川の恵みを生かした栄えある風景を記録した写真や絵画、歴史資料を展示することで市民の心に潤いを与えようとする素晴らしい企画です。

 沼津古城の図から始まり、狩野川に橋が架けられる前の渡し船を描いた江戸時代のスケッチ、御成橋の母体となった「港橋」設計図などの歴史資料、御用邸が設けられて、日本各地から避署地沼津への観光客が訪れた際に買い求めた絵葉書や、観光船「竜宮丸」資料など、若い世代には驚きを、年配の世代には懐かしさを感じさせる展示品が、ずらりと並んでいます。

 郷土をこよなく愛した画家・志賀旦山が、狩野川花火大会の様子を描いた絵葉書には、思わず息をのみました。打ち上げ花火の華やかな色彩が御成橋下の水面に映り、川には小舟が浮かぶ光景に、思い出の涙が滲む方もおられるでしょう。そうです、昭和・平成の時代、子ども達の夏は毎年、花火大会の煌めきとともに幕を開けていたのです。

 コロナ対策で沼津市では大規模会場でのワクチン接種も進んでいます(私も、休診日には接種に協力しています)が、市民の一部に感染対策の緩みが見られることが懸念されます。高校生達がマスクを外して大声で会話する光景が見られますし、週末には、全国で感染の危険性を指摘されている野

外バーベキューを見掛けます。接触を伴う校外活動等でも、デルタ株によるクラスターが発生しているようです。

 緊急事態宣言下において、精神的・肉体的ストレスが溜まっていることは分かりますが、大切な人々と郷土の健康と命を守って生きていくためには、節度ある行動を取ることが市民の義務ではないでしょうか?

 若い市民達も、ワクチン接種に関する誤った情報に惑わされず、一刻も早く受けてください。既にワクチン接種を二度受けた市民も、油断しないでください。不織布マスクをして、大声の会話や歌うことは自粛してください。もうしばらく我慢すれば、楽しい生活が待っていると信じましょう。

 あの夏の日々は必ず戻ります。

 (医師・郷土史家、市場町)

【沼朝令和3910日(金)言いたいほうだい】

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