2020年6月11日木曜日

千畝夫妻の精神後世に 「命のビザ」80年沼津に顕彰碑建立へ


千畝夫妻の精神後世に
「命のビザ」80年沼津に顕彰碑建立へ
11月除幕式 市民有志が整備資金募る
 第二次世界大戦中の1940年、ナチス・
ドイツなどの迫害を逃れるユダヤ人のためにビザを発給した外交官、杉原千畝(ちうね)(190086)と妻の幸子(ゆきこ)の顕彰碑を沼津市に建てる計画が、市民有志でつくる「命のビザ・杉原千畝夫妻顕彰会」によって進められている。1日から整備資金200万円をクラウドファンディング(CF)で募り、113日に市内の港口公園で除幕式を行う予定だ。【石川宏】
 
今年は杉原千畝生誕から120年、命のビザ発給から80年。幸子は現在の沼津市末広町出身で、夫妻は戦後の47年から4カ月間、沼津市の幸子の親戚方で過こした。
 顕彰碑は幅が13㍍、高さが15㍍。台座は御影(みかげ)石で正面に夫妻のレリーフを据え、幸子の短歌や千畝の手記を刻む。献花台となるテーブルも据える。除幕式にあわせて重枝(しけえだ)豊英・元駐リトアニア大使の講演会を千本プラザ(沼津市本)で開く。また、1129日に、演劇集団ポカラの会の「六千人の命のビザ」(ひとり舞台十ピアノ演奏)の公演も千本プラザで行う。
 顕彰会代表の松下宗柏・長興寺住職(71)は「自分だけよければという風潮があふれる中、人道の精神の大切さを訴えたい。顕彰碑建立を機に、若い人に国際感覚や沼津市に対する誇りが養われることを期待する」と話す。御影石は市内の真島石材工業が無償で提供す.る。真島一浩社長は「千・畝さんという素晴らしい方の顕彰碑を建立する栄誉ある仕事。費用は持たせていただきた
いと申し出た」と語った。
 CFで集めた200万円は彫刻家に発注するレリーフ制作代や付帯する工事代に充てる予定。問い会わせは事務局の長興寺(0559660125)へ。

 ☆杉原千畝
 岐阜県出舅の外交官。リトアニアのカナウス駐在の領事代理だった第二次世界大戦甲の194078月、ドイツとソ連に分割占領されていた隣国のポーランドから逃れたユダヤ人に対して、国の方針に反し、人道的見地からビザを発給した。40年にソ連へ併合されたリトアニアは独ソ開戦後にドイツに支配され、多くのユダヤ人が虐殺された。杉原の発給したビザで多くのユダヤ人の命が助かり、そのビザは「命のビザ」といわれる。
【毎日新聞 2020(令和2)61()

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