2020年12月25日金曜日

沼津・鉄道高架訴訟 原告の主張退ける静岡地裁

 

沼津・鉄道高架訴訟

 原告の主張退ける静岡地裁


 JR沼津駅付近の鉄道高架事業は必要ないとして、元地権者らが国や県を相手取り、事業認定の無効確認などを求めた訴訟で、静岡地裁は24日、原告の訴えをいずれも退ける判決を言い渡した。

 原告側は訴訟で、事業の構想当時と社会状況が変わる中、車両交通量は大幅に減少し、渋滞緩和の目的自体がなくなったと主張。費用対効果が低く、橋上駅にした方がはるかにコストが掛からないなどと訴えてきた。

 小池あゆみ裁判長は判決理由で、駅周辺の交通渋滞や鉄道による市街地の分断を解消する必要性は失われていないと判断した。橋上駅方式についても「鉄道高架事業よりも費用を大きく削減できるとまでは言えず、鉄道高架事業を選択したことが不合理とは言い難い」と指摘した。

国土交通省中部地方整備局は「国の主張が認められたと理解している」とコメントした。原告側は控訴するとみられる。

 原告側、判決を批判

 JR沼津駅付近の鉄道高架事業を巡る訴訟の判決後、元地権者の久保田豊原告代表は静岡地裁前で「不当判決」と書かれた紙を掲げた。

 久保田さんは記者会見で「判決内容を読むと、ふに落ちないところがたくさんある。まだまだ闘う意欲は消えたわけではない」と強調。元地権者でただ一人、土地の明け渡しに応じていないが、来年25日の期限後も「立ち退かない」と語気を強めた。 代理人の海渡雄一弁護士ば「非常に残念。『不合理とまでは言えない』という理屈で逃げ、行政側を救済した判決」と批判した。

 知事、元地権者に

「考え直して」

 JR沼津駅付近の鉄道高架事業に伴う沼津市原地区への新貨物ターミナル整備を巡り、元地権者らが事業認定の無効確認などを求めた訴訟の判決を受け、川勝平太知事は24日、県庁で記者団の取材に応じ、土地の明け渡しに応じていない原告の久保田豊さんとの面会に意欲を示した。「原地区のために何ができるかという観点から考え直してもらいたい」と翻意を促すという。

 来年25日の明け渡し期限後に、知事が是非を判断する行政代執行(強制収用)には触れず「最後の最後まで話を続けたい」と対話による解決を模索する姿勢を強調した。

 被告補助参加人として訴訟に参加した沼津市の頼重秀一市長は「事業が適正であると判断していただけた」と受け止め「鉄道高架は市の発展に必要不可欠。一日も早い完成に向けてこれまで以上に推進していく」とコメントした。

【静新令和21225日朝刊】

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