2022年11月4日金曜日

浮島地区の歴史や産業  明治史料館が企画展で紹介



 

 浮島地区の歴史や産業

 明治史料館が企画展で紹介



 明治史料館の企画展「地域の歴史シリーズ3 うきしま」が1127日まで、西熊堂の同史料館で開がれている。 同シリーズでは市内の旧町村を単位として沼津各地域の歴史を掘り起こして紹介。2015年度には合併10周年を記念して「戸田」、昨年は江原素六翁の没後100周年にちなみ「金岡」を取り上げ、今回は阿野全成ゆかりの地として注目されている「浮島」。

 同地域では日本最古級の遺跡が出土。井出丸山遺跡では約37000年前の石器が発見され、その中には黒曜石で作られたものもあり、同所から100㌔も離れ、しかも海上を行かなければならない神津島産であることが判明している。この時代の人が海洋航海をしていたことを示す証拠となっている。

 愛鷹山の裾野の尾根には台地状になっている所が多く、日当たりが良く湧水も豊富だったため、原始時代から人々の生活の場となった。この辺りからは多くの遺跡が発見されている。

 時代が下って奈良時代には「浮島里」の地名が既にあった。

 根古屋にある城地が国指定史跡にもなっている興国寺城は戦国時代の先駆けともなった存在。ここを拠点に北条早雲が旗揚げし伊豆国の堀越公方を攻め、これが東国における戦国時代の端緒の一つと言われている。

 展示では古代から現代までの浮島に関する歴史の詳細を数々の史料から紐解いている。

 また、今も昔も、この地では農業を主な産業とし、低湿地帯での稲作にかかわり、1970(昭和45)の昭和放水路の完成によって干拓事業が急速に進められた。それでも、元が沼で地盤がゆるい土地では、田植えは、胸まで田に浸かって行い、雨が降り続けば一面が泥海となって「田が浮く」と言われた。

 愛鷹山麓では江戸時代から自家用としてお茶が栽培されていたが、明治に入って江原素六翁らによって製茶業が広められた。1884(明治17)には、井出の深沢諒平氏らによって沼津茶業組合が組織された。そうした歴史を受け継ぎ、浮島地区では現在も脈々と農業が営まれている。

 地元の史料館だからこその細やかな展示は、様々な角度から浮島地区の歴史的魅力を伝えている。

 1112日午前11時からは、この企画展に関する「ギャラリートーク」が開催され、学芸員の詳しい解説を聰くことができる。

 定員は8人、先着順。申し込みは8日午前9時から電話、または同館で直接。参加無料(観覧料は必要)

 開館時間は、午前9時から午後4時半(受け付けは4時まで)。今後の会期中の休館日は31日、1147142124日。

 観覧料は大人200円、小人100(市内の小中学生は無料)

 問い合わせとギャラリートーク申し込みは同史料館へ電話9233335)

【沼朝2022(令和4)1030(日曜日)

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