2023年7月17日月曜日

社説 沼津再開発新組織  【静新令和5年(2023年)7月17日(月曜日)】

 

 

 社説 沼津再開発新組織

 沼津再開発新組織

 次世代へ新都市像示せ

 沼津市で市民も交えた中心市街地の在り方を模索する新たな組織が始動する。JR沼津駅南口で複数の再開発計画が進行する中、情報と現状認識を共有し、今後、駅周辺で本格化する鉄道高架化が完了した後を含めた広範な将来像を考えるのが狙いだ。

 県東部・伊豆地域の商都として栄えた沼津市だが、現在は郊外の大規模店に押されて衰退が激しく、かつてのにぎわいは見る影もない。既成概念にとらわれず、10年後、20年後を見据えた再開発や活性

化策の実現を目指し、復権の足掛かりにしてほしい。

 新たな組織を主導するのは沼津商工会議所。商議所内に「街なか活力創造特別委員会」を新設した。市も加わり、再開発計画の進展や見通し、高架化後を考えたまちづくり構想について意見を交わす。委員に交通と観光の事業者を加え、再開発後の利便性や地域活性化の在り方を示すほか、まちづくりに意欲のある市民にも入ってもらう。まずは2年かけて話し合い、一定の方向性を出す。三島市や富士市でも駅周辺の再開発計画が進むが、沼津商議所の特別委はパブリックコメント(意見公募)などにとどまらず、広く市民に意見を聞く。

 昨年1月に事業の第1段階となるJR新貨物ターミナルの造成工事が始まって以降、官民が高架化後にテーマを絞って話し合う機会はなかった。中心市街地を形成する商店街の関係者や民間主導で行われている再開発事業の担当者などから広く考えを求め、それを生かそうとする姿勢が不可欠だ。

 再開発は駅南に集中し、いずれも大手デベロッパーによって進んでいる。一方で、個人のリノベーションで出店したケースも複数ある。両者が共存し、個性を生かして活力を呼ぶまちづくりの発案を期待したい。

 鉄道高架事業について地元経済界は、利便性向上や中心市街地への誘客と出店などの経済効果をもたらすとして長年、後押ししてきた。特別委の新設は事業の効果や高架化後のまちづくりのイメージを具体化することにより、中心市街地へ新たな資本を呼び込む意図もある。

 具体化している再開発は駅南のみだが、高架化で南北がつながった時、駅北にも活力がなければ相乗効果は生まれない。北口から至近の総合コンベンション施設のプラサヴェルデは各種催事や学会の会場として一定の集客が見込め、ホテルの併設で一定期間の滞在も可能だ。2年前に閉業した商業施設、旧イシバシプラザ跡地を有効活用し、人流を構築する計画づくりが急務と言えよう。特別委には、南北が一体となった再開発の指針づくりが求められている。一<2023,7.17>

【静新令和5(2023)717(月曜日)

0 件のコメント: