2023年11月29日水曜日

石工6代目の眞島一浩さん  長く残るもの、ていねいに 【沼朝令和5年11月29日(水)号】

 

 石工6代目の眞島一浩さん

 長く残るもの、ていねいに



 石工で表彰された眞島一浩さん(眞島石材工業代表取締役、松長)=写真=は、1960(昭和35)年、真砂町生まれの63歳。22歳で父が経営していた松長の工場で働き始め、20年前に6代目を継ぎ社長に就任した。同社は来年で創業175年となる。

 2代目の政次郎さんは、1998年に国の登録有形文化財に登録され2001年には国内で最長・最古の石造道路随道として初めて国の重要文化財に指定された「天城山陽道」(伊豆市湯ヶ島、旧天城トンネル)の石工棟梁。

 このトンネルは1900(明治33)年に起工し4年後に竣工、幅412㍍、延長4455㍍に及ぶ。旧大仁町の吉田石を使用し、坑門及び随道内部覆工の全体に及ぶ切石積と両坑門の要所に施された精妙な石材加工は技術的完成度が高く、明治後期を代表する道路随道として高い評価を受けている。

 家業であり自然の成り行きで継いだという眞島さんは「昭和の時代は祖父もいて手仕事があったが、今は機械化が進んでいる」とする一方、「天城山随道のように永久的に形に残るものだからこそ、よりていねいに造らなければいけない。次世代にも語り継がれる仕事ということにやりがいを感じる」と、40年余親しんできた石工に誇りを持って仕事に臨んでいる。

 2021年に千本の港口公園に第2次世界大戦中「命のビザ」の発給で知られる外交官杉原千畝と活動を支えた沼津市出身の幸子夫人の功績をたたえる顕彰碑を寄進した。

 幅約14㍍、高さ約16㍍の石碑と2人の肖像レリーフは、夫妻での顕彰碑としては「世界初」だと言い、幸子夫人の母親が眞島さんの母校である一小の教員を務め、真砂町に住んでいたことに「つながりを感じ」て寄進を決意した。

 常に核家族化や少子化の時代に合った家族墓やモニュメント等、時代の二ーズを考えながら模索。首都圏のモニュメントからの注文など、「デザイン性を大切に、オリジナルデザインを手掛けていきたい」と話す眞島さんの工場のショールームには、ふくろうなどインテリアとしても喜ばれる置物やナスカの地上絵のモニュメントといったモダンな感覚の作品が並ぶ。

 ショールームは通りがかった外国人が一輪挿しを購入するなど気軽に立ち寄れるスペースになっていて、毎週木曜日には午前11時から午後0時半まで、しゃんぴにょんの焼き立てパンが出張販売されている。

 同世代が定年を迎え年金生活に入る人が多くなっても、「自営業なので生涯現役。素材感など石ならではの趣や良さを、もう一度見直してほしい。石畳など長く愛される、まちづくりができたらいいと思う。創業200年を目指したい。そのためにも、まずは健康が大事」と石工への熱い思いと意気込みを話した。

【沼朝令和5年11月29日(水)号】




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