2015年8月27日木曜日

「開花」の灯を惜しむ 坂本紹一

 「開花」の灯を惜しむ 坂本紹一
沼津市旭町の割烹「開花」が八月で閉店するとのこと、割烹料理の古い文化を伝えてきた店だけに、惜しい気持ちである。
割烹とは、もともとは「割く、煮る」の意味であるが、転じて高級料理店の意味で使われてきたようである。芸者などを呼ぶことができて、格式が高い料亭であったという。
建物も風情があり、道路から水が打たれたスロープを上がって玄関へ向かう雰囲気が独特であった。赤じゅうたんの廊下や階段、トイレも広くて、古風な趣があった。大小の部屋と大宴会場や会議室があり、いろいろな客層のニーズに対応していたようである。
扱う季節の食材も吟味したもので、器も商級なものが多く使われていた。私も、秋に訪れると出される「マツタケの茶わん蒸し」が楽しみであった。
明治二十七年に下本町で創業し、昭和二十五年に現在の地に移ったとのこと。長い歴史を刻んできた店だけに閉店が惜しまれる。それぞれの時代の多くの顧客の様々な思いを込めた宴席として使われてきたことは想像に難くない。
当主の杉山文一氏は沼津東高の出身で、私は沼中東商の百年史の編集委員であったことから、文一氏が所蔵していた貴重な資料や写真をお借りすることができた。「開花」が東高の各期の同窓会などで多く使われたので、資料や写真が自然と集まってきたようであった。
「開花」は、東高の関係者からは、オアシスのように癒される場所として使われていたという一面も持っていた。
聞くところでは、今日の経済情勢の中で、今後とも利用者の要望に応えていくためには、設備の充実、経営の改善、後継者の育成などの課題があるとのこと。
時代の流れとして難しい問題はあるかと思うと、残念であるが「あっぱれ」と声をかけて、閉店を見守るしかない。
(社会福祉士、長泉町)
【沼朝平成27年8月27日(木)言いたいほうだい】

1 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

今、このHPで初めて知りました。

開花は親戚の法事で何回もお邪魔しました。

無くなるのは淋しいですね。

玄関は内水が打たれ、可愛いワンちゃんがいました。

又、沼津の思い出が一つ消えていくようで残念です。