2013年1月18日金曜日

「西武沼津店の閉店迫る」沼朝記事


「西武沼津店の閉店迫る」
市民が関心寄せるポスト西武
 公共施設入居の期待あるが
 市は難しさ指摘、管理組合要望も


 戦後復興からの好景気に沸いていた一九五七(昭和三十二)年、沼津駅南口前の一等地に華々しく開業した西武百貨店沼津店。地方出店第一号として脚光を浴びるとともに都会の香を沼津にも届けてくれたが、そんな歴史を持つ同店も三十一日に営業を終える。二週間足らずで閉店を迎えた後の本館と新館は二月以降、どのように活用されるのか。市民からは市役所の出先機関や福祉施設、医療施設、教育施設などの誘致を期待する声があるが…。
 西武百貨店を傘下に持つセブン&アイ・ホールディングスは昨年六月二十七日、沼津店の撤退を発表。市民間に激震が走った。しかし、経済通の市民は数年前から、この事態を予想していた。
 市は撤退の発表を受けて七月三日、河南正幸副市長を委員長とする沼津駅前都市機能検討委員会を立ち上げ、これまで三回の会合を開いてきた。また、市議会総務経済委員会(加藤元章委員長)も同日、同店の営業終了を契機とする緊急要望を栗原裕康市長に提出している。
 同委は七月二十五日、営業終了後の対応策を練るため、中心市街地の商業者や商工会議所役員ら六人から意見を聴いた。また十月十二日には、新館権利者から意見を聴き、同月十七日、城内務市議会議長宛に中間提言書を渡し、議長から市長に提出された。
 同委からの緊急要望は三項目あったが、「駅前の空洞化を防ぐための施設利用促進として、地権者ら関係者と連携・協力し、閉店後も施設を利用すること」など具体性はなく、要望を受けなくても行政として当然考えなければならない内容。
 また、中間提言も「同ビルを閉鎖した状態で時間経過させることがないよう、官民一体で方策を講じてもらいたい」「コーディネーター役を外部から導入するなどの体制整備が急務で、市役所が主体的にサポートしてもらいたい」「地権者はテナント誘致を模索中だが見通しが立っていない。高齢化社会を見据え時代のニーズに合った医療、福祉、教育関係などの機能導入が有望と判断している」「市役所機能の一部移転についても費用対効果を考えて検討してもらいたい」など従来の手法にのっとったもので、目新しさはない。
 一方、市の検討委は「西武跡を今後どのように使うのかは、最終的には権利者が決めること」だとするのが基本的な考え方。
 本館の所有者は伊豆箱根鉄道一社だが、新館は個人、法人、共有所持者十六人がいて、意思統一が欠かせない。
 本館については、市と伊豆箱根鉄道との話し合いの中では、現建物を調査し、継続して使用するには、どのようなことが必要か、またどのように活用できるかを検討しているが、年が明けても結論は出ていない。
 伊豆箱根鉄道の広報担当者は「市長さんから一階と二階は、なんとか利用してほしい、と聴いている。こちらとしても、なんとか希望に沿いたい。以前からテナントを探しているが、目安がつかない」という。
 一方、新館権利者の代表は「皆さんの意向は決まっているが、まだ公表できる段階ではない」と話す。
 新館については権利者が多いことから話を進め.にくいこともあり、市は商業コンサルタントを交えた勉強会を支援している。市によれば、これまで三回開かれた勉強会の中からは、管理組合を立ち上げる方向性を決めることも必要だとする声もあるという。
 市産業振興部の間宮一壽部長は「市の施設が入ったらどうか、と市民からあった。内部的に検討したが、現時点では家賃なども分からないし、また家賃を払ってまで入居する投資対効果があるかなども考慮しなければならない」とする。
 また、本館、新館共に「物販なら現状のまま利用できるが、ホテルなど使用目的が変わると建築基準法にのっとって建物の見直しが必要になるということもあり、早期の決定は難しい」と見ている。
 ただ、「地権者側から『建物は継続使用したいが何か利用できないか』と要望があれば、市としても検討しなけれはならない」とし、地権者が管理組合を立ち上げて意思決定する必要がある考え方を示した。
《沼朝平成25118()号》

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