2014年2月15日土曜日

栗原市長が施政方針:沼朝平成26年2月15日(土)号

栗原市長が施政方針 市議会定例会始まる
 市議会二月定例会は十四日に開会。会期の決定、二十五年度関係議案説明などの後、栗原裕康市長が、二十六年度の市政運営に臨む姿勢や方針、取り組みを明らかにする施政方針演説を行った。概要は次の通り。
 Ⅰ 基本的な考え方
 少子高齢化時代を力強く切り抜けていくために、新年度にあたっては、これまでの規制にとらわれない柔軟な発想でまちづくりに取り組み、停滞感を打破する躍動感あるまちづくりを目指していきたい。
 その推進にあたって、第四次沼津市総合計画に掲げられた三つの方針に沿って説明したい。
 一つ目は「魅力と活力にあふれ、にぎわいに満ちたまち」。
 まちなか居住を推進し、食・住・遊の融合する都市的ライフスタイルの創造を図るとともに、福祉、教育、文化など、質の高い生活環境を提供する都市機能の確保など新しい視点でまちの再横築を進め、活気に満ちた、にぎわいあふれる沼津の顔を取り戻していきたい。
 本市においては、皇室ゆかりの沼津御用邸記念公園があり、白隠禅師ゆかりの地であることなど、世界に通ずる宝を効果的に発信し、交流人口の一層の拡大につなげていく。
 二つ目は「環境にやさしく、安全・安心を実感できるまち」。
 地方都市としての温かみやおおらかさを持ちつつ、都市的魅力を併せ持つ本市の特長を十分に活かし、防災・減災・国土強靭化等の基本的なインフラ整備に努めながら、緑豊かで快適な居住環境の整備を図っていく。
 三つ目は「元気でいきいきと暮らせるまち」。
 安心して子どもを産み育てることができるまちづくりを進めるためには、子育て支援と教育の充実が不可欠。そのためには、男女の出会いを大切にするとともに、教育初期における基礎学習の定着や、子ども達個々の才能の、さらなるレベルアップ、小中並びに中高一貫教育制度の活用による特徴ある教育により、確かな学力の向上を図り、文化・芸術・体育等の生涯学習も充実していく。
 Ⅱ 新年度の主な取り組み
 〔魅力と活力にあふれ、にぎわいに満ちたまち〕
 〈沼津の魅力発信、にぎわいの創出〉「ぬまづの宝」を活用したシティプロモーションを効果的に展開していくため「ぬまづの宝推進課」を新設し全国にPRする。にぎわいご当地ユニットを活用したPR活動、地域資源を活用した体験や交流ができる「ニューツーリズム」の推進や各種イベントの支援を行うほか観光ボランティアガイド育成など、おもてなしの向上を図る。
 沼津港でライトアップやパルの開催等、夜間のにぎわいづくりを進め、興国寺城跡、長浜城跡などの史跡、帯笑園や白隠のみちの整備等、地域の魅力向上に努める。
 七月末には、総合コンベンション施設・ふじのくに千本松フォーラム「プラサヴェルデ」がグランドオープン。開業にあたり、県と共に「フラワーデザイン国際競技会 アジアカップ2014」などのオープニングイベントを誘致する。
 沼津御用邸記念公園など独自性あふれたおもてなしの会場や演出等の開発、アフターコンベンションの充実などに努め、イベントやコンベンションの誘致を図りつつ、おもてなしの機運を市全体で高めていく。
 〈中心市街地活性化〉
 「狩野川活用研究会」を立ち上げ、オープンカフェや水辺のバーベキューなどを実施してきた社会実験事業で、新年度は本格運用開始に向け、中央公園を含めた狩野川界隈に多くの人が集い、にぎわう場として日常化するよう利用促進に向けた取り組みを進める。
市役所都市計画部に「中心市街地整備企画室」を設け、まちなか居住の推進を図るとともに、香陵公園に建て替え移転が予定されている新市民体育館について、周辺関連施設と共に一体的な整備を進めるなど、中心市街地に必要な都市機能の集積を図る。
西武沼津店の新館跡については民間事業者による新たな利用展開が図られることになっており、解体作業が進められている本館の跡地利用については、地権者ら関係者と連絡調整しながら、多くの方々が利用できる空間づくりと活用を促す。
鉄道高架事業については、県と連携し、事業の推進に取り組む。
 〈産業振興〉商工業については、新たに市内に立地する製造業、医療関連産業や中心市街地の空き店舗に出店する事業者への補助により、地域産業の活性化、雇用の創出を図る。
 地域資源を活用した製品開発に対する助成を始め、意欲ある事業者や新たに起業を目指す人達に、成長段階に応じた必要な支援を行っていく。
 依然経済情勢が不安定なことから、小口資金利子補給などにより、中小企業者の経営の安定や合理化を支援する取り組みを継続する。
 雇用の面では、雇用のミスマッチが解消されていない現状から、就労体験を通じ求職者と企業とのマッチングを図る「就労チャレンジ事業」を実施。就業の定着と雇用の維持・拡大に努める。
 農業については、地産地消を進め、後継者の確保や経営基盤の強化など農業の持続的発展のため、地域農業の担い手育成や六次産業化の推進、農地の利用集積、耕作放棄地の発生防止等に取り組んでいく。
 水産業については、水産物の安定供給と流通促進へ、沼津港等に水揚げする市内漁業者への支援を行うとともに、漁業生産の基盤となる漁港施設の維持補修や施設整備に対する補助を進める。
 産業振興や地元の食材を活用した取り組みで、キャンペーン活動の推進、新商品等の研究開発や販路拡大を支援する。
沼津自慢フェスタの開催等を通じ、物産を一堂に集めるだけではなく、食を始めとした質の高い沼津の食文化を広く市内外に情報発信する取り組みが進展しており、こうした若い方々を中心とした活動を支援していく。
 (体系的な交通網の整備〉スマートインターチェンジは、東名愛鷹パーキングエリアが平成二十七年度、新東名駿河湾沼津サービスエリアは平成二十八年度の開設をそれぞれ目指し、新年度は、事業用地の買収、埋蔵文化財発掘調査、道路の改良工事などを実施し、開設に向けた事業の進捗を図る。
 都市の骨格となる、金岡浮島線など主要幹線道路や、原駅前広場の整備は、事業の進捗を図り、交通安全の確保と交通渋滞の緩和を進める。
 〔環境にやさしく、安全・安心を実感できるまち〕
 〈津波・地震対策〉
昨年公表された静岡県第四次地震被害想定の詳細な分析を踏まえ、本年度中に策定予定の「沼津市地震・津波対策アクションプラン」に基づき、市民の命を第一に考えた、ハード、ソフトの両面からの対策を進める。
 具体的な取り組みとして、津波避難路や避難用標識類、防災倉庫の資機材等の整備を進め、新たに、津波避難用の外階段等整備の際の補助金交付制度の創設や避難所運営用資機材を拡充する。
 平時にも使用でき、津波避難のシンボル的施設として計画中の、ときわ保育所南側の築山整備の建設工事を行い、平成二十三年度から高台移転を進めてきた西浦保育所は、本年度中に西浦小学校敷地内への移転が完了し、四月に新しい園舎での保育を開始する。
 津波避難路沿いの老朽化したブロック塀は、撤去や改善費用に対する助成を行ってきたが、新年度は補助率を四分の三から一〇〇%に拡充する。
 (消防・救急体制の充実〉消防の広域化へ新たな消防指令センターの実施設計や消防・救急無線のデジタル化のため基地局の整備工事などを進め、西部地域の新たな災害活動拠点となる消防庁舎について整備推進に努め、市全体の消防力の充実・強化を図る。
 高規格救急車の更新や救急救命士を含む救急隊員の教育、応急手当ての普及啓発を進める。
 〈インフラ・公共施設の耐震化、長寿命化〉
多くの公共施設が建設から数十年が経過し、修繕や大規模改修の必要に迫られる中、人口減少社会を見据え、その適正配置や効率的な活用策を経営的な視点か考える「ファシリティマネジメント」を推進するため、基礎資料として、公共施設の現況や課題、将来にわたるライフサイクルコストなどを明らかにし、データベース化を図っていく。
 小中学校については、耐震化は全て完了しているが、施設の老朽化に対するため、原小や門池中校舎の大規模改修などを実施。橋梁や道路は、黒瀬橋の耐震補強工事を継続して進めるとともに、特に公共性の高い路線や交通量の多い路線から計画的に舗装の耐久工事を進め、通行者の安全確保に努める。
 市営住宅は、「沼津市営住宅等長寿命化計画」に基づき、建物や付属設備の老朽化が著しく、緊急を要するものから順に、計画的に修繕していく。公園は、黄瀬川公園や御浜岬の整備に着手するほか、「公園長寿命化計画」に基づき、老朽化が進行した施設について、計画的に更新していく。
 〈治水対策〉「大平地区豪雨災害対策アクションプラン」に基づき大平江川の河道改修や橋梁架け替えを行うほか、「沼川・高橋川流域豪雨災害対策アクションプラン」に基づき浸水の軽減に取り組んでいく。
 沼川新放水路の整備については、市の計画が国土交通省の「100/h安心プラン」に採択されたことを契機として、一日も早い完成に向け県に要望していく。
 〈環境にやさしいまちづくり〉地域エコリーダーの養成や環境市民大学の開催などを引き続き行い、また、太陽光発電システム設置助成を実施するとともに、アースキッズ事業など、地球温暖化防止対策の普及啓発を図っていく。
 沼津の森整備事業では、災害に強い森づくりと環境にやさしいまちづくりを推進するために、五回目の植樹祭を開催する。
 昨年九月一日から改正動物愛護管理法が施行され、飼い主の終生飼養責任が法律上明確に記された。本市ではこれまで、人間に捨てられるなどして地域に住みついている飼い主のいない猫の新たな繁殖を防ぐため、不妊去勢手術を助成してきたが、引き続き実施するとともに、西浦地区に予定 されている動物愛護施設について、できる限りの支援をするなど、人と動物が共生できる社会の実現を目指す。
 廃棄物対策については、3Rの推進を図り、ごみの発生の抑制を図る。
 ごみの中間処理施設の整備については、周辺住民との合意形成を図りながら、事業手法の検討、一施設整備基本計画の策定、生活環境影響調査な「どを実施していく。
 下水道については、人口密集地を優先的に整備するなど、効率的な整備を進め、普及率の向上に努めていく。また、下水道事業の長期的な安定経営を目指し、四月から、下水道使用料の改定を行う。協力のほど、お願い申し上げます。
 〔元気でいきいきと暮らせるまち〕
 (あたたかさに満ちた親切なまちづくり)新年度において、今沢及び内浦の地区センターについて建設工事を進め、平成二十六年度中の開館を目指す。また、戸田地区で建設が進む「くるら戸田」については、「道の駅」への登録を目指し、準備を進めていく。
 市民協働によるまちづくりについて、新たに、必要な消耗品などの提供を市が行い、市民が主体的に公共施設の環境美化活動を行う沼津市版「アダプトプログラム」を導入するとともに、地域コミュニティの様々な課題等の解決に向けた技術向上のための研修事業など、さらに一歩進んだ協働のまちづくりを目指していく。
 〈夢ある人を育てるまちづくり〉平成二十五年度から「子ども・子育て支援法」に合わせ「子ども・子育て会議」を開催し、新たに「子ども子育て支援事業計画」を策定する。また、平成二十七年度開設予定の本市初となる認定こども園「しょうえい幼稚園」の施設備を支援し、保育所等の施設の充実を図っていく。
 さらに、昨年九月に開設した、妊娠や出産に関して情報発信をするフェイスブックページ「ぬまづすごやか妊娠応援サイト」の周知、拡充を図るとともに、育児相談や子育て中の人の交流の場「子育て支援センター」「子育てサポートキャラバン」などの運営、ひとり親世帯の自立促進のための資格取得等の支援などについても引き続き実施。地域の中で安心して子どもを産み育てることができる環境づくりを進めていく。
 教育の充実について新年度は特に、児童生徒の基礎的な知識の確実な定着を図るため、新たに「学力保証プログラム事業」を立ち上げる。その中で全市一斉に小学五年生と中学二年生を対象とした学力調査を実施するなど「全国学力・学習状況調査」と市独自調査の二つを活用し、教員の学習指導の改善に役立てていく。
 また、研究指定校制度を新設し、教員の授業づくりや指導技術の向上を目指した研修等を進め、研究成果を市内各校に広めていく。昨年、小学校十二校で行われた退職教員や地元の協力による放課後学習支援を小学校全校に拡大する。
 いじめや不登校児童・生徒対策については、いきいき学校生活応援スタッフ配置事業及び心の教室相談員配置事業を実施。小中学校それぞれに、子ども達が悩みや不安を気軽に話すことができる支援員や相談員を配置していく。
 いじめ等の未然防止及び組織的な対応が図られるよう、今後、各小中学校で、いじめ防止基本方針の作成や、いじめ防止の中核となる組織を設置。よりきめ細かな指導をすることで、子ども達の心身共に健全な成長を支えていく。
 静浦小中一貫学校は順調に整備が整い、四月七日、県内の公立学校では初の施設一体型小中一貫校として、開校式を開催する運びとなった。今後の小中一貫教育のモデルケースとなるよう、九年観の一貫した指導により、教育の充実を期す。
 〈生涯いきいき暮らせるまちづくり〉 健康づくりに関する施策や事業の企画、健康情報の提供、知識の普及啓発に取り組み、元気アップ教室や指導者の派遣、からだセルフケア事業などを実施。母子健康増進事業として妊婦の健康診査や教育、相談、訪問指導、歯科保健サービスの提供なども実施する。「沼津市民の歯と口の健康づくり条例」に基づき「沼津市歯科口腔保健計画」を策定し、歯と口の健康づくりの推進を強化していく。
 市立病院は、地域の中核的医療機関として安全・安心な医療サービスの提供に努めるとともに、一層の経営改善を進める。
 スポーツ環境の整備では、大岡市民運動場の全面改修工事が終了し、四月にオープンする。生涯学習の充実では、昨年八月、市内の高校生達が市政等のテーマについて自由に考えを述べ合う「高校生しゃべり場inぬまづ」を開催したが、約一万人の高校生達の若い率直な意見を引き出す場として引き続き実施する。
 〈心のかよう支え合いのまちづくり〉 高齢者施策では、「沼津市高齢者保健福祉計画」が平成二十六年度で終了することから、二十九年度までを対象期間とする「第7次沼津市高齢者保健福祉計画」を策定。小規模特別養護老人ホームや軽費老人ホーム等の高齢者福祉施設は、国や県の交付金等を活用して整備に努めていくとともに、高齢者の生きがいと健康づくりを推進していく。
 障害者支援では、障害者総合支援法や児童福祉法等に基づいて支給される自立支援のための介護・訓練等各種サービスの適切な運用を図ることで、障害のある人が、自立した日常生活や社会生活を営むことができるよう支援する。
 生活保護制度等の運用については、支援が必要な人を確実に保護するため制度の適正実施に努め、働く能力を有する受給世帯や生活保護に至る前の段階にある生活困窮者の自立促進へ、個々の状況に応じて就労支援する。貧困が次世代へ連鎖することを防ぐため、生活保護受給世帯の中学生を対象に学習の場を提供するとともに、教育支援員による教育相談や学習支援を行い、高校進学を通じて就労を確保し、子どもの自立を図る。

《沼朝平成26215()号》

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