2015年7月1日水曜日

「高尾山古墳調査費可決」・市長高尾山調査に慎重な姿勢

「予算直ちに執行するつもりはない」
 市長高尾山調査に慎重な姿勢
 市議会六月定例会最終日の六月三十日午前十時から本会議が開かれ、委員会付託案件などの採決が行われた。
 今定例会に上程された議案のうち、一般会計補正予算案には都市計画道路沼津南一色線の建設に伴う高尾山古墳の取り壊し調査予算案も含まれている。議長を除く二十七議員による採決の結果、補正予算案は賛成二十一、反対六で可決された。
 本会議終了後、栗原裕康市長は記者団の取材に応じ、「補正予算を、直ちに執行するつもりはない」と明言。慎重な姿勢を見せた。
 執行を保留する理由としては「高尾山古墳に対する市民の関心が盛り上がってきている。さらに沼津のイメージの問題もある」と述べ、「予算案が可決されても執行が保留された例は過去にもある」と付け加えた。
 また、古墳の保存問題について栗原市長は、文化庁や国土交通省、県などと改めて協議すること、中立的な学識経験者を交えた議論の場を設けて市民の傍聴も可能とすること、などの意向を表明した。
 公開検討会の開催日程については未定だが、なるべく早期を目指すという。
 また、市長は「私は従来から、道路と古墳の両立が望ましいという立場を取り続けていた」と語るとともに、「(保存問題については)報道や学者の意見を聴くだけでなく、古墳を実際に見て考えてほしい」と市民に呼びかけ、一般質問の答弁時と同様の考え方を改めて示した。
 調査予算案については、古墳保存陳情の審査会や委員会を通じ、反対の立場の議員から「古墳を取り壊すことについての市民への説明が行われていない」という批判があっただけでなく、賛成の立場の議員からも「市民への周知」を求める意見が相次いでいた。市長が公開検討会の開催を決断したのは、こうした動きへの配慮と見られる。
【沼朝平成2771()号】

「高尾山古墳調査費可決」
沼津市議会 市長「時期は保留」
 沼津市議会は30日の6月定例会最終本会議で、市が道路建設のため発掘調査を実施しながら取り壊す方針を決めた高尾山古墳(同市東熊堂)の調査費5100万円が盛り込まれた本年度一般会計補正予算案を賛成多数(賛成21人、反対6)で可決した。
 閉会後に報道陣の取材に応じた栗原裕康市長は、調査に入る時期について「しばらく保留する」と述べた上で、文化庁や国土交通省、県、学識経験者らを交えた協議会を設け、その意見を参考にしながら今後の方針を決める考えを示した。
 協議会について「なるべく早く準備する。内容は市民に公開する」と話し、「もともと古墳と道路の両立を前提に考えてきた。協議する中で、両立の新たなアイデアが出てくるかもしれない」と語った。
 議案の討論では、古墳取り壊しに反対の立場の市議が「国民的な財産、市民の誇りとして、あらためて市民とともに議論するべき」と訴えた。賛成の立場の市議は「必要な予算の追加。ただ、今後も引き続き関係機関と協議しながら最良の保存、活用方法を検討してほしい」と話した。
 これまでに市は2016年度末までの約2年間で古墳の墳丘全体を削り取る発掘調査を行いながら墳丘などを取り壊した後、17年度から古墳跡付近の道路建設工事に着手する方針を示している。
【静新平成2771()朝刊】

道路推進「早期着工を」
古墳存続「慎重に検討」
 高尾山古墳の調査費を盛り込んだ補正予算案の可決について、沼津市が進める都市計画道路「沼津南一色線」の早期着工の要望書を栗原裕康市長に提出した周辺5自治会の一つ、東熊堂自治会長の杉山僖沃さん(67)は「ひとまず良かった。地域住民は転居など多大な犠牲を払っている。文化財を否定するつもりはないが、早期に道路建設を進めてほしい」と訴えた。
 同古墳の存続を求める陳情書を浅原和美市議会議長に出した3市民団体の一つ、「高尾山古墳を考える会」代表の瀬川裕市郎さん(76)=元沼津市歴史民俗資料館学芸員=は議会傍聴後、「道路の取り付け方を含めて慎重に検討してほしい」と要望した。「市民のほとんどが古墳の価値を知らないのが問題」と述べ、陳情書を提出した他の2団体と連携して7月中旬から学習会や街頭署名を行う意向を示した。

【静新平成2771()朝刊】

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