2019年12月17日火曜日

放置された旧三津坂隧道 歴史と小説登場の価値あるが


 放置された旧三津坂隧道
 歴史と小説登場の価値あるが
 ○…知り合いに誘われ、内浦三津と伊豆の国市長岡を結ぶ旧三津坂隧道(トンネル)を東の長岡側から見学した。そこでは高齢の男性がモウソウチク、アオキなどの低木を伐採し、両側斜面から道路に崩落堆積した土砂を搬出するなど奉仕作業をしていた。
 ○…車を止めた場所からトンネルの出入り口まで50㍍程、ぬかるんだ泥道を進むと、そこには旧天城隧道と遜色ない石造りのトンネルがあった。奉仕作業をしていたのは沼津市立図書館近くに住むという男性で、今年、これまでに78日をボランティア活動に費やしているという。
 ○…懐中電灯もないまま入ったトンネル内は真っ暗。道路面は荒れ、内部の壁面を把握することはできなかったが、出入り口を見た限りでは歴史遺産としての価値が伝わってきた。この旧三津坂陽道道の竣工は1897年で、旧天城隧道の7年前。
 ○…トンネル幅は4㍍弱で全長は170㍍川端康成の『伊豆の踊り子』で知られ観光客が訪れる旧天城にサイズでは及ばないものの、旧三津坂は井上靖の『しろばんば』で洪作少年が三津に住む叔母を訪ねて通った道。今でも時折、観光客が訪れている。
 ○…旧三津坂を訪れた翌日、沼津市の道路管理課に問い合わせると、トンネルを管理するのは県で、1973年に県から市への移管の打診があったが、移管に伴い市が出した条件で折り合わず今日に至っているという。「歴史遺構としての価値があるのではないか」と言うと、「それは文化振興課の話に…」。
【沼朝令和1年12月17日(火)号】

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