2019年12月5日木曜日

入札妨害 沼津市職員新たに逮捕


入札妨害 沼津市職員新たに逮捕
 県警 価格漏えい疑い
 駐輪場改修工事の予定価格の漏えい容疑で市職員ら3人が逮捕された沼津市で4日、新たに道路改良工事でも価格情報が漏えいした疑いが浮上し、沼津署と県警捜査2課は公契約関係競売入札妨害の疑いで市工事検査課課長補佐松本一弘容疑者(50)=同市東椎路15334=を逮捕、土木建設会社の元社長植松真一容疑者(47)=同市白銀町82、公契約関係競売入札妨害罪で起訴=を再逮捕した。県警の一連の捜査で、同市の公共工事を巡る情報漏えいの疑惑が拡大した。
 業者元社長再逮捕 松本、植松両容疑者の逮捕容疑は、市が201811月に実施した道路改良工事の一般競争入札を巡り、同10月中旬、担当の道路建設課に勤務していた松本容疑者が植松容疑者に設計価格を教え、同社に最低制限価格に近い金額で同工事を落札させて公正な入札を妨害した疑い。捜査関係者によると、松本容疑者は容疑を認めているという。
 同署などによると、2人は業務を通じて知り合い、飲食を共にする仲だった。松本容疑者は当時、同工事の設計価格を知る立場ではなく、同署などは何らかの方法で価格情報を入手したとみている。
 市発注公共工事を巡っては、駐輪場改修工事の入札予定価格の漏えいがあったなどとして植松容疑者のほか、市工事検査課主任筑木(ちくぎ)和正被告(62)=伊豆の国市北江間=ら2人が公契約関係競売入札妨害罪などで起訴されている。
わずか8000円差で落札
 公契約関係競売入札妨害の疑いで再逮捕された植松真一容疑者が社長を務めていた沼津市の土木建設会社は、設計価格の漏えいがあつたとされる同市原地区の2018年度道路改良工事を、最低制限価格(税抜き)のわずか8千円差で落札していた。
 市などによると、同工事の最低制限価格は19992千円で、同社など4社が参加した。同社以外は辞退し、同社の応札額は2千万円で最低制限価格に近似していた。
 同社は前回の逮捕容疑となった18年度JR原駅駐輪場改修工事でも、最低制限価格(同)の2289万円を3万円上回る2292万円で落札。このほかにも18年度には最低制限価格に近似した価格で複数の市発注工事を落札し、沼津署などは複数の市職員が関与した疑いがあるとみて調べていた。

 「信頼失墜」市長が謝罪
 
市発注の工事を巡り設計額を漏らしたどして、市職員が再び逮捕された4日、頼重秀一市長は「市政への信頼を失墜させた」と謝罪。「(市役所内に)あしき風土や体制があるならば一新させる」と述べた。
 逮捕された市工事検査課課長補佐の松本一弘容疑者(50)は、民間の建設会社から20104月に入庁。水道部や建設部を経て、194月から工事検査課課長補佐を務めていた。上司は、明るい性格で、仕事に関してはまじめに取り組んでいたと説明した。
 事件があった1810月当時は、道路建設課道路整備係の主査。入札情報を漏らしたとされる市道改良工事は同課街路整備係の担当で、松本容疑者は設計額を知り得る立場になかったという。市は今後、設計額を知った経緯を調査していく方針。
 松本容疑者は、10月に逮捕、起訴された工事検査課主任の筑木(ちくぎ)和正被告(62)とは、今年4月まで同じ部署で働いたことはなかった。筑木被告と一緒に逮捕された元市職員とも、在職期間は重なっていない。
 市は11月に不祥事再発防止対策本部会議を設置した。頼重市長は「2人もの逮捕者が出ている以上、市役所改革をしつかりと行わなくてはいけない」と強調した。
【静新令和1年12月5日(木)朝刊 三面記事】

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