2021年4月14日水曜日

知事選 2021 自民県連 岩井氏擁立へ 【静岡新聞令和3年(2021年)4月14日(水)朝刊】

 

知事選 2021

自民県連 岩井氏擁立へ



川勝氏は正式表明 知事選構図固まる

 任期満了に伴う知事選(63日告示、20日投開票)で、自民党県連は参院静岡選挙区選出で党所属の国土交通副大臣岩井茂樹氏(52)の擁立に向け最終調整に入った。13日、関係者への取材で分かった。川勝平太知事(72)は同日の定例記者会見で、4選を目指して無所属で立候補すると正式表明。難航していた自民の独自候補擁立の動きが明らかになり、選挙戦に向けた動きが一気に加速した。=関連記事431面へ

 岩井氏は党県運に対し、出馬に前向きな意向を示しているという。岩井氏は同日夜、静岡新聞社の取材に対し「現段階でコメントすることはない」と述べた。岩井氏の出馬により、4選を期す現職に県内選出の自民国会議員が挑む選挙戦の構図が固まる。

 川勝氏の県政運営を巡って批判的な立場をとってきた自民県連は対抗馬の擁立を目指し、水面下で県内出身の官僚らと接触を重ねてきた。岩井氏の擁立に関しては既に、党本部の幹部や官邸にも伝えられているとみられる。

 岩井氏は名古屋大大学院修了。参院議員秘書などを経て2010年の参院選に静岡選挙区から出馬して初当選した。現在2期目。これまでに経済産業政務官や党水産部会長を歴任している。

 川勝知事は会見で、直面する課題としてリニア中央新幹線工事に伴う大井川の流量減少問題や新型コロナウイルス対策を挙げ「長期的に対応していく必要がある」と述べた。この時期の出馬表明については「リニアに関する応援の声が寄せられ、3月、4月と出馬の要請も来るようになった。継続して取り組むことを示したかった」と理由を語った。

 リニアとコロナはともに命に関わる問題として「党利党略にしてはいけない。県民一丸となって取り組む課題」と強調。「政策論争をするべき時期ではない」とも述べ、選挙期間中も公務に専念する考えを示した。

 7日付で連合静岡に推薦願いを出したことも明らかにした。

 川勝氏は早稲田大教授、静岡文化芸術大学長などを経て2009年の知事選で自民推薦候補を破り、初当選。13年は自民支持候補を制し、再選。17年の前回選では無所属新人候補を退け、3選を果たした。

【静岡新聞令和3(2021)414日(水)朝刊一面】

 

出馬の舞台裏 知事戦2021 ㊤

4期目を集大成に」

川勝氏表明で強い意欲

統一選にらみ自民けん制

 「長期的な対応が必要な事案がある。継続して、この川勝がやる」。13日の定例記者会見で知事選に4選出馬を表明した川勝平太氏は、出馬の理由をとうとうと述べた。

 県内政財界、県庁内いずれも川勝氏の出馬表明に特段の驚きはない。「リニア、コロナが最優先」「任を離れるのは難しい」。川勝氏はこれまでの記者会見で、県政のかじ取りに度々意欲をにじませた。「想定内だ」と川勝氏の周辺は明かす。

 「2年後、静岡県の政治を転換する。いいかげんな政治家は静岡にいなくなる」。3月下旬、川勝氏は周辺関係者に漏らした。ターゲットは2023年春の次期統一地方選で、静岡など政令市長選や県議選が控える。「知事選をその土台にする」。関係者は川勝氏の言葉に、「4期目を集大成」とし、県議会の自民勢力や静岡市とのあつれきに終止符を打つ強い意欲をくみ取った。

 一方、公では態度表明がないまま時間が経過した。川勝氏に近い県議会会派ふじのくに県民クラブの幹部は34月、何度も知事室に入った。「早く表明を」。全県で選挙を行うには一定の準備と支援体制が必要なためだ。それでも同氏は煮え切らなかった。

 川勝氏に変化が表れたのは47日朝。鈴木康友浜松市長に政財界有志が知事選の出馬要請するとの一部報道が流れた。川勝氏は記者団に「関心が高まっているので、早々に表明しなければ」と語った。同日昼には県庁の知事室恩同会派幹部に「出ますのでよろしく」と官言。野党の国会議員らに矢継ぎ早に電話で意向を伝え、同会派議員を通して連連合静岡に推薦願を届けた。

 4選出馬が既定路線と目される中、川勝氏は対抗馬を気にしながら表明の時機を探っていたとの見方がある。「(川勝氏は)何かきつかけがほしかったのだろう。投げ出したり、負けたりするのを嫌う性分。侍機を見極めたのでは」。同氏を長年支援するベテラン県議はそう指摘する。

任期満了に伴う知事選は告示まで2ヶ月を切り、一気に動きが表面化した。現職知事に、自民党所属の現職国土交通副大臣が職を辞して挑む構図が固まりつつある。それぞれが出馬に至るまでの経緯と思惑を追った。

【静岡新聞令和3(2021)414日(水)朝刊31面】

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