2009年6月4日木曜日

栗原市長と語る会(愛鷹地区)

愛鷹地区きらめきミーティングで市長
 旧愛鷹小講堂保存したい意向も
 不法投棄に雇用対策で
 道路整備、治水に課題
 愛鷹地区での市長と語る「地域を語る沼津きらめきミーティング」が二日夜、愛鷹公民館で開かれ、地元からは自治会役員約七十人、市側から栗原裕康市長はじめ市職員三十人が出席した。同地区のテーマ「家庭ゴミ・産業廃棄物の不法投棄」「愛鷹のまちづくり」「愛鷹公民館旧館の跡地利用」について栗原市長ら市当局の考えを聞いた後、意見交換した。
 勝亦芳紀・愛鷹地区連合自治会長のあいさつに続き、市長が沼津のまちづくりの基本姿勢について語る中、「適度に都会で、適度に田舎で、東京に近く、気候温暖」という特長を生かした環境都市づくりを希望した。
 生活ゴミ・産業廃棄物の不法投棄市長は、不法投棄防止のためのパトロール強化、不法投棄を助長しないための不法投棄物の撤去回収が必要だとし、国が補助金を出す失業者雇用対策を利用し、不法投棄ゴミのパトロール・回収と市内清掃事業を検討していることを示した。
 室伏孝修・生活環境部長は、愛鷹地区のみならず市内全域の山間部・道路・河川・海岸などへの不法投棄物の監視、回収、清掃を集中的に、雇用対策として実施するため、ごみ対策推進課や河川課、水産海浜課、維持管理課、道路建設課など関係各課で協議する、とした。
 愛鷹山の林道や農道などへの不法投棄ゴミは月二トン以上。ゴミを回収するだけでなく、捨てられやすい市街化調整区域の基盤整備を求めた質問者に対して土屋一成・建設部長は、市街化調整区域は整備優先順位が低いことを説明。
 次の発言者は、ゴミを捨てるのは大人だとし、「子どもは小さい時からゴミを捨ててはいけないことを教わっているので、ゴミを捨てないよう親に言える学校教育を行ってほしい」と要望した。
 愛鷹のまちづくり 市長は、青野八石など同地区に常襲浸水地帯があることについて「申し訳ない」と謝罪。沼川の排水は「新放水路を建設するしかない」としたが、計画されているトンネル方式は「短期間で施工しなければならないが、予算がない」とした上で、完成までの問、遊水地・貯水池を造るなどして対応することを示した。
 市立病院東側の市街化調整区域について市長は、「市としては流通の拠点にしたいと考えるが、地権者は商業施設を希望している」とし、富士市と清水町の大型商業施設に客を奪われている現状を示し、地権者の考えに理解を示した。
 放水路建設について土屋建設部長は「資金がネック」だとし、対応策として高橋川支流・池田川の改修や、排水機場の建設、暫定貯水池の整備、上流部への調整池建設などを挙げた。
 また、金岡・浮島線重点街路(通称・根方バイパス)整備事業について同部長は、普通の道路建設に比べて根方バイパスは地盤が軟弱なため五-七倍の予算が掛かるとした上で、「工法の見直しを考慮中」だとした。
 質問に立った柳沢住民は、高橋川からのオーバーフローを防ぐためには早目の川底浚渫(しゆんせつ)が必要だとし、青野の住民は、浸水後の消毒に必要な市からの消毒剤提供がスムーズにいかなかったとし、上流部にある既存砂防ダムの浚渫を要望した。
 公民館旧館の跡地利用
 ミーティング開会前に初めて旧館(旧愛鷹小講堂)を見学したという市長は、「懐かしい建物で残したいほど。皆さんが愛着を持っていることがよく分かった」とし、保存を含めて今後検討する考えを示した。
 村上益男・教育次長は現在、市内公共施設の耐震化は国の規準よりも厳しくして実施していることを説明した上で、「(旧館の)取り壊しを決めたわけではない」としながらも、「地区センターがない他地区とのバランスを考えて進めなければならない」とした。
 一通りの質疑応答終了後に発言を求めた男性は「国、県、沼津市も同様、道路改修を小刻みに進めているが、一気にやらないと効果が出ない」とし、諌早湾の干拓事業を例に挙げ、「農地を増やすためにやったが、出来た時は必要なくなった。鉄道高架もしかり。案が出た時に完成していれば効果があったが、少子化を迎える今、造る意味がない」と主張。
 これに対して市長が「民主主義とは、いろいろな皆さんの意見を調整しなければならない、ということで事業が遅れる」と答えたのに対し、発言者は「見直したらいい。やるなら早くやるべきだ」としたが、市長は「批判ばかりでなく、褒めることもしてほしい」と理解を求めた。
(沼朝平成21年6月4日(木)号)

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