2013年2月8日金曜日

「人口対策」 中心市街地で居住促進

13年度予算案 沼津市 上
「人口対策」 中心市街地で居住促進



 人口減少が深刻な沼津市。2007年までは21万人台を維持していたが、15年には20万人を切ると推計されている。ただ、JR沼津駅周辺の市街地の様相はやや異なる。
 市都市計画部によると、1980年に1万人以上だった駅南地区の人口は、2005年に約8千人にまで減少したものの、その後は緩やかに増加している。高橋強部長は「郊外から都心回帰する中高年が増えている。中心市街地の低迷が叫ばれているが、住宅の需要はある」と分析する。
 沼津市は学校や企業が多いため、昼夜間人口比率(夜間人口100人当たりの昼間人口)が107・5と県内で2番目に高いというデータもある。だが、ある地元不動産業者は「駅の南北が鉄道で分断されているため不便さが目立ち、他の街の物件を選ぶ人もいる。都市構造上、街の強みを生かし切れていない」と指摘する。
 駅周辺は鉄道の高架化を前提に再開発が進められてきた。だが肝心の高架化はさまざまな利害が絡み、凍結状態が続く。県は住民の合意形成作業を続けているが、先行きは不透明なままだ。
 市は都市機能の整備を進めながら、新たな定住人口対策に乗り出す。これまで商業で発展してきた中心市街地を、住宅街として活性させるために住宅政策推進事業(900万円)に取り組む。
 中心市街地に対する詳細なニーズを居住者と住宅供給のデベロッパーを対象に調査し、居住促進に向けた具体的な指針を策定する。栗原裕康市長は高齢化時代を見据え、「車の免許証を返納した高齢者でも、県東部で最も都会的な生活を送れる地域にしたい。居住者が増えれば、周辺の商業もおのずとにぎわうはず」と構想を練る。
 沼津駅前では1月末、西武沼津店が閉店した。「いつまでも寂しいとばかり言っていられない。沼津も新しいまちに生まれ変わらなきゃ」。商都のシンボルが消えた商店街で衣料品店を営む男性(52)は、自らに言い聞かせる。
 ◇
 沼津市の2013年度一般会計当初予算案は2年連続減の677億円。厳しい財政事情の中、人口対策、防災力強化を進め、市内に漂う停滞感を打破するため市民参画も積極的に促す。それぞれの取り組みを新規事業を中心に検証する。
《静新平成25年2月8日(金)「検証」》

0 件のコメント: