2013年2月16日土曜日

栗原市長が25年度施政方針

栗原市長が25年度施政方針を表明
 市議会2月定例会始まる
 市議会二月定例会は十五日に開会。諸般の報告、会期の決定、二十四年度議案説明の後、栗原裕康市長が二十五年度における施政方針を明らかにした。施政方針の概要は次の通り。
 【基本的な考え方】
 昨年末の総選挙を通じ、政治が国民の期待に応えることがいかに難しいかを改めて感じさせられた。本市においても人口減少、高齢化が確実に進行していく中、かつての右肩上がりの経済成長が続いていた頃とは明らかに違った対応が市政に求められている。すなわち、年々増大する社会保障をはじめとする義務的経費と、増額を期待できない歳入との乖離をどうやりくりするか。
 市民にとっては、より高く、よりきめ細かな市民サービス、さらには道路、下水道、公共施設等の社会資本のさらなる充実を市政に期待することは至極当然であり、中心市街地の退潮傾向を何とか打開する方策を市政に求めることも、無理からぬこと。
 しかしながら、市民においては時代の変化を認識してもらい、行政に対する要求のみならず、市民自らが市政に参画し、社会や地域にどうすれば自分達が貢献できるかも考えていただきたいと願っている。優れたアイデアのもと、市民が積極的に企画運営し、行政がしっかりと後押しするという実績が積み重なっていけば、まちの活力向上につながるのではないか。
 さらに、市役所だけでなく、病院、学校、NPO、企業、自治会、市民グループ等が「公共的使命」を自覚し、それぞれの立場で社会的課題に対処していくという「新しい公共」を沼津に広めていくことも、これからの沼津の発展にとって大きな鍵となると強く感じている。
 【新年度の主な取り組み】
 一、市民の命を守る、安全・安心のまちづくり
 防災・滅災対策今年六月頃に公表される県の第四次地震被害想定を踏まえ、従来の地震・津波対策を再検証した上で、新たな地震・津波対策を取りまとめ、ハード、ソフト両面における防災・減災対策を進めていく。
 具体的な取り組みとしては、津波避難路の整備、避難路への誘導看板や海抜表示板の増設、防災倉庫や避難所の資機材の整備等を引き続き進めるとともに、新型防災ラジオの有償配布や啓発用のハザードマップの作成などを進め、減災対策に努める。
 既存建築物の耐震化を促進するための耐震診断や耐震補強への助成、避難路の安全確保のためのブロック塀の撤去や改善、狭い道路拡幅の取り組み等を引き続き進めていく。
 津波対策としては、西浦保育所を高台にある西浦小の敷地内に移転するための建設工事に着手し、平成二十六年四月の開所に向けて準備を進めるほか、ときわ保育所の南側への築山の整備に着手いたします。また、二つの河川に挟まれた戸田・小中島地区においては、緒明(おあけ)児童公園に津波避難タワーを整備することとした。
 新たに建設している「静浦小中一貫学校」については、屋外避難階段の設置や防災倉庫、電気・機械設備の屋上への設置等により、児童生徒はもとより周辺住民の安全を確保していく。
 消防・救急体制の強化・充実については、広域化に向けた取り組みを引き続き進めるとともに、西部地域における新たな消防拠点施設の建設予定地の地質調査や、消防ポンプ自動車や指揮車、救命資機材等の整備・更新、消防団詰所の計画的な整備等を行う。
 治水対策 常襲浸水地域への対策として、青野排水樋門の築造など沼川・高橋川流域の総合的な治水対策を引き続き進めるとともに、今年度策定した「大平地区豪雨災害対策アクションプラン」に基づき、大平江川の河道改修なども行っていく。
 沼川新放水路の整備については、今年度、事業主体である県が沼川の河川整備計画を策定したところであり、一日も早い完成を引き続き県に要望していく。
 長寿命化対策 市民生活のライフラインとして、安定供給が求められる水道事業については、施設の耐震化や水道管の更新等に引き続き取り組み、橋梁や道路については、黒瀬橋の橋脚の耐震補強工事や幹線道路の補修計画の策定等に取り組むとともに、引き続き点検や保守を進めていく。
 小中学校については、校舎や屋内運動場等の建物の耐震化が今年度中にすべて完了するが、新年度においては、天井や照明、壁等の非構造部材の落下防止を図るための点検調査を行う。
 市営住宅については、「沼津市営住宅等長寿命化計画」に基づく整備や老朽化対策を進めているが、新年度は、八重団地の敷地整備工事等を行う。
 公園については、一部で遊具等の老朽化がみられることから、今年度、「公園施設長寿命化計画」を策定した。この計画に基づき、誰もが安心して遊べるよう、公園施設の計画的な保全管理や更新を行っていく。
 身近な生活環境の整備地域コミュニティ活動を支援するため、地区センターの整備を進めているが、門池地区において、来年二月の開館を目指して引き続き施設を建設し、今沢地区及び内浦地区で、平成二十六年度中の供用開始を目指し、新年度から施設建設に着手する。
 戸田地区では、地区センター機能を兼ね備えた「(仮称)戸田地域活性化センター」の建設に着手し、平成二十七年度当初の供用開始を目指す。
 公共交通の利便性向上について、片浜地区や原地区等を循環するミューバスは、より利便性の高いルートやダイヤの検討を行うとともに、戸田地区中心部と井田を結ぶ路線は、西浦江梨まで延長し、新たにデマンドタクシーでの運行を来月から試験的に開始し、新年度から本格的な運行を行う。
 環境対策 
 これまで「エコのまち沼津」の推進に力を入れてきたが、その輪が確実に広がっていることを喜ばしく感じている。引き続き「エコのまち沼津」の推進を図り、エコ活動コンテスト等の実施により、市民のエコ活動に対する関心や意識を高めるとともに、事業者や市民団体と横の連携を図りながら、地球温暖化防止対策の普及啓発を進めていく。
 ごみの中間処理施設の整備については、周辺住民との合意形成を図りながら、ごみ処理方法やエネルギー利用について検討し、施設整備基本構想を策定する。
 下水道については、人口密集地を優先的に整備するなど、より効率的な整備を進め、普及率の向上に努めるとともに、未接続の事業所や家庭に働きかけ、下水道への接続を引き続き促進していく。
 近年、イノシシやシカ等による農作物被害が多く発生していることから、市民の安全確保や被害の未然防止を図るため、農地への防護柵等設置に対する支援を行うなど、有害鳥獣対策を進めていく。
 二、誰もが生き生きと暮らせるまちづくり 
 福祉・健康・教育子育て環境の充実について、引き続き、こども医療費の助成を行うとともに、未熟児に対する医療費助成の窓口を市に一元化し、手続き等の利便性の向上を図る。現在建設を進めている「静浦小中一貫学校」校舎内に放課後児童クラブを整備する。
 高齢者に対する施策としては、「第六次沼津市高齢者保健福祉計画」に基づき、小規模特別養護老人ホーム等の施設整備に対して補助を行うなど高齢者福祉の増進を図っていく。
 障害者支援については、新年度に法改正が行われ、障害者の範囲が変更となることから、さらに各種制度の周知に努め、適切な障害福祉サービスの提供を図っていく。
 生活保護制度の運用については、高齢者世帯や失業等による生活困窮者世帯の受給が増加していることから、支援が必要な人に対して確実に保護を行うとともに、経済的、社会的な自立を促すための就労支援などを行い、適正実施に努める。
 健康づくりでは、現在任意で行われているヒブワクチン・小児肺炎球菌ワクチン・子宮頸がんワクチンの各予防接種について、国の施策に対応して定期予防接種化を図る。
 市民体育館の整備については、現施設の耐震化が構造上困難であることから、新たな体育館を建設することとした。早期の着工に向けて取り組み、大岡市民運動場についても、駐車場や夜間照明の整備工事を進め、施設の利便性向上に努める。
 さらに、市全体のスポーツ環境の整備や安全の確保を図るため、沼津市スポーツ推進基本計画の策定にも取り組む。
 児童生徒のいじめ対策としては、今年度中に改訂版「いじめ対策マニュアル」を策定することから、これらを基に、よりきめ細かな指導等を進め、子ども達が心身ともに健やかに成長できるよう努めていく。
 退職教員の協力を得て小学三年生を対象に学習支援を試行してきたが、新年度からは、さらに学習支援員を増員し、実施校の拡大を図り、児童生徒の学力の向上・定着に努めていく。教職員研修センターの機能を強化し、教職員の資質向上を図っていく。
 中心市街地活性化 沼津駅北口で建設が進む複合コンベンション施設・ふじのくに千本松フォーラム「プラサヴェルデ」のうち、展示イベント施設である「キラメッセぬまづ」が今年六月に開業する。市制九十周年を迎えるに当たっての節目の祝いと併せてオープニングセレモニーを開催し、本施設を市内外にアピールするとともに、利用促進に取り組んでいく。
 今年一月末に閉店した西武沼津店の跡地については、本館の取り壊しが決まったが、その後の活用及び新館の利用についても権利者の前向きな検討が進められており、市としても引き続き、早期の活用が図られるよう、できる限りの支援に努めていく。
 まちなかの新たなにぎわいスポットとして注目度が高まりつつある中央公園については、各種イベントや教室、大会など、市民のアイデア溢れる活動の場として、さらなる活用を図ることにより、まちなかに行けば何かが行われているとの期待感を抱かせるような取り組みに努めていく。
 新たな試みとして、狩野川右岸階段堤を利用した地場産品の販売や飲食など日常的な活用が図られる取り組みを検討しており、中央公園内にある沼津まちあるきステーションや付近の商店街等との連携を図りながら、中心市街地の活性化、回・遊性の向上につなげていきたい。
 中心市街地への居住を促進するための検討を行うとともに、沼津駅周辺総合整備事業の中核をなす鉄道高架事業については、事業主体の県と協力し、実現に向けて引き続き努力をしていく。
 にぎわいのあるまちづくり フィルムコミッション事業について新年度も引き続き、民間ボランティア団体であるハリプロ映像協会、沼津商工会議所と協力し、官民一体となって取り組むとともに、新たに、沼津の地域資源を題材としたショートムービーを募集し、優秀作品の上映会を開催するなど、映像を通して沼津の魅力を広く発信していく。
 伊豆半島は今年度、「日本ジオパーク」に認定されたが、新年度も伊豆半島の成り立ちについてアピールし、地域が一体となって平成二十七年度の「世界ジオパーク」の認定を目指していきたい。
 新年度はアメリカのカラマズー市との姉妹都市提携五十周年にもあたり、さらに両市の交流が深まることを期待している。
 市制九十周年記念行事として「市民が歌う沼津第九」演奏会や「芹沢光治良と沼津」をテーマとした沼津文学祭を開催することにより、市民に文化や芸術に触れていただく機会を提供していく。
 都市基盤整備
 東名愛鷹パーキングエリアへのスマートインターチェンジの設置については、平成二十七年度末の供用開始を目指し、道路改良工事を行うとともに、新東名駿河湾沼津サービスエリアについては、連結許可を得た後、実施設計に着手する。
 原駅前広場を拡張し、バス乗り場と送迎車のスペースを区分することにより、原駅を利用する乗降客の安全と利便性を図るため、新年度に都市計画道路原駅町沖線の事業認可を得て、用地の取得を始める。
 産業振興 産業振興については、引き続き、企業立地促進事業費補助金等の活用により、市内企業の規模拡充の支援や、本市への企業の立地を促進し、工業の振興や雇用創出等を図っていく。
 新製品創出を支援する知的財産活用事業や、新たな事業活動を促進するニュービジネス支援事業、経営改善に向けたコーディネート、創業や経営強化を図るセミナー等の開催を通じて、中小企業の支援に引き続き取り組む。県東部の中小企業支援の一拠点となる沼津商工会議所の新会館建設にあたり、建設費の一部を助成するなど、本市商工業の連携強化を促進していく。
 農業については、本市の特産品である「寿太郎みかん」を核とした生産者の取り組みが、昨年、全国農業コンクールにおいて、農林水産大臣賞を受賞するという明るい話題があったが、新年度においては、新規の青年就農者に対する支援を行うなど、将来に希望を持って就農する後継者の確保・育成を促進していく。
 水産業については、市内漁港への水揚量の確保や流通促進を図るため、沼津港等に水揚げする市内漁業者に対する支援を引き続き実施していく。
 【行財政運営】
 新年度の予算編成にあたっては、事業の重要性や必要性、費用対効果等を検討するとともに、限られた財源を効果的・効率的に配分するための精査や財源の確保に努めた。
 行財政運営にあたっては、より一層の経費削減に努めるとともに、市有地の売却等、本市が保有する資産の有効活用や歳入確保のための取り組みなど、時代の変化に対応した簡素で効率的な行財政運営に努め、より一層の行政改革を推進していく。
 組織面では、水道部の「水道総務課」と「水道経理課」を一つの課に統合し再編するほか、市街地整備課の「コンベンションセンター開設準備室」を廃止し、新たに観光交流課にコンベンンヨン推進のための係を設置するなど、組織のスリム化や重点化を進めていく。
《沼朝平成25年2月16日(土)号》

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