2013年2月3日日曜日

企画展「時を駆けた橋」仙石規

企画展「時を駆けた橋」仙石規
 今月九日から十七日まで、沼津市立図書館四階展示ホールにて、沼津市明治史料館平成二十四年度第2回企画展「御成橋命名百周年記念時を駆けた橋」が催されます。
 タイトルは、五年前に上梓した私の歴史エッセイと同一で、光栄に感じております。
 この企画展初日に、五年半前に私の手元に来て執筆のきっかけとなった、約百四十年前からのものを含む「港橋(御成橋の前身)史料一式」を、市に寄贈させていただくことになりました。
 今年、沼津市は市制九十周年を迎えます。沼津町と楊原村という、沼津市の母体となった二つの地区を初めて結んだ橋の「沼津の宝」と言える史料を、過去を顧みて沼津の未来を研究するために、市に所有してもらい役立てていただくことが、当初からの願いでした。宝は個人が隠し持つものではなく、人々に輝きを見せて役立たせるところにあるべきなのです。
 企画展には、明治初期の美しく彩色された橋の設計図を含む、私が所有してきた史料の外にへ明治史料館所蔵の「地震之記」、浜の観音様「長谷寺」に奉納された「港橋渡り初め絵馬」など、滅多に見られない「港橋」「御成橋」関連の史料の数々が展示される予定です。
 そして、私が集めてきた、明治から昭和にかけての橋の絵葉書も、三十枚以上が公開されます。
 橋の周囲の商店の写真、その位置が記された大正末期の地図も学芸員さんの努力で復元され、牧水、白秋が愛で、井上靖が少年時代に走り回った「良き時代の沼津リバー・サイド」をじっくり味わえる展示になることでしょう。
 企画展は無料です。懐かしさを覚える年代の方は勿論のこと、小・中学生を含む若い人達にも、ぜひ足を運んでもらいたいと感じます。
 今回も明治史料館の学芸員さんが、私の預けた絵葉書の一枚が大正元年八月から数カ月の間に撮影されたものであることを推理・発見してくださって感激しました。
 郷土史研究は地味なものですが、過去の真実を一枚の写真から解き明かすといった「名探偵」にもなれる楽しさも秘めていることを少年少女達にも知ってもらい、沼津を再発見してもらえばな、と願ってやみません。
 初日と最終日には、私がギャラリートーク(展示物を来場者に解説するガイド)を務めさせていただくことになりました。郷土を愛する心を応援してくださった市民と県、市の関係者の方々に、心より感謝しております。
「御成橋」より愛をこめて!
《沼朝平成25年2月3日(日)号言いたい放題》

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