2009年7月23日木曜日

「09選ぶ夏・激動しずおか」:選挙区の攻防・静岡一区


「選挙区の攻防①」静岡一区
 県都決戦"風"探り合い
 自民前職の上川陽子氏と民主元職の牧野聖修氏が当落と比例復活を繰り返してきた激戦区。共産新人の池野元章氏を加えた3人が前回選に続いて顔をそろえる県都の戦いは、全国の県庁所在地で、無党派層の風を受けて組織力に勝る与党候補が劣勢を強いられる「1区現象」の行方が再び焦点となっている。
 「"風"に対抗できるのは"人垣"だけ。草の根の選挙で、地道に戦うしかない」。上川氏の後援会事務所で支援者は、この言葉を繰り返す。
 上川氏は2期目に挑んだ2003年、1区現象の波にのまれて牧野氏に敗れ、比例復活だった。05年の郵政選挙は小泉旋風の追い風で10万票近くを獲得。「都市の風の怖さが身にしみた」と陣営幹部は話す。
 前回選で競った元自民県議が昨年9月、立候補を見送り、保守層は一本化。10月の事務所開きで支持母体のJA静岡市の幹部が選対本部長に就任し、「過去、脇役として参加してきた。今回は総力で取り組む」と万全の支援を約束した。
 激震が走ったのは知事選の結果。自民推薦候補の得票は1区で3位ー。自ら汗をかき、手応えを感じていた上川氏は「都市で自民に吹く風は暴風雨…」と言葉を詰まらせた。解散となった21日夜には市内の繁華街に立った。「大変厳しい逆風の中の戦い。支持率は低く、課題は大きい」解散が迫った20日。牧野氏は静岡市駿河区での茶生産者グループの会合で、茶業農家と向き合っていた。
 「農家に直接届く補助金の制度を必ず実現させる」。党が重点政策に掲げる農家の所得補償制度を説明し、政権交代の必要性を熱弁した。
 4年前の落選。支援者訪問やミニ集会、1400回を超える街頭演説を重ね、解散を待ち望んだ。「自民党ではもう駄目ーという声が日に日に多くなっている」断絶していた連合静岡との関係も修復して推薦を得た。ただ、前回選で連合は牧野氏の対立候補を推薦。冷え込んだ関係の修復は途上ともいえ、ある民主系県議は「陣営に危機感が足りない。都市部の風は、新顔に吹くもの」と表情を曇らせる。
 「民主の鳩山(由紀夫党代表)派。政権交代の一翼を果たす」と存在感をアピールする牧野氏が、再度「1区現象」の受け皿に成り得るのかは不透明だ。
 池野氏は衆院解散を受け、早々に同市の繁華街に飛び出した。「行き詰まった自公政治を退場させる。新しい政治は何を実行できるのかが問われる」。政権と政策の両方の"交代"を掲げ、党の存在感を示すのに躍起だ。二大政党間に埋没しかねない現実に「力の集中」(山村糸子党県委員会委員長代理)を図る。

 衆院が21日に解散され、8月18日公示、30日投票に向け事実上の選挙戦が始まった。県内小選挙区すべてで激突する自民と民主の対立を軸に、有力候補者の攻防を追った。(衆院選取材班)
(静新平成21年7月23日「09選ぶ夏・激動しずおか」)

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