2009年7月24日金曜日

「静岡選挙区の攻防②」静岡2区


「静岡選挙区の攻防②」静岡2区
 揺れる伝統の保守地盤

 「原田先生にも、今回は負けがあることを前提に戦わなければならない、と申し上げてある」
 焼津旧港に面した自民前職原田令嗣氏の後援会事務所。今月16日、自民党2区支部の選対会議で、幹事長を務める大石哲司県議はこう切り出した。党を取り巻く情勢の厳しさを挙げ、「逆風を克服し、最後に1票でも相手を上回ることを目指す戦いになる」。出席した党支部、後援会分会の役員約80人の表情は一様に硬かった。
 静岡2区の志太榛原地域は県内でも有数の保守地盤。中選挙区時代、古くは第3次佐藤改造内閣で文部相を務めた高見三郎氏を輩出し、第1次海部内閣に大石千八、原田昇左右の両氏が郵政相、建設相として入閣した。小選挙区制に移行後も自民が4連勝。その保守の牙城が揺れている。
 「自民党一丸でも勝てない状況が続いている。今まで通りの動きではだめ」。大石県議に続いてマイクを握った牧野京夫参院議員は知事選、都議選の結果に触れ、市議選、町議選並みのドブ板選挙の必要性を説いた。
 衆院解散前の両院議員懇談会で熱弁を振るった原田氏は「政策実行力で判断いただけるよう丹念に訴える。ムードだけの選挙にはさせない」と、議席死守を誓う。地区別に作成した「ふるさとマニフェスト」を手に、小まめに支持を求め歩いている。
 同じ16日、藤枝市内で民主元職の津川祥吾氏も選対会議を持った。幹事長の岡村好男同市議は「ずうずうしく、攻めの姿勢でやってほしい」と出席者に要請。上げ潮の勢いで小選挙区を奪取する決意をにじませた。
 津川氏は公募で2区に降り立ち10年が過ぎた。原田氏との自民・民主対決は今回が3度目。2003年は原田氏の約12万9千票に対し、津川氏は約10万7千票。自民に風が吹いた05年郵政選挙では差が3万6千票余まで広がった。初陣の00年を含め、小選挙区は3連敗。比例復活と繰り上げで2回の当選歴があるが、党内規でも今回小選挙区を落とせば後はなく、まさに背水の陣だ。
 過去3回の選挙は無党派層、浮動票の獲得を優先し、自民支持が明らかな個人や企業・団体へは接触を図らなかった。「ずうずうしく」の今回はこれを改めた。
 呼応するかのように、建設業者の一部や若手経営者らに支持を公言する動きが生まれた。「一次産業関係でも個々には話を聴いてもらえるようになった。完全逆風だった前回とは違う」と陣営は手応えを語る。同時に「慢心したら自民と同じ」と、順風下で組織の引き締めに躍起だ。
 拠点の藤枝には来春の市議選と絡めた動きもある。市議会民主系会派は総選挙後の津川氏の足元を支えることも視野に、空白地区への候補者擁立を進めている。
(衆院選取材班)
(静新平成21年7月24日「09選ぶ夏 激動しずおか」)

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