2009年7月29日水曜日

「静岡選挙区の攻防⑦」


「静岡選挙区の攻防⑦」7区
 因縁対決三つどもえに

 自民、民主による政権選択が争点となる中、7区は「刺客」と「造反」で保守が分裂し、激戦を極めた4年前の郵政選挙の対決構図が依然、色濃く残る。全国の注目を集める自民前職の片山さつき氏、無所属元職の城内実氏による因縁の対決。ここに割って入った民主新人の斉木武志氏も追い風を受け、「(選挙戦)終盤は三つどもえの様相になる」(地元県議)との分析もささやかれる。
 「このままでは浜松地域は(自動車産業が世界同時不況の影響を受けた)デトロイトになってしまう。雇用、景気対策をきっちりできる人を国会に送ってほしい」
 衆院が解散した翌日の22日、湖西市古見で行われた片山氏を支援する集会。片山氏は"小泉旋風"に乗って城内氏を748票の小差で破った前回選を振り返りながら、今回は緊急経済対策の成果を"武器"に政策で戦う姿勢を強調した。
 東名浜松西インター近くに設けた事務所の開所式で、約1000人の支援者を前に「土下座」をして自民逆風に"助け"を求めるなど悲壮感が漂う片山氏。8月15日には小泉純一郎元首相が選挙区入りする予定だ。
 「民営化による分社化でサービスは低下するばかり。城内さんは郵政民営化の問題点を熟知し、命がけで反対してくれた。苦労をかけてしまった分、応援は当然だ」。解散を受け、今も城内氏に熱烈なエールを送る全国特定郵便局長会長を務めた元芳川郵便局長は複雑な表情で胸の内を語った。
 全国の郵便局長やOBでつくる「郵政政策研究会」は今回、民主支援に転換。ただ、郵政選挙で反対の姿勢を貫いた候補は最優先する。同じ浜松市内の7区、8区でも民主候補への対応は異なる格好だ。
 後援会組織では群を抜く城内氏。ともに郵政民営化法案に反対した平沼赴夫元経産相が率いる「平沼グループ」の看板候補として政界再編の必要性を訴え、二大政党による政権選択選挙の流れに危機感を募らす。ボランティアによる草の根選挙に徹する姿勢を崩していない。
 23日夜、斉木陣営は浜名湖花博を契機に都市整備が急速に進み、農家や漁業者も多い浜松市西区で初めて「民主党演説会」を開いた。斉木氏は党公認が2月にずれ込み、地区別の後援会づくりが遅れていた。
 「片山さんは財務省、城内さんは外務省出身。いまこそ政党主導の政治に変える時」。斉木氏は官僚政治の打破と天下り改革を強く訴えた。党がマニフェスト(政権公約)に打ち出した農漁業の戸別所得補償制度の説明にも熱がこもった。
 斉木陣営は知事選で民主党などの推薦候補の西部事務所を併設。頼みの連合静岡の各労組と連携を強める好機となった。選対幹部は「片山さんが自民党なら、(保守層の支持が多い)城内さんは第2自民党。政権交代の流れを鮮明にする戦略で追い上げる」と意気込む。(衆院選取材班)
(静新平成21年7月29日「09選ぶ夏・激動しずおか」)

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